ニュースリリース - 2016年1月28日

シノプシス、IoT機器開発のデータ融合処理を高速化する新しいIPサブシステムの提供を開始

最新のARC EM DSP プロセッサ、ペリフェラル、ソフトウェアからなる DesignWare Smart Data Fusion IP Subsystem により、より低消費電力でより高い信号処理性能を実現

概要

  • 非常に高いDSP 性能を持つ電力効率の高い最新プロセッサDesignWare ARC EM9D ならびにEM11D を搭載した事前検証済みのIP サブシステム
  • プロセッサがスリープ・モード時のデータ転送により、システムレベルの消費電力を削減しつつアクセス・スピードを4 倍高速化するmicroDMAコントローラを統合
  • 密結合メモリー、ペリフェラル、ハードウェア・アクセラレータにより、ディスクリート比で消費電力を最大85% 削減
  • ソフトウェア・ドライバならびにFFT/DCT やFIR/IIR フィルター機能を提供する豊富なDSP 機能ライブラリにより、アプリケーション・ソフトウェア開発を短期化
  • IoT 機器開発向けに最適化したシノプシスの“スマート”IP サブシステム・ファミリーを拡充


2016年1月27日 カリフォルニア州マウンテンビュー発 – シノプシス(Synopsys, Inc.、Nasdaq上場コード:SNPS)は本日、非常に高いDSP 性能と超低消費電力を実現する事前検証済みのハードウェア/ソフトウェアIP を統合した新しいIP ソリューション DesignWare® Smart Data Fusion IP Subsystem を発表した。このサブシステムには、信号処理性能を大幅に向上させるXYメモリーをサポートする最新のプロセッサ・コアであるEM9DならびにEM11D を始めとするDesignWare ARC® EM DSP プロセッサ・ファミリーの中からコアを選択搭載できる。またmicroDMA(Direct Memory Access)コントローラも統合されており、プロセッサが各種のプログラマブル・スリープ・モードに入っている間にデータ転送を行うことにより、システムレベルで消費電力を最小化する。ペリフェラル、メモリー、ハードウェア・アクセラレータ、ソフトウェアによる信号処理機能も統合されており、常時稼動のセンサー・フュージョン、音声/画像・認証、音声再生といったIoT アプリケーションで一般的な処理タスクに必須の高い性能を実現する。

ルネサス エレクトロニクス株式会社 第一ソリューション事業本部 コア技術事業統括部 統括部長 山内忠昭氏は次のように語っている。「IoT デバイスでは、低消費電力のセンシング機能と高速なデータ処理機能の両立がこれまで以上に求められています。シノプシス社と共同開発した評価ボードには、最先端の40nm 組込みフラッシュ・メモリー・テクノロジが搭載されています。このボードをお使いいただいた開発者の皆様は、シノプシス社のDesignWare Smart Data Fusion IP Subsystem と当社の革新的な高性能組込みフラッシュ・メモリー・コントローラIP という互いに補完し合うテクノロジを活用することにより、高性能で低コストなIoT システムをより短期間で開発できるようになることがご実感いただけるでしょう」

DesignWare Smart Data Fusion IP Subsystem は、多数のデジタル/アナログ・センサーから送られてくるデータを最小限の消費電力で処理できるよう開発されており、ホスト・プロセッサの負荷を軽減する一方で、より効率の高いセンサー・データ処理を実現する。このサブシステムは完全なコンフィギュラビリティをそなえており、プロセッサはARC EM5D、EM7D、EM9D あるいはEM11D の中から選択できる。いずれも、高い処理性能と低消費電力を両立させたコアとなっており、RISC とDSP を組み合わせた処理機能を提供し、1クロックサイクルあたり1つの32x32 積和演算または2つの16x16 積和演算の持続的なスループットを実現するXYメモリー・バンクをサポートしている。最先端のセンサー・フュージョン・アルゴリズムで求められる膨大なデータ処理に対応するため信号処理容量も強化されており、MP3/SBC/OPUS/AAC LC といった各種音声フォーマットの処理効率が向上している。例えば、ARC プロセッサ上でのBluetooth Low Complexity Subband Coding(SBC)のコーデックの場合、消費電力は40nm ローパワー・プロセスでわずか40マイクロワット以下、動作周波数(MHz)は他のプロセッサよりも25%以上抑えて実行できる。

microDMA コントローラを統合しているため、プロセッサがスリープ・モードに入っている間にメモリーやペリフェラルにアクセスでき、従来のバス経由のDMA 機構と比較してアクセス・スピードが4 倍向上する。また、SPI やI2C、AD コンバータ・インターフェイスなどのI/O ペリフェラルを高度に最適化して組み込んでいるため、開発工数の手間をかけることなくゲート数や消費電力を抑制することができる。

