シノプシス、次世代のバーチャル・プロトタイピング・ソリューション Virtualizerを発表
開発工数を削減し、ソフトウェア開発期間を最大9ヶ月短縮
- 従来の開発手法と比較して、ソフトウェア開発期間を最大9ヶ月短縮、設計生産性を最大5倍向上
- 半導体企業・エレクトロニクスシステム企業の大手50社以上で採用されてきた実績のあるバーチャル・プロトタイピング・テクノロジをベースに開発
- システム全体に対する観測性と制御性を備えた高精度で高速なシミュレーションにより、リアルタイムに近いソフトウェア実行と圧倒的に効率の高いソフトウェア・デバッグと解析を実現
- 開発プロジェクト早期段階でのソフトウェア開発開始、ハードウェアとソフトウェアの統合、システム全体のバリデーションを実現するためのツール/モデル/サービスからなる、業界で最も包括的なソリューションの根幹となる製品
- シノプシスのFPGAベース・ハードウェア・プロトタイピング・ソリューション HAPSならびに機能検証ソリューション VCSなどとのリンクにより、非常に効率の高いソフトウェア・ドリブン検証を実現
2011年7月19日 カリフォルニア州マウンテンビュー発 - 半導体設計・製造ツールならびにIPの世界的リーダーであるシノプシス(Synopsys, Inc.、Nasdaq上場コード:SNPS)は、次世代バーチャル・プロトタイピング・ソリューションの中核をなすツールセット Virtualizerを発表した。Virtualizerによって、バーチャル・プロトタイプを迅速に作成し、それらのプロトタイプを開発チェーンを構成する全てのソフトウェア開発者へ早期に配布できるようになるため、ソフトウェア・リッチな半導体製品やエレクトロニクス製品の開発課題を解決に導くことができる。Virtualizerで作成したプロトタイプを使用することにより、ソフトウェア開発者はソフトウェア開発期間を最大9ヶ月短縮できるようになる。また、開発チームが取り組むソフトウェア開発/ハードウェアとソフトウェアの統合/SoCの検証/システム全体のバリデーションの工程の生産性を従来手法に比べて最大5倍向上することができる。
VDC Research(エレクトロニクス機器系の技術調査会社)の組込みソフトウェア・ツール担当ディレクター Steve Balacco氏は、次のように語っている。「設計の複雑度が増し、スマート機器のニーズを満たすためにソフトウェア・コンテンツも大きくなるにつれて、開発企業は組込みソフトウェア開発プロジェクトの遅延リスクを軽減し、開発者の生産性を向上させる必要に迫られています。シノプシス社のバーチャル・プロトタイピング・ソリューションは、半導体製品やエレクトロニクス製品の開発企業の組込みソフトウェア開発者が抱えるデバッグや分析のニーズに直接的に応えるソリューションであり、ハードウェア開発フローとソフトウェア開発フローの間のギャップを橋渡しするものです」
Virtualizerは、シノプシスが過去に買収したVirtio社、VaST社、CoWare社の実績豊富なテクノロジと、50社を越す業界を代表する半導体企業やエレクトロニクス・システム企業による使用実績から得られたフィードバックをベースに開発されている。バーチャル・プロトタイプの作成者は、Virtualizerのグラフィカルなデザイン入力環境やソフトウェア・デバッグ/解析環境、シノプシスが提供する広範なシステムレベル・モデル群によって、最短期間でバーチャル・プロトタイプを作成できるようになる。一方ソフトウェア開発者は、開発対象のシステム上でソフトウェアを検証しシステム統合するための仮想プロトタイプとしてVirtualizer Development Kit(VDKs)を入手でき、リアルタイムに近いスピードでソフトウェアを実行する低コストなプラットフォームとして活用できるようになる。VDKsは、高速・高精度なバーチャル・プロトタイプ・シミュレーション機能、マルチコアを想定したソフトウェア・デバッグ/解析機能、ハードウェア/ソフトウェア協調検証機能、サードパーティが提供するソフトウェア・デバッガやソフトウェア開発環境(IDE:integrated development environments)と同期したデバッグ環境を提供する。また業界標準の規格に基いて開発されており、OSCI TLM-2.0やSystemCといった重要な業界標準規格をサポートしWindowsとLinuxの両オペレーティング・システム上で実行できる。
