ニュースリリース - 2009年4月7日

シノプシス、回路シミュレーション統合ソリューションCustomSimを発表

ネイティブ・デザインルール・チェック機能により、
カスタム・デジタル/アナログ/メモリ検証の課題を克服、生産性の向上を実現

2009年4月6日 カリフォルニア州マウンテンビュー発 - 半導体の設計・製造ツールならびにIPの世界的リーダーであるシノプシス（Synopsys,Inc.、Nasdaq上場コード:SNPS）は本日、回路シミュレーション・ソリューションの新製品CustomSimを発表した。NanoSim、HSIM、XAオプションという業界最高水準のシミュレーション技術を1つの回路シミュレータに統合し、マルチコア機能を追加することにより、大規模アナログ/ミックスドシグナル（AMS）回路の設計生産性を最大4倍向上する。この包括的なソリューションにより、AMS設計においてネイティブ・デザイン・チェック機能を活用できるようになる。CustomSimソリューションは、Discoveryベリフィケーション・プラットフォームの最新バージョンDiscovery2009の一部を形成している。

コンピュータ/コンシューマ・エレクトロニクス/携帯機器といった各アプリケーションが融合する時代になり、１つのチップに占めるメモリの割合が増大しているだけでなく、複雑なデジタル/アナログ機能も統合しなければならなくなっている。このようなAMSデザインを検証するためには、エンジニアはカスタム・デジタル/アナログ/メモリといった異なるタイプの回路を効率的に検証できる回路シミュレーション統合ソリューションを必要としている。さらに、RFトランシーバ、PLL、シグマデルタ・コンバータのようなデジタル制御で動作するアナログ機能ブロックを組み込んだデザインも増加傾向にあり、これらを効率的にシミュレートできる性能や精度も求められている。CustomSimソリューションは、業界最高水準のシミュレーション・エンジンを単一のシミュレータとして統合し、フルチップ・シミュレータ VCSとダイレクト･カーネル・インターフェイスで接続することにより、これらの要求に応えている。また、このソリューションは共通のAMS検証環境上で運用でき、シミュレーション入力データ・フォーマット/ 出力データ・フォーマット/使用するデバイス・モデル/デバッグ環境も共通しているため操作性も容易である。

Advasense  Technologies社  R&D部門担当副社長  Erez  Sperling氏は次のように語っている。「当社の最先端CMOSイメージセンサー・デザインには、多くのアナログ/デジタル要素が組み込まれており、従来のコ・シミュレーション・ソリューションでは容量や性能の限界から検証することができませんでした。CustomSimは当社が使用していたシミュレータと比較して、トランジスタレベルのシミュレーション時間を10倍以上高速化し、VCSとのダイレクト･カーネル・インターフェイス接続によりデザインを迅速かつ正確に検証し、以前は不可能であったシミュレーションを実行することができました」

ジオメトリの微細化が進み、複雑なパワー・マネジメント・テクニックが設計に多用されるようになっており、それらは様々なトランジスタや回路を正しく動作させる上で重要かつ増大するリスク要因となっている。設計者は、検証対象のデザインが電気的な設計ルールに違反していないかどうかを手作業によって確認しなくてはならないため、設計生産性は低下せざるを得ない。例えば、各ブロックがフローティング・ゲートやDCリーク･パスによって発生したリーク・パワーの影響を受け易い状態になってないかどうかの確認は、シミュレーションのみでは実行できない。CustomSimは、スタティック/ダイナミックなネイティブ・デザイン・チェック機能により、電気的な設計ルールの違反やパワー･マネジメントの不具合を即座に検出し、設計者の生産性と信頼性を向上する完全な回路シミュレーション・ソリューションである。

TranSwitch社 ミックスドシグナル担当マネージャ Genady Veytsman氏は次のように語っている。「TranSwitch社はHDMI、DisplayPort、Ethernet  1000/100/10、CX4/LX4技術をはじめとする複雑なミックスドシグナル半導体デバイスやIPを開発しています。シノプシス社のCustomSimは、当社の設計の様々なブロック全てを効率的に検証することができる唯一の統合トランジスタレベル検証ソリューションです」

シノプシス アナログ/ミックスドシグナル・グループ 上級副社長兼ジェネラル・マネージャ　Paul Loは次のように語っている。「CustomSimソリューションは業界最高水準の回路シミュレーション・エンジンを搭載した、当社の回路シミュレーション技術開発における画期的な製品です。CustomSimは、最先端のデザイン・ルール・チェック機能、信頼性の高い解析品質、優れたシミュレーション・エンジン性能を兼ね備えた完全なAMS検証ソリューションを提供し、設計者が直面している厳しいAMS検証課題を解決します」

Discoveryベリフィケーション・プラットフォームについて
Discoveryベリフィケーション・プラットフォームは、AMS検証とデジタル機能検証の統合検証ソリューションである。Discoveryには、業界最高水準の検証テクノロジ群が搭載されており、高い検証性能だけでなく、HDL/デジタルアナログの混在検証、デバッグ、ネイティブ・デザイン・チェック、アサーションベース検証、ローパワー検証、検証用IP、コード/機能カバレッジ解析、テストベンチ自動生成、フォーマル検証といった、各種検証テクノロジを活用できる高い拡張性を提供する。Discoveryは、SystemVerilog、Verilog、Verilog-AMS、VHDL、SystemCTM、OpenVera、IEEE1801（UPF）、VMM、VMMアプリケーションなどの業界標準のハードウェア設計/検証言語やメソドロジもサポートしているため、検証エンジニアは、その生産性を大幅に高め、最先端のAMS/デジタルLSIデザインの検証完了までにかかる期間を短縮できる。これにより、予定していた開発プロジェクトの期間内で、最初のシリコン試作での開発成功が可能となる。Discoveryは、シノプシスがご提供しているSoftware-to-Silicon検証ソリューションの一部であり、複雑化するSoCの開発のために業界で最も包括的かつ実績のあるソリューションをご提供している。すなわち、組込みソフトウェア開発環境、システム・バリデーション・ソリューション、機能検証と回路シミュレーションのソフトウェア・ツールやハードウェア・ベースのツール、検証用IP、検証メソドロジならびにサービスなどである。