ニュースリリース - 2009年7月20日

シノプシス、データパス回路の消費電力を削減するDesignWare IPライブラリの新しいコンポーネントを発表

モバイル機器のバッテリー駆動時間を延ばし、高性能SoCの消費電力を削減するDesignWare minPowerコンポーネント

2009年7月20日 カリフォルニア州マウンテンビュー発 - 半導体設計・製造ツールならびにIPの世界的リーダーであるシノプシス(Synopsys, Inc.、Nasdaq上場コード:SNPS)は、新しいIP製品として、シノプシス Eclypseローパワー・ソリューションを支える重要ソリューションとなるDesignWare minPowerコンポーネントを発表した。DesignWare minPowerコンポーネントは、これまで活用されてきた消費電力最適化手法と比べ、データパス回路で消費する電力を劇的に削減するソリューションである。DesignWare minPowerコンポーネントを活用することにより、先進のワイヤレス機器向けSoCやネットワーク機器向けSoC、あるいはDSPなどの開発企業各社は、データパス回路の消費電力を最大48%も削減することに成功した。(表参照)

シノプシス ソリューション・グループ マーケティング担当副社長のJohn Koeterは、次のように述べている。「モバイル機器向けSoCのデータパス回路ブロックで消費する電力を削減することにより、それらの機器のバッテリー駆動時間を大幅に伸ばすことができます。データパス回路ブロックは、機器がスタンバイモードの時にもオンの状態になっていることが多いためです。当社のお客様各社では、今回のソリューションを活用されることにより、データパス回路の消費電力を7~48%削減されました」

ネットワーク機器/情報通信機器/モバイル機器/ワイヤレス機器向け半導体の技術調査・コンサルティング会社 The Linley Groupの主席アナリスト Jag Bolaria氏は、次のように語っている。「高速ネットワーク機器市場は、現状比10倍のデータ転送速度実現を目指していますが、この次世代テクノロジを実現するにあたっては、電力浪費の問題が重要課題として立ちふさがっています。このようなチップ開発企業が市場競争力を維持するためには、データパス回路での電力の浪費を押さえ込む必要があります。シノプシス社のDesignWare minPowerコンポーネントは、最先端のデータ転送レートに移行しても設計者が消費電力を削減できるようにすることでこの問題を解決するために、革新的技法を駆使しています」

現在様々なローパワー設計テクニックが用いられているが、これらのテクニックは、デザインの論理構造内部で発生するグリッチ・パワー、高速動作のデータパス・パイプライン部分で問題となるリーク・パワーといった特定の電力消費要因には対処できない。DesignWare minPowerコンポーネントは、消費電力最適化が施された優れたアーキテクチャをもつIPコンポーネントを提供しており、Design Compiler Ultra(DC Ultra)は、これらのコンポーネントを使って過剰なスイッチングやグリッチを抑制した回路を自動合成できるため、モバイル機器やその他の高速動作機器向けSoCで発生するダイナミック・パワーやリーク・パワーを削減することができる。

DC Ultraは、回路内の実際のスイッチング動作、状態遷移、使用可能なスタンダードセル・リソース、最適な構成などを考慮して、DesignWare minPowerコンポーネントを自動的に組み合わせ、最小限の消費電力で済む最適な回路構造を生成する。

DesignWare minPowerコンポーネントでは、このようにどれを使うかをDC Ultraが制約に基づいて自動的に決定するコンポーネントだけでなく、ユーザー指定で適用を決めるコンポーネントも40以上提供されている。それらのコンポーネントには先進のクロック・ゲーティング、ビルトイン・データパス・ゲーティング、特許技術のデータトラッキング・パイプライン・マネージメント・テクノロジといった最先端のローパワー設計テクニックが用いられている。