さらに、ソフトウェア・ドライバや、フィルタリング、マトリックス/ベクター、間引き/補間、複素演算をサポートした各種DSP 機能をすぐに使える形で提供する広範囲にわたるライブラリを備えているため、ソフトウェア開発も容易になる。設計者は、ネイティブDSP 命令と、プロセッサと緊密に統合されたハードウェア・アクセラレータを組み合わせて、センサー・アプリケーションに固有の信号処理機能を実装することができ、より高いパフォーマンス効率を実現しつつ消費電力を削減できる。さらにこのサブシステムは、会話認証、音声制御、操作認識、事前音声処理、音声再生といったIoT 機能をサポートする各種ソフトウェアにも対応している。また、ソフトウェア開発者は、シノプシスの embARC Open Software Platform を通じて多岐にわたるフリーもしくはオープンソースのソフトウェアをweb 経由で入手できるため、サブシステム向けソフトウェア開発を迅速に進めることができる。

シノプシス IP&プロトタイピング マーケティング担当副社長 John Koeter は次のように述べている。「先進のセンサー・フュージョン・アプリケーションでは、最小限の消費電力と最小限のチップ面積を両立させた高度なシステム統合が必要となります。DesignWare Smart Data Fusion IP Subsystem は、センサーからの情報を処理したり音声を認識/再生したりといった専門タスクを、システムに許されている電力消費の範囲内で実行できるDSP 性能を提供する事前検証済みのハードウェア/ソフトウェア・ソリューションです。この完全かつ事前統合済みのIP サブシステムにより、設計者の皆様は、開発リスクと工数を大幅に削減しつつ、IoT デバイスに必須の重要な機能を短期間で実装できるようになります」

提供開始時期
 
DesignWare Smart Data Fusion IP Subsystem は、2016年2月の提供開始を予定している。

DesignWare IP について 
シノプシスは、システムオンチップ向けの高品質かつシリコン実証済みIP のリーディング・プロバイダである。シノプシスの多岐にわたるDesignWare IP 群は、ロジック・ライブラリ、組込みメモリー、組込みテスト、アナログIP、有線・無線通信向けインターフェイス(業界標準プロトコル)IP、セキュリティIP、組込みプロセッサ・コアとそのサブシステムで構成されている。IP に関連するソフトウェア開発とハードウェア/ソフトウェア統合を容易にするため、シノプシスのIP Acceleratedイニシャティブは、IP プロトタイピング・キット、IP 向けソフトウェアの開発キット、IP サブシステムを提供している。DesignWare IP は、信頼性の高い開発手法、品質確保のための巨額の投資の所産であるだけでなく、包括的な技術サポートとともに提供されているため、設計者は、IP のSoC への統合リスクを最小化し、最終製品の市場投入までにかかる期間を短縮することができる。詳細情報はhttp://www.synopsys.com/designware より入手可能。

シノプシスについて
 
Synopsys, Inc.(Nasdaq上場コード:SNPS)は、我々が日々使用しているエレクトロニクス機器やソフトウェア製品を開発する先進企業のパートナーとして、半導体設計からソフトウェア開発に至る領域(Silicon to Software)をカバーするソリューションを提供している。電子設計自動化(EDA)ソリューションならびに半導体設計資産(IP)のグローバル・リーディング・カンパニーとして長年にわたる実績を持ち、ソフトウェア品質/セキュリティ・ソリューションの分野でも業界をリードしており、世界第16 位のソフトウェア・カンパニーとなっている。シノプシスは、最先端の半導体を開発しているSoC(system-on-chip)設計者、最高レベルの品質とセキュリティが要求されるアプリケーション・ソフトウェアの開発者に、高品質で信頼性の高い革新的製品の開発に欠かせないソリューションを提供している。詳細な情報は、 http://www.synopsys.com/japan より入手可能

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Synopsysは、Synopsys, Inc.の登録商標です。 
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<お問い合わせ先>

日本シノプシス合同会社 フィールド・マーケティング・グループ 藤井 浩充 
TEL: 03-6746-3940  FAX: 03-6746-3941