シノプシス、ARMプロセッサのbig.LITTLE処理に対応したソフトウェア開発を加速させる Virtualizer Development Kitを発表
VDKにより、4コア搭載のARM®CortexTM-A15 MPCoreTMプロセッサと同社のbig.LITTLETM処理手法
を活用したデザイン向けの早期ソフトウェア開発とデバッグ制御効率向上を実現
VDK概要
- マルチコア・システムの高速機能モデル、マルチコア向けソフトウェアのデバッグ解析ツール、リファレンス・ソフトウェア群を統合したソフトウェア開発ツール。
- ボードが完成する12ヶ月前の段階でのソフトウェア開発開始を実現。
- Linux/Android/マルチコア・タスク・マイグレーション・ソフトウェアに対する他に類を見ないサポートにより、ARM社のbig.LITTLE処理手法に対応したソフトウェアの開発期間を短縮。
- ARM社、Lauterbach社、GNUプロジェクトのソフトウェア・デバッガとのプラグ・イン・プレイの統合環境を提供。
- マルチコア/マルチクラスタ・ソフトウェア解析機能により、big.LITTLE処理性能と低消費電力性能の最大限の活用を実現。
- 異なるシステム・コンポーネントの追加に応じてカスタマイズ可能なコンフィギュアブルなCortexプロセッサ・システムを提供。
2012年3月21日 カリフォルニア州マウンテンビュー発 - 半導体設計・製造ツールならびにIPの世界的リーダーであるシノプシス(Synopsys, Inc.、Nasdaq上場コード:SNPS)は本日、ソフトウェア開発を加速するVirtualizer Development Kit(VDK)を発表した。ARM Cortexプロセッサ向けVDKファミリーは、ARM Cortex-A15 MPCoreプロセッサと同社のbig.LITTLE処理手法に対応したソフトウェア開発のためのリファレンス・デザイン、解析/デバッグ・ソフトウェア・ツール群を提供する。VDKを活用することにより、開発者は、ボードが完成する前の段階からシステム性能と消費電力性能の最適化が行えるようになる。VDKが提供するリファレンス・デザインは、デバイス固有の仕様に応じて、シノプシスのバーチャル・プロトタイピング・ソリューション Virtualizerを用いて簡単にカスタマイズすることができる。
テキサス インスツルメンツ社 開発プラットフォーム&ツール部門 マネージャー Vincent Verfaillie氏は次のように語っている。「当社は、OMAP5430プロセッサを用いたシステムという目覚しい成果を達成しましたが、シノプシス社のバーチャル・プロトタイピング・テクノロジを活用することによって、それが完成する前の段階からソフトウェア開発を開始することができました。当社では今後もシノプシス社のVDKソリューションを活用していきます。VDKソリューションは、当社の早期ソフトウェア開発とbig.LITTLEプラットフォームの早期立ち上げに必要な機能を提供してくれるからです」
ソフトウェアの制御と可視化が向上
big.LITTLE処理ベースのデザイン向けのVDKが提供する制御機能と可視化機能により、ソフトウェア開発者は、性能と消費電力効率の最大化に向けてbig.LITTLE処理ベース・システムの最適化を実現することができるようになる。VDKを活用することにより、革新的なモバイル機器やコンシューマ機器の開発を目指すエンジニアは、現実のユーザー体験に即したソフトウェア・コード最適化を行うことができるだけでなく、ソフトウェアとハードウェアの統合の際に発生し得る問題を最小化することができる。開発者は、現実世界の動作シナリオを記録再現することによって、Linux/Android/big.LITTLEパワー・マネージメントの最適化が可能になる。
ARM社 プロセッサ部門 マーケティング担当副社長 Jim Nicholas氏は次のように語っている。「常時接続タイプのスマート機器で次世代の性能と低消費電力を実現するために当社のbig.LITTLE処理手法を採用する企業が増えるのに従い、当社とパートナー各社は力を合わせて強力な開発環境を提供することにより、ソリューションを提供してきました。シノプシス社は、ARM Cortexプロセッサ向けのVDKファミリーの提供を通じて、Cortex-A15 MPCoreプロセッサとbig.LITTLE処理手法をサポートすることにより、早期ソフトウェア開発を実現する非常に優れたソリューションを提供できるようになりました。そしてこれにより、更なるイノベーションの実現を支援できるようになったのです」
Linux/Android/big.LITTLE処理向けにプレ・コンフィギュレーション
ARM Cortexプロセッサ向けのVDKファミリーは、実際のデバイス・ソフトウェア開発のスターティング・ポイントとなる、プレ・コンフィギュレーションが施されたLinux(Vanilla 2.6.38)/Android(Gingerbread 2.3.4)オペレーティング・システム(OS)を提供する。また、ARM Cortex-A15 MPCoreプロセッサとCortex-A7 MPCoreプロセッサで構成するbig.LITTLE処理クラスターとクライアントOSの間にあるマルチコア・タスク・マイグレーション・ソフトウェア・レイヤのためのプレ・コンフィギュレーション環境も提供する。このレイヤによって、OSとアプリケーション・ソフトウェアは、高性能処理向けプロセッサと低消費電力プロセッサの間をシームレスに移行できるようになる。VDKによって、開発者はこの新しいレイヤのメリットを活用できるようになり、big.LITTLE処理のようなマルチコア・ハードウェア上で稼動するソフトウェアのデバッグと最適化を行えるようになる。VDKは、USB 3.0、Ethernet、UART、LCD、キーボード、バッテリー、メモリーといったインターフェイスやペリフェラル・コンポーネントも提供する。
シノプシス IP&システム・マーケティング担当副社長 John Koeterは次のように述べている。「VDKによって、テキサス インスツルメンツ社のようなお客様各社は、ARM社の最新のプロセッサ技術がもたらす機能をフル活用できるようになり、次世代製品の開発期間を短縮できるようになります。big.LITTLE処理とCortex-A15プロセッサ・ベースのデザイン向けのVDKは、ソフトウェア開発者の皆様に、これまで以上に開発プロジェクトの遥か早期の段階でソフトウェアの最適化を行うのに必要となるツールをご提供します」
提供可能時期
Cortex-A15プロセッサ向けVDKファミリーは2012年(暦年)の第二4半期に一般提供を開始する予定である。VDKファミリーと、ARM社の各種ツールやその他の代表的なソフトウェア・デバッガとの互換性についての詳細な情報はhttp://www.synopsys.com/VDK4big-LITTLE/より入手可能。