ニュースリリース - 2023年2月7日

シノプシスのAIベース設計テクノロジを活用して開発された 商用チップのテープアウトが100品種を達成

アワードを受賞したシノプシスのAIベース設計ソリューション DSO.aiが顧客企業の開発能力を刷新

~開発効率とチップ性能が大幅に向上、クラウドのコンピューティング能力の活用促進~

 

概要

  • シノプシスと協調したチップ設計エコシステムにより、多岐にわたるアプリケーションや先端プロセスノードで、100品種の商用チップのテープアウトを達成。
  • STMicroelectronics社が、クラウド環境でAIベース設計テクノロジを用いた初の商用チップ・テープアウトを達成。Microsoft Azure上でシノプシスのDSO.aiTMを活用し、従来比3倍の開発効率で消費電力/性能/面積(PPA)検討を実現。
  • SK hynix社が、最先端のプロセス・テクノロジでダイサイズの5%削減を達成。
  • DSO.aiが、強化学習を応用して広大な最適化選択肢の中から解法を探ってPPA向上を実現、従来の人手による設計作業と比較して開発期間を数か月単位で短縮。

 

2023年2月7日 カリフォルニア州マウンテンビュー発 - シノプシス(Synopsys, Inc.、Nasdaq上場コード:SNPS)は本日、主要な半導体開発企業各社が、World Electronics Achievement Award(WEAA)を受賞したシノプシスのAIベースの自律設計システム DSO.ai(Design Space Optimization AI)を活用して開発した商用チップのテープアウトが100品種を達成したことを受けて、AIベースのチップ設計が実用段階に入ったことを発表した。STMicroelectronics社やSK hynix社をはじめとする顧客企業各社では、開発効率とPPA性能の大幅な向上を達成できたこと受けて、強化学習型設計ツールをクラウドもしくはオンプレミスで用いた新しい設計スタイルに舵を切り始めている。

 

DSO.aiを活用している開発企業各社では、最先端プロセスノードのチップ開発のカギを握る各種の設計フェーズで、劇的に高速な開発ペースを確立しつつある。シノプシスがDSO.aiの提供を開始して以来、そのユーザー企業各社が達成してきた様々な成果が、この事実を雄弁に物語っている。開発効率が3倍以上向上、消費電力を最大25%削減、ダイサイズの大幅削減といった成果が、より少ない開発リソースで達成されているのである。

 

多岐にわたるアプリケーション分野で半導体ソリューションを提供しているグローバル・リーディングカンパニーのSTMicroelectronics社は、最も厳しい設計フェーズでの課題解決にさらなる推進力をつけるためクラウド・ベース・バージョンのDSO.aiを活用している。同社では、DSO.aiと、シノプシスのフィジカル設計ツールであるFusion Compiler™ならびにIC Compiler™Ⅱを併用してテープアウトを達成している。

 

STMicroelectronics社 システムオンチップ・ハードウェア設計ディレクター Philippe d’Audigier氏は次のように語っている。「シノプシス社のDSO.aiをMicrosoft Azure環境で活用することにより、当社では、PPA検討の生産性を3倍以上効率化することに成功しました。最新のArmコアを短期間で実装し、当初設定していたPPA目標を上回る成果を達成できたのです。当社では、当社独自のMPU開発も含め、業界をリードする新たなチップ開発プロジェクトを多く抱えており、シノプシス社やMicrosoft社との協業を一層加速させてまいります」

 

チップ性能と開発効率の限界を超える

従来の設計最適化手法では、広大なスペースで解法を探るために膨大な労力が必要で、多くの場合数ヶ月もの試行錯誤を重ねる必要がある。DSO.ai は、AIテクノロジを活用することにより、広大な最適化スペースの中を自律的に探索する。チップ設計ワークフローの中で取り得る膨大な選択肢を大規模に探索し、単調なタスクを自動処理して、最良のPPA最適化ポイントを特定する。

 

SK hynix社 システムオンチップ責任者 Junhyun Chun氏は次のように語っている。「高性能で耐久性の高いメモリー製品を業界で抜きんでた量産規模で提供するには、“大量の”最適化を行わなければなりませんが、これは従来はまさに“大量の”工数がかかる作業でした。シノプシス社のDSO.aiは大規模な設計チームを投入するに等しいパワーをもたらしてくれました。この開発効率向上により、当社のエンジニアは次世代製品の差別化機能の開発に注力する時間を得ることができました。直近のプロジェクトではセル面積15%削減、ダイサイズ5%削減というとてつもない成果を得ることができました」

 

シノプシス EDAグループ ジェネラルマネージャー  Shankar Krishnamoorthyは次のように述べている。「膨大な数の最適化選択肢の検討を可能にするAIパワーを活用することにより、お客様各社は、より少ない開発リソースで、より優れたPPA、より優れた開発効率を実現し続け、加速させ続けることが可能となりました。この度、お客様各社による100品種もの商用チップのテープアウトを迎えることができましたが、その内容は実に感動的なものでした。クラウド上であれ、オンプレミスであれ、そのハイブリッド環境であれ、設計者の皆様は、より短期間でより優れた設計結果を手にすることが可能となったのです。ことに、クラウド上でのDSO.ai活用には興奮を覚えます。当社のAIベース設計テクノロジをデータセンター規模のコンピューティング環境で活用していくということは、いつでもどこでも設計をという新時代を切り拓くことに他ならないからです」

 

Microsoft社 Azure Hardware and Infrastructure エンジニアリング担当コーポレート副社長 Jean Boufarhat氏は次のように語っている。「当社は、最先端のチップ設計が可能な環境の普及にコミットしています。ですので、シノプシス社のDSO.aiをAzure上でサポートするのは自然な流れでした。AI技術を活用したチップ設計をAzure上で実行することにより、クラウドならではのコンピューティングパワーを利用して設計生産性を爆発的に向上させ、膨大な選択肢の中から最適解をつかみ取ることが可能となりました」

 

DSO.aiの詳細は下記より入手可能。

 

シノプシスについて

Synopsys, Inc.(Nasdaq上場コード:SNPS)は、我々が日々使用しているエレクトロニクス機器やソフトウェア製品を開発する先進企業のパートナーとして、半導体設計からソフトウェア開発に至る領域(Silicon to Software)をカバーするソリューションを提供している。電子設計自動化(EDA)ソリューションならびに半導体設計資産(IP)のグローバル・リーディング・カンパニーとして長年にわたる実績を持ち、業界で最も広範囲をカバーしたアプリケーション・セキュリティ・テスティング・ソリューションならびにサービスを提供しているS&P 500カンパニーである。シノプシスは、最先端の半導体を開発しているSoC(system-on-chip)設計者、よりセキュアでハイ・クオリティなコードを開発しているソフトウェア開発者に、革新的製品の開発に欠かせないソリューションを提供している。

詳細情報は、https://www.synopsys.com/ja-jpより入手可能。

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<お問い合わせ先>

 

日本シノプシス合同会社 フィールド・マーケティング・グループ 藤井 浩充

TEL: 03-6746-3940