ニュースリリース - 2011年9月30日

界全体に寄与する初のトランザクションレベル・モデルWebサイト誕生、モデル開発者・モデルユーザーが利用可能に

バーチャル・プロトタイプを短期間で作成するためのシステムレベル・モデル群を600以上取り揃えたTLMCentralサイト


2011年9月29日 カリフォルニア州マウンテンビュー発 
-エレクトロニクス・コンポーネントならびにシステムの設計・検証・製造に用いられるツールならびにIPの世界的リーダーであるシノプシス(Synopsys, Inc.、Nasdaq上場コード:SNPS)は、トランザクションレベル・モデル(TLM)テクノロジの開発者やユーザーが業界全体で利用できる初のポータルサイト TLMCentralがスタートすると発表した。TLMCentralは、業界を代表する半導体IPベンダ、設計ツール・ベンダ、サービス企業、大学などが無償または有償で提供している一般的なシステムオンチップ(SoC)コンポーネントのシステムレベル・モデルに関する情報を集約したポータルサイトで、業界全体にわたってバーチャル・プロトタイプの作成を容易化・迅速化することを目的としたオープンなサイトである。TLMのユーザーや開発者は無償でアクセスできる。

www.TLMCentral.comの概要

  • サイト公開当初の段階で、プロセッサやインターフェイス、内部バスのIPなど、SoC上で一般的に使用されているコンポーネントのシステムレベル・モデル600種以上をラインナップ
  • 業界を代表する半導体IPベンダ、設計ツール・ベンダ、サービス企業、大学など、幅広いコミュニティで活躍する世界中のエキスパート企業によるモデリング・サポート
  • 必要なモデルを見つけるための直感的なサーチ機能に加え、関連する業界ニュース、各種フォーラム、ブログなどを一つのサイト上に集約


設計者は、TLMの活用により設計の抽象度を上げて生産性を向上させることができる。開発技術者はバーチャル・プロトタイプの活用によって、ソフトウェア開発期間を最大9ヶ月短縮し、ソフトウェア開発、ハードウェアとソフトウェアの統合、システム全体のバリデーションの作業効率を大幅に改善することができるが、TLMは主にこのバーチャル・プロトタイプの作成に用いられている。またTLMは、アーキテクチャ開発やSoC全体の検証の生産性向上にも大きな威力を発揮するが、TLMCentralに集められたモデルはこうした目的にも適用できる。

ARM社 マーケティング担当上級副社長 Lance Howarth 氏は、次のように語っている。「TLMCentralは、ARMアーキテクチャ・ベースの製品開発期間を短縮しイノベーションの加速に寄与する業界の取り組みに積極的に参加する当社の方針に合致しています。ARM Fast ModelをTLMCentral上に掲載することにより、設計者の皆様がバーチャル・プロトタイプをもっと短期間で作成するのに必要とされるトランザクション・モデルや技術サポートを効率的に調達でき、ソフトウェア開発をより早い段階で開始できるようになると期待しています」

テキサス・インスツルメンツ社 エンジニアリング・マネージャー Amit Nene氏は、次のように語っている。「TLMCentralは、インターオペラブルな高品質モデルの流通を促進することによって、バーチャル・プラットフォーム開発体制整備の障害となるバリアを取り除いてくれる可能性を持っていると確信しています。当社は、バーチャル・プラットフォーム開発に投資し、その活用によって成果を挙げてきました。このようなモデル集積サイトを活用して開発期間の短縮を実現できるようになるのは素晴らしいことです」

半導体製品やエレクトロニクス製品でソフトウェア・コンポーネントが占める割合が大幅に増加しており、バーチャル・プロトタイプの採用が急激に進んでいる。ソフトウェア開発開始時期を早め、従来のやり方に比べて少ない工数でソフトウェアを完成させることができるためである。これまで、バーチャル・プロトタイプ開発者には、様々な第三者が提供する各種TLMを一箇所で見つけられる環境がなかったため、既に誰かが開発済みのモデルを一から開発しているケースも多くあった。TLMCentralは、エレクトロニクス業界に存在する無償または有償のシステムレベル・モデルを一堂に集めたオンライン環境を提供することにより、バーチャル・プロトタイプの開発効率を大幅に改善する。サイト公開当初の段階で既に600種以上のモデルがラインナップされている。

