ニュースリリース - 009年2月10日

シノプシス、次世代のラピッド・プロトタイピング・ソリューションを発表

新しいハードウェア・アシスト検証機能を提供することにより、低コストでの組込みソフトウェア開発とシステム・バリデーションが可能に

2009年2月9日 カリフォルニア州マウンテンビュー発 - 半導体の設計・製造ツールならびにIPの世界的リーダーであるシノプシス（Synopsys, Inc.、Nasdaq上場コード:SNPS）は本日、ラピッド・プロトタイピング・プラットフォームConfirmaの機能拡張を発表した。先日ProDesign社から買収したCHIPit事業部の 製品、ツール、技術を加えることにより、デザインの実装工程を簡略化してプロトタイプ開発にかかる期間を短縮、ユーザーは即座にハードウェア・アシストのシステム・バリデーションならびに組込みソフトウェア開発に着手できるようになる。新しいConfirmaプラットフォームは、高性能プロトタイピング・ボード HAPSを補完する位置づけであり、ソフトウェアによる設定が可能なFPGA間スイッチ接続アーキテクチャとトランザクション・ベースの協調検証機能も提供する。実証済みのプロトタイピング・メソドロジ、IP、サービス、ハードウェア、ソフトウェアを組み合わせることにより、Confirmaプラットフォームは広範囲にわたるプロトタイピング・ニーズに対応できる包括的なソリューションとなっている。シノプシスは、ラピッド・プロトタイピング、バーチャル・プラットフォーム、機能検証、アナログ/ミックスド・シグナル回路シミュレーションをはじめとする包括的なSoftware-to-Silicon Verification Solutionを提供しており、設計者がシステム・オンチップ（SoC）検証プロセスで直面する重要課題に対応している。

シノプシス シンプリシティ・ビジネスグループ担当副社長兼ジェネラル・マネージャであるGary Meyersは次のように述べている。「SoCの複雑化、SoC上に占める組込みソフトウェア比率の増加、そしてエミュレーションの高コスト化により、システム設計やシステム・バリデーションに対する新たなアプローチが求められています。これまではカスタム・プロトタイピング・ボードを自社開発する手法が長年にわたり用いられてきましたが、こうした背景から、ボードをお客様の社内で開発・製造し、さらにボード上にデザインを実装するのは困難になってきています。最新技術を駆使したラピッド・プロトタイピング・システムである当社のConfirmaプラットフォームは、次世代の包括的なハードウェア・アシスト検証システムであり、これにより開発チームは、複雑なチップとチップ上で稼動するソフトウェアを同時に開発・検証できるようになるだけでなく、より低コストでそれらの工程を実施できるようになります」

Atheros社 エンジニアリング担当副社長 Rick Bahr氏は次のように述べている。「ラピッド・プロトタイピングは、多くの場合、プロトタイピング環境を受け取ってから1日ないし2日でシステムを起動し動作することができるという点が大きなメリットになっています」

低コストで実現できるハードウェア・アシスト検証
チップ設計やソフトウェア・コンテンツの複雑化に伴い、組込みソフトウェア開発やシステム・バリデーションにかかるコストは増大している。大規模なエミュレーション・システムのような従来のアプローチは、ソフトウェア開発者やハードウェア検証チームで幅広く活用することを考えると、非常にコストが高く、かつ時間のかかる手段である。カスタム作成されたFPGAベースのプロトタイプは、このような問題に対処することはできるが、ボード上にデザインを実装し、その後デバッグする工程は、依然として困難で時間もコストもかかる作業となる。Confirmaラピッド・プロトタイピング・プラットフォームは、このような従来の手法が抱える問題を解決し、あらゆる重要な機能を統合した包括的で廉価なソリューションである。これにより、より多くの設計チームがハードウェア・アシスト検証のメリットを活用できるようになる。

Gary Smith EDA 創設者兼チーフアナリストのGary Smith氏は次のように述べている。「シノプシスは、ゲート規模や性能面で進化を続けるFPGAデバイスと、最先端のインプリメンテーション・ツールを活用したハードウェア・アシスト検証ストラテジに注力しており、この戦略によってシノプシスはハードウェア・アシスト検証ソリューションのリーディング・プロバイダになっています。組込みソフトウェア開発は、SoC設計者にとって大きな課題であり、新しいConfirmaプラットフォームは、それに対するソリューションの鍵を握るものです」

Confirmaプラットフォームの新機能
新しいConfirmaプラットフォームは、FPGAベースのプロトタイピング・システムとマザーボード、各種インターフェイスやメモリを搭載したドータボード、デザインの実装とデバッグのためのソフトウェアからなる完全なラピッド・プロトタイピング製品群である。Confirmaプラットフォームは、プロトタイピングの迅速な実現に求められるあらゆる機能を提供している。主なコンポーネントは以下の通りである。

ハードウェア・プラットフォーム

• ラピッド・プロトタイピング・システム CHIPit ファミリー：
  高度な自動化を実現するソフトウェア・プログラマブルなFPGA間スイッチ接続アーキテクチャと、トランザクション・ベース検証向けに最適化されたエミュレーション・ライクな機能を搭載
• ラピッド・プロトタイピング・ボード HAPSファミリー：
  システム・バリデーションと組込みソフトウェア開発のための高性能な環境を提供
• 豊富なドータボード：
  各種の高速インターフェイス機能の追加や、広範囲にわたるアプリケーションに対応し、プロトタイプのカスタマイズを容易化

ソフトウェア・ツール

• CHIPit Manager Pro：
  プロトタイプの設定やプロジェクト管理を行うソフトウェア
• SCE-MIインターフェイス：
  SCE-MI (Standard Co-Emulation Modeling Interface)準拠のトランザクション・ベース協調検証インターフェイス
• Certify ：
  複数FPGAへのデザイン分割実装ソフトウェア
• Identify Pro：
  信号観測性の拡張技術 TotalRecallを搭載したデバッグ・ソフトウェア
• Synplify Premier：
  業界最先端FPGA フィジカル・シンセシス・ツール

上記製品に加え、シノプシスが世界各国でハードウェア設計/ソフトウェア開発チームに提供しているワールドワイド・サポート同様、一週間のトレーニングからフル・ターンキー・サービスに至るまでの広範なサービス/トレーニング/技術サポートも提供している。

包括的なSoftware-to-Silicon Verification Solution
Confirmaラピッド・プロトタイピング・プラットフォームは、複雑なSoC開発に向けて、業界で最も包括的で実証済みの、組込みソフトウェア開発/システム・バリデーション/機能検証/回路シミュレーション用ソフトウェア/IP/メソドロジ/サービスを提供するシノプシスのSoftware-to-Silicon Verification Solutionの一部である。ソリューション・レベルで統合された機能には、シノプシスのConfirmaプラットフォームと高性能シミュレータ VCS間の協調シミュレーションとデバッグ機能、Confirmaラピッド・プロトタイピングのための論理合成可能なDesignWare IPのサポートがある。またConfirma製品群は、Innovatorが提供するバーチャル・プラットフォームと統合しており、組込みソフトウェア開発や検証に対して、バーチャル/フィジカル混合のプロトタイピング環境を提供している。

ラピッド・プロトタイピングのセミナーとワークショップ
シノプシスは2009年に、ラピッド・プロトタイピングの開始に焦点を当てた半日のマネージメント向けセミナーならびに終日の実践型技術ワークショップを開催する。詳細情報は、https://www.synopsys.com/company/resources/events.htmlより入手可能。