ニュースリリース - 2020年3月11日

シノプシス、革新的なAIテクノロジを応用し最新鋭のEDAソリューションを提供

シノプシス DSO.aiTM世界初の半導体設計向け自律AI応用テクノロジ

 

概要

  • チェスや囲碁などの難易度の高いゲームを極めたDeepMind社のAlphaZero AIの仕組みに着想を得て開発したシノプシスのDSO.aiソリューションが、半導体設計上の問題解決に向けた膨大な選択肢の中から最適化候補を自律的に探索

  • DSO.aiにより、半導体設計ワークフローの中で取り得る多岐にまたがる選択肢を大規模に探索し、必要となる意思決定を自動的に最小化し、設計チームが対処できるデザイン規模を劇的に拡大

  • 開発パートナー企業が、DSO.aiを用いて既存概念を覆す結果を実現。これまでより少ない人員かつ極めて短期間で設計目標を達成

 

2020年3月11日 カリフォルニア州マウンテンビュー発 - シノプシス(Synopsys, Inc.、Nasdaq上場コード:SNPS)は本日、EDAテクノロジにとって極めて重要なブレイクスルー技術となるDSO.ai(Design Space Optimization AI)を発表した。これは、半導体設計プロセスに自律AIを応用した業界初の設計テクノロジである。チェスや囲碁などの難易度の高いゲームを極めたDeepMind社のAlphaZero AIの仕組みに着想を得て開発したシノプシスのDSO.aiは、半導体設計上の問題解決に向けた膨大な選択肢の中から最適化候補を自律的に探索するAIベースの論理的推論エンジンである。DSO.aiは、半導体設計ワークフローの中で取り得る多岐にまたがる選択肢を大規模に探索し、必要となる意思決定を自動的に最小化することにより、半導体設計プロセスを革命的に変化させるテクノロジで、これによりSoC設計チームは、エキスパート・レベルの設計業務遂行が可能となり、対処できるデザイン規模が劇的に拡大する。

 

サムスン・エレクトロニクス社 Foundry Design Platform Development上級副社長 Jaehong Park氏は次のように語っている。「最新の半導体シリコン・テクノロジが物理特性の制御限界を試す段階に入る中、当社のお客様各社は革新的な製品を実現できる半導体製造ソリューションを求めていらっしゃいます。シノプシス社のDSO.aiは、我々が過去に達成してきた性能/消費電力/面積の目標を凌ぐ最適化手段を、当社の設計環境上でシステマティックに特定してくれました。しかも、通常なら多くのエキスパート・レベルの設計者を投入して1か月以上の試行が必要なところを、わずか3日でこの結果を出してくれたのです。このAI技術を応用した設計メソドロジを活用すれば、サムスン・ファウンダリのお客様は、そのSoCデザインで最先端のシリコン・テクノロジがもたらすメリットをフル活用できるようなります」

 

DSO.aiは、シノプシスが一から開発したテクノロジであり、AIを応用した設計テクノロジの開発に向けて、複数年にわたり全社一丸となって取り組んだ戦略的開発投資の成果の一端である。

 

半導体デザイン:広範囲にわたる探索

今日のAIテクノロジは、自然言語を介して人間と対話し、ネット経由の金融資産搾取行為を特定し、コンピューター・ネットワークを守り、市街地での自動運転を可能にし、チェスや囲碁のような知的なゲームで戦うことができる。半導体設計もまた然りで、設計上の問題解決の可能性を秘めた探索スペースは非常に広範囲にわたっている。例えて言うなら、囲碁の一兆倍以上である。

 

この広大なスペースで解法を探るためには膨大な労力が必要で、多くの場合何週間もの試行錯誤を重ねる必要がある。また過去の経験値や門外不出の知識の力を借りねばならない場面もしばしばある。半導体設計ワークフローは、一般にテラバイト級の高次元な設計データを使用し、また生成しながら行われる。このデータは、個々のケースに応じて最適化してきた多岐に渡る独自のやり方から、細分化あるいは断片化されたものである。最善の設計レシピを創り出すためには、設計者は、膨大なデータを短時間で取り込み、完璧な解析を行った上で複雑極まる決断を臨機応変に下さなければならない。この作業は多くの場合、決断疲れ、すなわち決断の質の低下や、考え過ぎた結果の決断をデザインに対して下すことにつながる。

 

今日の半導体設計は、苛烈極まる市場競争にさらされているだけでなく、半導体製造工程から要求される厳格な設計要件も満たさなければならず、“良い” 設計レシピと“最善の” 設計レシピの違いは、数百メガヘルツの性能差、数時間ものバッテリー駆動時間の差、数億円もの設計コストの差を生むことになりかねない。

 

