ニュースリリース - 2009年3月17日

シノプシス、Lynx Design Systemを発表

製造工程直結の設計環境により、チップ開発期間を短縮し、プロジェクト・リスクを低減

2009年3月16日 カリフォルニア州マウンテンビュー発 - 半導体の設計・製造ツールならびにIPの世界的リーダーであるシノプシス(Synopsys,Inc.、Nasdaq上場コード:SNPS)は本日、業界で最も包括的かつ高度に自動化されたチップ・インプリメンテーション環境Lynx Design Systemを発表した。あらゆる規模の設計に使用できる拡張性を備えた Lynx Design Systemは、実チップ製造実績の豊富なRTL-to-GDSIIデザインフローに、生産性を向上させる新機能を組み合わせており、最新のプロセス・ノードでの設計リスクを低減すると同時に、チップ開発を加速することができる。Lynxは、シノプシスのGalaxyデザイン・プラットフォームを使用して迅速かつ独創的な展開を実現できるように最適化されており、サードパーティのテクノロジを取り込むためのオープン・アーキテクチャも備えている。Lynxには、確立されたフロー、推奨ツール設定、認証済みテクノロジ・データに関して、シノプシスがファウンダリやサードパーティIPパートナーとともに蓄積した経験が反映されているため、Lynx Design Systemは一週間以内でデザインチーム向けにセットアップし、完全に実行することができる。

シノプシス 会長兼CEOであるAart de Geusは次のように語っている。「Lynxは、業界が直面している二つの緊急課題を解決するためのソリューションです。一つは、結果品質を犠牲にすることなく、より効率的にチップを設計すること。もう一つは、設計フローをシステマティックに管理することにより、トータルの開発コストを削減することです。非常に厳しい経済状況に対応するため、Lynxは、開発プロジェクトの管理者や、その上級管理者が設計工程の進捗を見守り、開発スケジュールの問題が発生する可能性を見抜くためのオン・デマンド管理ツールもご提供します」

ARM社、デザイン・テクノロジー部門ワールドワイド・ディレクタであるJohn Goodenough氏は次のように語っている。「設計チームは長年にわたり、個別のプロセスやテクノロジ・ノードに対して、設計フローとライブラリが適正であるかどうかを事前検証するために、大量の内部リソースを割り当てなければなりませんでした。当社は、シノプシス社と緊密に協力し、Lynxに搭載する製造工程直結のフィジカルIPプラットフォームのご提供に注力してまいりました。ARMプロセッサ・ソリューション向けに最適化された実証済みのIP群です。このプラットフォームにより、デザインの選択肢や性能を犠牲にすることなく、製品を市場に投入するまでにかかる期間を短縮することが可能になります」

Lynx Design Systemには、次の4つの重要な要素が搭載されている。

  • 実チップ製造実績の豊富なフルチップ設計フロー
  • Foundry-Ready System
  • Runtime Manager
  • Management Cockpit


実チップ製造実績の豊富なフルチップ設計フロー

Lynx Design Systemは、柔軟かつ完全に統合されたRTL-to-GDSIIデザインフローで、100以上のカスタマー・テープアウトの実績がある。Lynxはマルチコーナー/マルチモード(MCMM)、状態保持電源遮断(SRPG)、ダイナミック・ボルテージ周波数スケーリング(DVFS)のような高度な低消費電力化テクニックをはじめとする、65nm/40nm設計に必要な最新メソドロジはもちろん、大規模かつ複雑な設計を管理するコンカレントな階層設計機能も搭載している。設計チームの生産性を向上させるために、Lynxは設計フローのコンフィギュレーションと実行環境の立ち上げを自動化している。Lynxには、ARMプロセッサに最適化されたARMフィジカルIPを使用するARM-Synopsysインプリメンテーション・リファレンス・メソドロジ(iRM)をベースにした最高のデザイン実行環境が搭載されている。このiRMは、ARM社とシノプシスによって実証済みの包括的なソリューションを提供することにより、設計者が選択したテクノロジ・ノードでARMプロセッサ・ベースのチップ開発を行うための手順を効率的に整備でき、優れた性能と消費電力効率を両立させたチップ開発を実現できる。

世界でもっとも革新的な補聴器メーカであるOticon A/S社の製品開発チームプラットフォーム・ディレクタであるMogens Balsby氏は次のように語っている。「Lynxが提供してくれる事前テスト済みの設計フローにより、新しいプロセス・ノードへの移行に伴って発生するリスクを削減でき、エンジニアは設計に集中することができます。Lynxの導入の容易さには感銘を受けました。またLynxの包括的な機能により、当社のプロジェクトを非常にコスト効率良く、かつ迅速に行うことができました」

