ニュースリリース - 2008年6月10日

シノプシス、OSCI SystemC TLM2.0をサポート

新しいアプリケーション・プログラム・インターフェイス標準規格により、
SystemCをベースにした実チップ完成前の組み込みソフトウェア開発と
バーチャル・プラットフォームのモデル・インターオペラビリティが加速

2008年6月9日 カリフォルニア州マウンテンビュー発 - 半導体の設計・製造ツールならびにIPの世界的リーダーであるシノプシス(Synopsys, Inc.、Nasdaq上場コード:SNPS)は本日、Open SystemC Initiative(OSCI)が新しく策定した標準規格SystemC TLM-2.0をInnovatorとDesignWare System-Level Libraryがサポートすると発表した。シノプシスは、実機完成前の段階での組み込みソフトウェア開発を可能にするバーチャル・プラットフォームのインフラとしてのSystemCの可能性を引き出すため、この新しい標準規格の策定に意欲的に取り組んできた。設計者は、DesignWare System-Level Library が提供するTLM-2.0準拠のライブラリ・コンポーネントを用いてSystemCベースのバーチャル・プラットフォームを開発し、検証し、提供することができるようになり、ソフトウェア開発者は、シノプシスのバーチャル・プラットフォーム Innovatorを用いて実機完成前の段階での組み込みソフトウェア開発が可能になる。この開発環境下では、TLM-2.0準拠のシミュレータなら全て性能低下を引き起こすことなく実行できる。

富士通マイクロエレクトロニクス株式会社 設計技術統括部 第三設計部 部長 長谷川隆氏は次のように語っている。「システム全体の検証とそのシステムの実機完成前の段階での組み込みソフトウェア開発の効率化を促進するシステムレベル・ソリューションの確立は必須であり、モデルのインターオペラビリティがその鍵を握ると当社では考えています。シノプシス社のDesignWare System-Level Libraryが提供してくれるTLM-2.0準拠のSystemCモデル(ライブラリ・コンポーネント)は、Electronic System Level(ESL)デザイン・メソドロジの発展に重要な役割を果たしてくれます。これによってバーチャル・プラットフォームの開発期間を短縮できるからです」

シノプシスのInnovatorが提供するバーチャル・プラットフォームは、ハードウェアの全ての機能を表現し高速動作するシミュレーション・モデルとして提供される仮想開発環境である。これにより、そのハードウェアの実機が完成する数ヶ月前の段階でソフトウェアの開発とハードウェアへの統合が可能になる。Innovatorは、現在市場に出ているシステムのバーチャル・プラットフォームを50種以上提供しており、それらは組み込みソフトウェア開発者によって活用されている。

SystemC TLM-2.0準拠のトランザクションレベル・モデルとは、ソフトウェアの早期開発、ハードウェア/ソフトウェア協調設計、アーキテクチャの検討、システム検証を実行するためのバーチャル・プラットフォームを構築するのに必要な基本ビルディング・ブロックを指す。DesignWare System-Level Libraryは、この標準規格に準拠した、ツールに依存しないトランザクションレベル・モデルであり、業界で最も豊富なモデル・ライブラリ群を提供している。このモデルはSystemC TLM-2.0準拠のあらゆるシミュレータで検証用コンポーネントとして使用できる。

OSCI 社長 Mike Meredith氏は次のように語っている。「設計者がこれまで行ってきたTLM-2.0への投資を無駄にしないためには、TLM-2.0準拠のあらゆるシミュレータで使用できるようインターオペラビリティが確保されたモデルが必要です。今回新たに策定された標準規格TLM-2.0に準拠したモデルを用いれば、特定の個別ソリューションに依存することなくシミュレーション性能を向上させることができますし、実機完成前の段階での組み込みソフトウェア開発を可能にするバーチャル・プラットフォームのSystemCベース環境の普及を妨げる重大な障害を取り除くことができるからです」

OSCI標準規格TLM-2.0は、主要ユーザーが求めてきた性能/柔軟性/インターオペラビリティの向上を目指して策定された。シノプシスは、この新しい標準規格が高性能インターフェイス標準としてのニーズを満たしたものになるために、規格策定に積極的に協力してきた。その中には、実際に可能であることを示す実装例やドキュメントの提供も含まれている。