ユーザーは、直感的に操作できるサーチ・インターフェイスを使って、自身のデザインで使用できる様々な動作スピードや動作精度のモデルを手早く見つけることができる。これらのモデルは、ARM、Arteris、CEVA、MIPS、Sonics、シノプシス、テンシリカ、Vivanteなどの世界中のIPベンダ、HCL TechnologiesやKasuraといったサービス企業、Industrial Technology Research Institute(ITRI)やRWTHアーヘン大学などの研究機関などから提供されている。さらにTLMCentral上では、関連する業界ニュース、各種フォーラム、ブログなども提供し、TLMコミュニティーに参加できる環境を用意している。

VDC Research(エレクトロニクス機器系の技術調査会社)の組込みソフトウェア・ハードウェア担当副社長 Chris Rommel氏は、次のように語っている。「組込みソフトウェア業界は、これまでも業界全体のオープンな取り組みを通じて発展してきました。こうした取り組みが成功するためには、業界全体が単にモデル提供の観点のみで協力するのではなく、トランザクションレベル・モデリングのメソドロジやコミュニティーに参加できる仕組みへの取り組みも必要です。TLMCentralは、各種フォーラムなどのインタラクティブな情報交換機能を提供し、また公開当初から多様なベンダのサポートを得ている点など、成功に向けた素晴らしい第一歩を踏み出したと感じています」

Open SystemC Initiative(OSCI)の会長 Eric Lish氏は、次のように語っている。「OSCI TLM 2.0規格は業界に浸透しつつありますが、今回のオープンなポータルサイトの発足は、我々の提唱する規格に準拠したモデルの開発、普及、活用に弾みをつける重要な一歩であると思っています。TLM環境のさらなる発展と改良に向けたモデル開発者とユーザーのこの新しい協力関係の発足を心から歓迎します」

シノプシス 上級副社長兼IP & システム担当ジェネラルマネージャー Joachim Kunkelは、次のように述べている。「TLMCentralは、システムレベル・コミュニティにとって重要な一里塚を確立しました。600を越すモデルの提供によって、力強いスタート切ったと言えます。TLMCentralの特長は、モデル、情報、専門知識を総合的に提供し、それらに即座にアクセスできる点で、バーチャル・プロトタイプを手早く開発したい人々や、そのためのモデルを提供する人々にとって大きなバリューをスピーディーに提供します」

シノプシスについて
Synopsys, Inc. は、電子設計自動化(EDA)ソリューションの世界的リーダーであり、半導体の設計ならびに製造に用いられる各種のツール、設計資産(IP)、サービスを全世界のエレクトロニクス関連企業に提供している。システムレベルHW/SW設計検証、IP 、HWインプリメント、HW検証、HW製造、FPGA設計の各ソリューションで構成されるシノプシスの包括的な統合環境により、顧客企業が設計や製造段階で直面している重要な課題、すなわち消費電力や歩留まりの管理、システム設計段階からシリコン製造段階までを網羅する総合検証、開発期間の短縮といった課題を克服することが可能になる。各種テクノロジを駆使したこれらのソリューションを活用することにより、顧客企業は、開発コストや開発リスクを削減しつつ最高の製品を迅速に市場投入することが可能となり、競争力を高めることができる。カリフォルニア州マウンテンビューに本社を置き、事業所は北米、ヨーロッパ、日本、アジア、インドなど70ヶ所。詳細な情報は、http://www.synopsys.co.jpより入手可能。

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<お問い合わせ先> 

日本シノプシス合同会社 フィールド・マーケティング・グループ 藤井 浩充
TEL: 03-6746-3940   FAX: 03-6746-3941