Foundry-Ready System
設計チームが直面する課題のひとつに、異なるソースから入手するテクノロジ・データとIPの適合性の確認がある。Lynxには、フローで使用するテクノロジ・ファイルやライブラリを事前検証することにより、チップのインプリメント作業開始を加速するFoundry-Ready Systemがある。加えて、ハードIPチェッカを用いて、IPの単独動作テストとインターオペラビリティ・テストを行うことにより、異なるIPの適合性検査を迅速に行うことができるため、インプリメント作業をさらに迅速に実行できる。また、特定のファウンダリ・プロセス・ノードやライブラリ向けに個別調整できるFoundry-Ready Systemは、メタル・フィル密度やオンチップのタイミングのばらつきのようなマニュファクチャビリティに影響を与える要素に対するプロセス仕様チェックや、デフォルト設定ができる。これらの機能により、ファウンダリにハンドオフするデザインの品質を向上させ、すぐに製造可能なデザインを実現することができる。

Runtime Manager
Lynxには、設計フローのコンフィギュレーションや実行環境の立ち上げを自動化するRuntime Managerがあり、これにより設計チームの生産性を改善する。Runtime ManagerはGUIベースのアプリケーションで、設計フローの変数を簡単に設定/検証でき、フローの作成や修正を簡単に行うことができる直観的なドラッグ&ドロップ・インターフェイスを搭載している。Runtime Managerを使用することにより、設計フローの進捗と平行して、各設計段階のステータスをレポートするダッシュボードや、フローに関連した問題点を簡単にデバッグする機能を使用して、設計者はコンカレントに複数のデザイン・ブロックを監視することができる。また、Runtime Managerはバッチモードで使用して、個別ブロックもしくはチップ全体の構築を自動化することができる。

Management Cockpit
Lynx Design Systemのもう一つの特長として、設計プロジェクトの状況を可視化できるユニークな機能がある。LynxのManagement Cockpitは、フローにしたがって設計を進めている間、Lynxによって自動的に補足された重要なプロジェクト・データをブラウザ・ベースで確認することができ、また特定の設計目標に対して設計の現状を報告するレポートをカスタマイズできる直観的なGUIベースのツールを提供する。デザイン特性(例:タイミング、利用、クロックスキュー、リーク・パワー、フォルト・カバレッジ)やシステム・リソース(例:ランタイム、CPUおよびメモリ使用)に関連した50以上の指標をブロック・レベルとチップ・レベルで追跡することができ、ユーザーは自分のフローに固有の指標を追加することもできる。ウェブ・ブラウザによってプロジェクトの重要な統計や傾向を示すデータを直接確認できるため、あらゆるレベルでいつ設計が完了するのかをマネージャーが予想できるだけではなく、プロジェクトを通じてデータに基づいた最適な人材やコンピュータ・リソースを決定することができる。

Wipro Technologies社、主席コンサルタントであるSujeeth Joseph氏は次のように語っている。「Lynxが提供する自動化機能と並列処理機能により、当社のフィジカル・デザイン・エンジニアは設計フローを通じて効率的にブロックを作成することができました。また、設計フローの進捗と平行して、GUIベースのRuntime Managerによりデザインを簡単に監視し、問題点をデバッグすることができました。さらに、事前にテストしたライブラリとファウンダリ・データをフローで使用して、設計を開始することができたため、スケジュールの進捗を加速しリスクを低減することができました」

Lynx Design Systemは現在提供可能である。

シノプシスについて
Synopsys, Inc. は、電子設計自動化(EDA)ソリューションの世界的リーダーであり、半導体の設計ならびに製造に用いられる各種のツール、設計資産(IP)、サービスを全世界のエレクトロニクス関連企業に提供している。システムレベルHW/SW設計検証、IP 、HWインプリメント、HW検証、HW製造、FPGA設計の各ソリューションで構成されるシノプシスの包括的な統合環境により、顧客企業が設計や製造段階で直面している重要な課題、すなわち消費電力や歩留まりの管理、システム設計段階からシリコン製造段階までを網羅する総合検証、開発期間の短縮といった課題を克服することが可能になる。各種テクノロジを駆使したこれらのソリューションを活用することにより、顧客企業は、開発コストや開発リスクを削減しつつ最高の製品を迅速に市場投入することが可能となり、競争力を高めることができる。カリフォルニア州マウンテンビューに本社を置き、事業所は北米、ヨーロッパ、日本、アジア、インドなど70ヶ所。詳細な情報は、http://www.synopsys.co.jpより入手可能。

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日本シノプシス合同会社 フィールド・マーケティング・グループ 藤井 浩充
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