DesignWare minPowerコンポーネントは、シノプシスのGalaxyデザイン・プラットフォームと緊密に統合されているため、他のフローと比べてチップ全体の消費電力を大幅に削減することができる。DesignWare minPowerコンポーネントは、優れたアーキテクチャを持つデータパス構造を高い抽象度で提供しているため、電力消費の多い動作やスイッチング動作を考慮して、DC Ultraにより自動的に論理合成し最適化できる。DesignWare minPowerコンポーネントによって消費電力削減効果が大きいデザインは、ワイヤレスレシーバ、オーディオ/ビデオ・プロセッサ、CPU、メディア・プロセッサ、高性能ネットワーク機器やストレージ機器向けの信号処理ブロックなど、動作モードが長時間アクティブになりがちなデータパス回路をもつデザインである。

下記の表は、DesignWare minPowerコンポーネントによって実現されたデータパス回路の面積/消費電力改善結果を示している。DesignWare minPowerコンポーネントを使用してワイヤレス機器や高性能ネットワーク機器向けチップを設計されたお客様の設計結果である。チップ全体の電力削減効果にばらつきはあるものの、お客様のデザインでは、テストモードでおおむね2~20%の削減効果が確認されている。

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出荷時期
DesignWare minPowerコンポーネントは、2009年(暦年)第三4半期に一般提供を開始する予定である。
DesignWare minPowerコンポーネントについての詳細情報は、http://www.synopsys.com/minpowerより入手可能。
Eclypseローパワー・ソリューションについての詳細情報は、http://www.synopsys.com/lowpowerより入手可能。

DesignWare IPについて
シノプシスは、SoC開発に欠かせない高品質かつシリコン実証済みのインターフェイスIP/アナログIP群のリーディング・プロバイダである。

シノプシスが提供する多岐にわたるDesignWare IP群は、USB/PCI Express/DDR/SATA/HDMI/Ethernetといった業界で広く採用されているプロトコルを実装するためのコントローラ/PHY/検証用IPからなる完全なコネクティビティIPソリューションである。アナログIPは、アナログ・デジタル・コンバーター、デジタル・アナログ・コンバータ、オーディオ・コーデック、ビデオ・アナログ・フロントエンド、タッチ・スクリーン・コントローラ、他で構成されている。さらに、シリコン完成前の段階でソフトウェア開発を開始するために必要となるバーチャル・プラットフォームを作成するためのSystemCベースのトランザクション・レベル・モデル群も提供している。DesignWare IPは、信頼性の高い開発手法、品質確保のための巨額の投資の所産であるだけでなく、包括的な技術サポートとともに提供されているため、設計者は、IP統合リスクを最小化し、最終製品の市場投入までにかかる期間を短縮することができる。詳細情報はhttp://www.synopsys.com/designwareより入手可能。

シノプシスについて
Synopsys, Inc. は、電子設計自動化(EDA)ソリューションの世界的リーダーであり、半導体の設計ならびに製造に用いられる各種のツール、設計資産(IP)、サービスを全世界のエレクトロニクス関連企業に提供している。システムレベルHW/SW設計検証、IP 、HWインプリメント、HW検証、HW製造、FPGA設計の各ソリューションで構成されるシノプシスの包括的な統合環境により、顧客企業が設計や製造段階で直面している重要な課題、すなわち消費電力や歩留まりの管理、システム設計段階からシリコン製造段階までを網羅する総合検証、開発期間の短縮といった課題を克服することが可能になる。各種テクノロジを駆使したこれらのソリューションを活用することにより、顧客企業は、開発コストや開発リスクを削減しつつ最高の製品を迅速に市場投入することが可能となり、競争力を高めることができる。カリフォルニア州マウンテンビューに本社を置き、事業所は北米、ヨーロッパ、日本、アジア、インドなど70ヶ所。詳細な情報は、http://www.synopsys.co.jpより入手可能。

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Synopsys、DC Ultra、DesignWare、Eclypse、Galaxyは、Synopsys, Inc.の商標もしくは登録商標です。
その他の商標や登録商標は、それぞれの所有者の知的財産です。

<お問い合わせ先> 

日本シノプシス合同会社 フィールド・マーケティング・グループ 藤井 浩充
TEL: 03-5746-1780   FAX: 03-5746-1781