Lauterbach(ソフトウェア・デバッガ・ベンダ)のインターナショナル・セールス&マーケティング マネージャー Norbert Weiss氏は、次のように語っている。「バーチャル・プロトタイプを導入した企業にとっては、既存のソフトウェア開発環境をバーチャル・プロトタイプに容易に統合する必要があります。当社のTRACE32とシノプシス社のVirtualizerの組み合わせにより、開発プロジェクトでは、より効率的にソフトウェア開発の早期開始を実現できるようになり、半導体開発企業やエレクトロニクス・システム企業もそのメリットを共有できるようになります」
Virtualizerはさまざまな機能や開発環境を統合できるため、開発プロジェクトでは、開発効率が高まり、開発工程の中で平行開発できるプロセスの割合を増やすことができる。シノプシスのHAPSシステムに代表されるFPGAベース・ハードウェア・プロトタイピング・ソリューションとの統合により、SoCのバリデーションとソフトウェア実行を実機に近いスピードで行うことができる。また、シノプシスのVCSに代表されるRTLシミュレーション・ソリューションや、EVE社のZebuに代表されるエミュレーション・プラットフォームと接続することにより、ハードウェア検証環境上でのソフトウェア協調検証が可能となる。ソフトウェア開発者は、従来から使っていたデバッガやソフトウェア開発環境をVirtualizerで作成したバーチャルプロトタイプと統合して使用できるため、ソフトウェア開発ツールへのこれまでの投資を無駄にしなくて済む。また最終的なエレクトロニクス・システム製品の開発者は、サプライチェーンの中の各開発チームで共有したバーチャル・プロトタイプとフィジカル・システム・シミュレーション、テストベンチ、バーチャルI/Oをネットワーク上で連携させることにより、システム全体のバリデーションを統括できるようになる。こうした幅広い統合機能により、Virtualizerは製品開発プロセスのあらゆる段階で開発効率化を促進し、エレクトロニクス製品のサプライチェーン全体をサポートする。
EVE(エミュレーション・ソリューション・ベンダ)のマーケティング担当副社長兼ジェネラルマネージャー Lauro Rizzatti氏は、次のように語っている。「ハードウェアは複雑化を極めてきているため、検証エンジニアにとっては、検証作業をできるだけ早い時期に開始し、またできるだけ多くの実際のシステム・ソフトウェアとハードウェアの統合検証を行うことが非常に重要な命題となっています。多くのお客様で実績のあるシノプシス社のバーチャル・プロトタイピング・ソリューションと当社の高速エミュレーション・プラットフォーム Zebuの組み合わせによって、本当の意味でソフトウェア・ドリブンの検証シナリオを実行できるようになり、検証の網羅率と信頼性を高め、検証にかかる期間も最大で6ヶ月短縮できます」
シノプシス IP & システム・マーケティング担当副社長 John Koeterは、次のように述べている。「当社は、お客様が抱えるシステムレベル設計の重要課題、すなわちソフトウェア開発の早期開始、ハードウェア/ソフトウェア統合の前倒し、システム全体のバリデーションとテストの実施といった問題を解決できるソリューションの開発に注力しています。我々は、Virtualizerや多岐にわたるモデル・ライブラリ、技術サービスとサポートなどからなる完全なバーチャル・プロトタイピング・ソリューションをご提供しており、お客様各社はソフトウェア開発を最初のシリコンが提供される最大12ヶ月前の段階から開始することができます。さらにVDKsにより、IPやSoCの開発からシステム開発全工程に至るまでの開発チェーン全体を通してソフトウェア開発とハードウェアへの統合を低コストで実施できます。ありとあらゆるエレクトロニクス機器でソフトウェア・コンテンツが爆発的に増加している中にあって、Virtualizerは、半導体開発企業・エレクトロニクスシステム開発企業による早期ソフトウェア開発を実現し、開発プロジェクトの最終段階で不測の事態が発生するリスクを削減します」
提供開始時期
Virtualizerは既に提供を開始している。また、Virtualizerの豊富な機能の中からソフトウェア開発者やハードウェア設計者の現場で必要とされる機能に絞ったサブセットであるVirtualizer Development Kit(VDKs)も提供を開始している。詳細な情報は、http://www.synopsys.com/Virtualizerより入手可能。