EDA調査会社 Gary Smith EDA社の社長 Gary Smith氏は次のように語っている。「当社のESLマーケット・トレンド・レポートで述べているとおり、標準規格の問題が解決すればバーチャル・プラットフォームは急速に普及すると当社は予測しています。TLM-2.0により、このバーチャル・プロトタイピング手法が業界の主流となって、組み込みソフトウェアとハードウェアの協調開発を促進するためのハードルが取り除かれることになります」

シノプシスは、2008年6月9日~12日アナハイムで開催されているDesign Automation Conferenceで、TLM-2.0準拠のDesignWare System-Level LibraryならびにTLM-2.0準拠コンポーネントの開発/取り込み機能を備えたInnovatorを展示紹介する。(ブースNo.1349)

シノプシス IP&サービス マーケティング・シニア・ディレクター John Koeter は次のように述べている。「SystemC TLM-2.0準拠のツールとライブラリの登場は、ユーザーの皆様にとって重要な節目となります。TLM-2.0に準拠したツールとライブラリをご提供するのは、当社が初めてです。技術の開放性とインターオペラビリティの確保がトリガーとなって、特定の個別ソリューションの早期採用によってしか実現できなかったSystemCベースのバーチャル・プラットフォーム環境が、業界で幅広く活用できる環境に切り替わります」

出荷時期
TLM-2.0準拠のDesignWare System-Level LibraryとInnovatorは、2008年の第三4半期より提供開始。詳細情報はならびにより入手可能。

DesignWare IPについて
シノプシスは、SoC開発に欠かせない高品質かつシリコン実証済みのデジタル/ミックスドシグナルIP群ならびに検証用IP群を広範囲にわたって提供している。シノプシスはコネクティビティIPのリーディング・プロバイダでもあり、USB/PCI Express/SATA/Ethernet/DDRといった業界で広く採用されているプロトコルを実装するための最も包括的なソリューションを提供している。さらに、シリコン完成前の段階でソフトウェア開発を開始するために必要となるバーチャル・プラットフォームを作成するためのSystemCベースのトランザクション・レベル・モデル群も提供している。DesignWare IPは、信頼性の高い開発手法、品質確保のための巨額の投資の所産であるだけでなく、包括的な技術サポートとともに提供されているため、設計者は、IP統合リスクを最小化し、最終製品の市場投入までにかかる期間を短縮することができる。詳細情報はhttp://www.synopsys.com/designwareより入手可能 。

シノプシスについて
Synopsys, Inc. は、電子設計自動化(EDA)ソリューションの世界的リーダーであり、半導体の設計ならびに製造に用いられる各種のツール、設計資産(IP)、サービスを全世界のエレクトロニクス関連企業に提供している。システムレベルHW/SW設計検証、IP 、HWインプリメント、HW検証、HW製造、FPGA設計の各ソリューションで構成されるシノプシスの包括的な統合環境により、顧客企業が設計や製造段階で直面している重要な課題、すなわち消費電力や歩留まりの管理、システム設計段階からシリコン製造段階までを網羅する総合検証、開発期間の短縮といった課題を克服することが可能になる。各種テクノロジを駆使したこれらのソリューションを活用することにより、顧客企業は、開発コストや開発リスクを削減しつつ最高の製品を迅速に市場投入することが可能となり、競争力を高めることができる。カリフォルニア州マウンテンビューに本社を置き、事業所は北米、ヨーロッパ、日本、アジア、インドなど70ヶ所。詳細な情報は、http://www.synopsys.co.jpより入手可能。

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SynopsysおよびDesignWareは、Synopsys, Inc.の登録商標です。
SystemCは、Open SystemC Initiativeの商標であり、ライセンス契約により使用が許諾されます。
その他の商標や登録商標は、それぞれの所有者の知的財産です。

<お問い合わせ先> 

日本シノプシス合同会社 フィールド・マーケティング・グループ 藤井 浩充
TEL: 03-5746-1780   FAX: 03-5746-1781