EDA業界初の半導体設計への自律AIテクノロジの応用

シノプシスのDSO.aiソリューションは、広大なデザイン・スペースの中で最適化を自律試行することによって、最善の解法を探るための設計プロセスを革命的に変化させる。DSO.aiエンジンは、各種設計ツールが生成する膨大なデータ・ストリームを取り込み、それらを用いてサーチ・スペースを探索する。その中で、今後の設計プロセスでデザインがどのように変化するかを推論し、設計上の選択やテクノロジ・パラメータそしてワークフロー全体を調整しながら、多岐にまたがる最適化目標の達成に向けて探索プロセスを進めていく。DSO.aiは、膨大な量のサーチの実行を可能にするためにシノプシスのR&D部門が考案した最先端のマシンラーニング・テクノロジを用いて、数十から数千の探索方針を自律的に実行し、ギガバイト・クラスの膨大なデザイン解析データを短時間で取り込んで、壮大なスケールで探索を実行する。しかも、これらの一連の作業は全て即時実行される。

 

またDSO.aiは、チューニング・ツールのセッティングなどの必要となる意思決定を自動的に最小化して、設計者が実行しなければならないタスクを最小限に抑制し、エキスパート・レベルの設計業務遂行を可能にする。設計過程で得られた知見は、設計チーム全体で効率的に共有し適用していくことができる。設計生産性をこの水準まで引き上げることにより、設計者は、これまでよりも多くの開発プロジェクトに対応可能となり、より多くの時間を問題解決に割くことによってより優れた結果を達成することが可能となり、プロジェクトの中でより多くの部分を担当可能となり、クリエイティブで付加価値の高い設計タスクに注力することが可能となる。

 

設計生産性が飛躍的に向上

  • いかなる場合でも、より優れたデザインを実現

    DSO.aiを用いることにより、半導体設計ワークフローの中を大規模に探索できるため、これまではデザイン/プロセス/テクノロジの中で解を探るのが困難であった箇所に対しても、短時間で検討することが可能となる。こうして視野が拡がることにより、開発に与えられた予算や期間の制約の中でより高い性能、より低い消費電力を実現し、より高度に差別化された製品を市場に送り出すことが可能となる。シリコン・プロセス・テクノロジが提供するメリットを最大限活用し、可能性の限界を押し上げることができるのである。

  • 開発期間の短縮

    DSO.aiにより、対処できるデザイン規模が劇的に拡大し、設計タスクの最小化を完全に自動化できる。新しいマーケットに向けた製品開発にかかる期間を大幅に削減できるため、開発スケジュールの合間に既存製品の派生品種の開発を進めることも可能となる。すなわち労力をかけることなく、これまでとは違うマーケットにターゲットを変えて、そこに向けてこれまでとは異なる各種機能を付加した製品を投入することが可能となるのである。

  • 自動化による開発コスト削減

    DSO.aiが生み出すのは、最も価値の高い企業財産、すなわちエンジニアリング・クリエイティビティである。時間を浪費する手探りの作業から解放されるため、設計陣を新しい開発プロジェクトに振り向けることができ、新人の設計者は経験豊富なベテラン・レベルへと短期間に成長させることができ、設計/製造に伴って発生するサポート・コスト全体を最小限に抑えることができる。

 

シノプシス デザイン・グループ ジェネラルマネージャー Sassine Ghaziは次のように述べている。「1980年代後半にDesign Compilerを世に送り出して以来、シノプシスは、設計分野を飛び越えながら様々なツールやテクノロジをご提供して、半導体のイノベーターの皆様を支援してまいりました。そして今また我々は、DSO.aiによって半導体設計の歴史に新たな一章を開きました。二年前、シノプシスは、大学の研究者、業界の今後の方向性を示す指導者やAIテクノロジのパイオニアの方々と手を携えて、半導体設計プロセスにAIを組み込むという胸躍る航海に乗り出しました。今回の発表は、我々にとって記念すべき重要な一里塚です。シノプシスのAIへの航海は始まったばかりです」

 

提供開始時期

シノプシスのDSO.aiソリューションは、業界を代表するパートナー企業と共に、限定顧客向けに提供を開始している。2020年後半には、より広範囲の顧客に向けて提供を開始する予定である。

 

シノプシスについて

Synopsys, Inc.(Nasdaq上場コード:SNPS)は、我々が日々使用しているエレクトロニクス機器やソフトウェア製品を開発する先進企業のパートナーとして、半導体設計からソフトウェア開発に至る領域(Silicon to SoftwareTM)をカバーするソリューションを提供している。電子設計自動化(EDA)ソリューションならびに半導体設計資産(IP)のグローバル・リーディング・カンパニーとして長年にわたる実績を持ち、ソフトウェア品質/セキュリティ・ソリューションの分野でも業界をリードしており、世界第15位のソフトウェア・カンパニーとなっている。シノプシスは、最先端の半導体を開発しているSoC(system-on-chip)設計者、最高レベルの品質とセキュリティが要求されるアプリケーション・ソフトウェアの開発者に、高品質で信頼性の高い革新的製品の開発に欠かせないソリューションを提供している。

詳細情報は、https://www.synopsys.com/ja-jpより入手可能。

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<お問い合わせ先>

日本シノプシス合同会社 フィールド・マーケティング・グループ 藤井 浩充

TEL: 03-6746-3940                  FAX: 03-6746-3941