ニュースリリース - 2008年1月15日

STARC、同社のSTARCAD-CELメソドロジ向けのバラツキ考慮タイミング解析ツールに - シノプシスのPrimeTime VXを採用

シノプシスとSTARCが、65nm以降のプロセス・テクノロジで発生するバラツキに対応した設計を可能にするため
現実的で信頼性の高い設計手法の確立で協力

2008年1月14日 カリフォルニア州マウンテンビュー発
 - 半導体の設計・製造ツールならびにIPの世界的リーダーであるシノプシス(Synopsys, Inc.、Nasdaq上場コード:SNPS)は本日、株式会社 半導体理工学研究センター(以下、STARC)が、65nm対応のシノプシス・ベースSTARCAD-CELメソドロジの一部としてシノプシスのスタティスティカル・タイミング解析サインオフ・ソリューションPrimeTime VXを採用したと発表した。PrimeTime VXは、業界標準のスタティックタイミング解析(STA)サインオフ・ツールであるシノプシスのPrimeTimeをベースに開発されたソリューションであるため、STARCはPrimeTimeを用いていくつかの革新的な手法の有効性を確認した上で、既存の設計フローにスタティスティカルSTA(SSTA)技術を組み込むことができた。この結果、STARCとシノプシスの顧客企業は、投資効果を最大化するのに最も適したPrimeTimeベースのSSTAサインオフ・ソリューションを活用することができるようになり、過剰な設計マージンを削減することができるようになった。

STARC 執行役員 開発第1部長 西口信行氏 は次のように語っている。「当社のメンバー企業各社は、バラツキを考慮した設計解析とサインオフを達成するために、解析精度、設計フローへの組み込みの容易さといった点で様々な要求を持っていました。多岐にわたる評価の結果、当社はシノプシスのPrimeTime VXを採用することに決めました。PrimeTime VXは、65nm以降のジオメトリで発生するバラツキに対して、柔軟性が高く、包括的かつ革新的なソリューションを提供してくれるからです」

これまで用いられてきたSTA技術では、特定のプロセス/電圧/温度(PVT=Process/Voltage/Temperature)のコーナーケースについての解析が限界だった。そのため設計者は、ダイ間やダイ内部で発生するバラツキによるデザインへの影響を未然に防止するため、多くの極端なPVTコーナーケースを解析し、それぞれのケースに対して個別にオンチップバリエーション(OCV)ガードバンドを設定しておく必要があった。SSTAは、統計的(スタティスティカルな)手法を用いることによって、このガードバンドとコーナーケース解析作業を最小化できる新しいテクノロジである。他社のSSTAソリューションとは異なり、PrimeTime VXの場合、設計者は業界標準ツールとして活用してきたPrimeTime、それを組み込んだ設計フロー、その活用ノウハウといった資産をそのまま有効利用することができる。

STARCは、65nm SoC開発に用いられているプロダクション・ユースの設計フローにSSTAソリューションを組み込むために、PrimeTimeとPrimeTime VXが提供する豊富な機能を活用し、3つの現実的なテクニックを適用した結果を判定した。一つ目の手法は、PVTコーナーケースに対するOCV解析を改善するためにPrimeTimeのロケーション・ベースのマージン設定機能を用いる方法である。二つ目は、コーナーベースのSTAとSSTAを組み合わせる方法、三つ目は、全てのバラツキの解析にSSTAを適用する方法である。

PrimeTime VXにより、STARCは、設計者がこれらの三つの手法がもたらす開発コストと成果を比較して最適なものを選択できることを確認できた。すなわち、ライブラリ・キャラクタライゼーションと新しいフロー・インフラにかかるコストと、精度向上のトレードオフである。この柔軟性により、設計者は、どういうデザイン・スタイル/プロセス/コスト要求の下での開発であろうと、最適なSSTA手法を適用して設計品質を向上し開発期間を短縮できる。STARCは今回の成果を2008年1月24日~25日にパシフィコ横浜で開催されるEDS Fairに出展する日本シノプシス・ブースのステージで発表する。

シノプシス プロダクト・マーケティング担当副社長のBijan Kianiは次のように述べている。「65nm以降のプロセスで発生してくるバラツキに対処するためには現実的な解決方法が必要になります。当社とSTARC様の協業の成果が示すとおり、PrimeTime VXは実績のあるSTAソリューション基盤上に組み込める唯一のツールであり、採用が容易で柔軟性が高く、バラツキを考慮したサインオフを実現できます」

STARCについて
株式会社 半導体理工学研究センター(STARC)は、日本の主要半導体企業の出資によるコンソーシアムであり、最先端のSoC設計メソドロジの開発をミッションとしている。詳細な情報は、http://www.starc.jpより入手可能。

シノプシスについて
Synopsys, Inc. は、電子設計自動化(EDA)ソリューションの世界的リーダーであり、半導体の設計ならびに製造に用いられる各種のツール、設計資産(IP)、サービスを全世界のエレクトロニクス関連企業に提供している。システムレベルHW/SW設計検証、IP 、HWインプリメント、HW検証、HW製造、FPGA設計の各ソリューションで構成されるシノプシスの包括的な統合環境により、顧客企業が設計や製造段階で直面している重要な課題、すなわち消費電力や歩留まりの管理、システム設計段階からシリコン製造段階までを網羅する総合検証、開発期間の短縮といった課題を克服することが可能になる。各種テクノロジを駆使したこれらのソリューションを活用することにより、顧客企業は、開発コストや開発リスクを削減しつつ最高の製品を迅速に市場投入することが可能となり、競争力を高めることができる。カリフォルニア州マウンテンビューに本社を置き、事業所は北米、ヨーロッパ、日本、アジア、インドなど70ヶ所。詳細な情報は、http://www.synopsys.co.jpより入手可能。

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Synopsys、PrimeTimeは、Synopsys, Inc.の登録商標です。
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日本シノプシス合同会社 フィールド・マーケティング・グループ 藤井 浩充
TEL: 03-5746-1780   FAX: 03-5746-1781