ニュースリリース - 2015年11月5日

シノプシス、DesignWare ARC EMプロセッサ向けのEnhanced Security Package を提供

超低消費電力のARC EM コア単体で信頼性の高い実行環境を実装できるオプション・パッケージ

概要

  • 信頼性の高い実行環境を構築するシノプシス SecureShield テクノロジを搭載したARC EMプロセッサ・ファミリー向けのEnhanced Security Package オプション
  • 外部からの攻撃や知的財産の盗用からシステムを守るインライン・インストラクションとデータの暗号化、アドレスのスクランブル処理、データの整合性チェック機能
  • 不正な設定変更により引き起こされるシステム障害を検知し対策を講じるウォッチドッグ・タイマー内蔵
  • 防御性の高いインストラクションやコ・プロセッサの追加により、実行性能の向上と消費電力の削減が可能


2015年11月4日 カリフォルニア州マウンテンビュー発 – 
シノプシス(Synopsys, Inc.、Nasdaq上場コード:SNPS)は本日、DesignWare ARC EM プロセッサ・ファミリー向けの新しいオプション・ライセンスEnhanced Security Package を発表した。これにより、知的財産の盗用や遠隔攻撃などの高度化するセキュリティ攻撃からシステムやソフトウェアを防御する安全性の高い隔離された実行環境の構築が可能となる。Enhanced Security Package には、信頼性の高い実行環境の構築手段の一つとして、セキュアな実行環境とノン・セキュアな実行環境、セキュアなメモリー領域とノン・セキュアなメモリー領域を分離して管理するシノプシス SecureShieldテクノロジが組み込まれている。また、外部攻撃からソフトウェアを守るインストラクションとデータの暗号化、データの整合性チェックといった機能も搭載している。ARC EM プロセッサとEnhanced Security Package の組み合わせにより、SoC 設計者は、超低消費電力のプロセッサ単体でセキュリティ攻撃に対する防御性の高いデバイスを開発できるため、セキュリティ対策用のプロセッサ・コアやメモリーの追加による面積や消費電力の増加を回避できる。こうしたセキュリティ機能と低消費電力性能の両立は、ウェアラブル・デバイスやスマート・ホーム・デバイスといったIoT/モバイル機器にとっては、特に重要な要素となる。

Intrinsic-ID社 CEO Pim Tuyls 氏は次のように語っている。「ネット接続システムやデバイス上のあらゆる部分で機密を保持すべきデータが行き来し、データ量も増加しています。組込みシステムのプライバシー保護機能やセキュリティ機能の重要性は高まる一方です。シノプシス社のEnhanced Security Package は、小面積で超低消費電力のコアを使って先進のセキュリティ機能を提供するもので、テクノロジの空白部分を埋めてくれる技術です。当社とシノプシス社の協業により、設計者は、ARC EM プロセッサと当社のPUF 技術を用いて、安全な通信チャネルを容易に実装することができます」

DesignWare ARC EM は、拡張性の高い32ビットARCv2インストラクション・セット・アーキテクチャ(ISA)をベースに、面積と電力効率の最適化が施されたプロセッサ・ファミリーで、様々なネット接続機器に最適なプロセッサである。Enhanced Security Package には、SecureShield テクノロジが組み込まれており、コアとシステム・バス、そして最大16 個のコンフィギュラブルなメモリー領域を持つセキュアなメモリー・プロテクション・ユニット(MPU)のアクセス管理機能を提供する。セキュアMPU は、特定のメモリー領域に対するインストラクションとデータの読み出し/書き込み/実行の許可をプログラマブルに設定でき、領域ごとにスクランブル処理と暗号化を実行できる。このコンフィギュラブルなMPUとセキュアなコンテクスト・スイッチとの組み合わせにより、単一のプロセッサ・コアで、複数の独立したコンテクスト実行が可能になる。また、プログラマーは、ARC Processor Extension(APEX)を用いて、カスタム・インストラクションやコ・プロセッサ機能を定義できるが、これらの機能は、セキュア・モード時のみの実行できるように制限(デザイン時、もしくは実行時に設定可)することができる。

また、ARC EM のEnhanced Security Package は、不正開封防止機構のついたパイプラインとその他の保護機構を提供しているため、知的財産の盗用や外部攻撃からのシステム防御に高い効果を発揮する。保護されたパイプライン・レジスタとインライン・インストラクションならびにデータ暗号化の組み合わせにより、複合化されたインストラクションがストアされたりアクセスされたりすることはなく、インストラクションのタイミングに影響を与えずリバース・エンジニアリングからアルゴリズムを守ることができる。ARC EM の従来の誤り検出/訂正(ECC)機能は、意図的に挿入されたエラーが検出された場合に例外処理を起動するためのデータならびにインストラクション・パスの整合性チェック機能が改善されている。また、Enhanced Security Package には、ウォッチドッグ・タイマーが内蔵されているため、異常なシステム動作を検出し、正常化できる。

ARC EM プロセッサ・ファミリーは、ハードウェアならびにソフトウェア開発のための強力なエコシステムも提供している。早期ソフトウェア開発のためのARC EM Starter Kit、ディープ・エンベデッド・アプリケーションに最適な高度に効率化されたコードを生成するMetaWare Development Toolkit、nSIM ならびにxCAM からなるARC シミュレータ、コア・コンフィギュレーション・ツールのARChitect などである。またARC EM 向けソフトウェアの開発者は、embARC Open Software Platform を通じて、無償かつオープンソースで提供される包括的なソフトウェア群へのオンライン・アクセスが可能で、IoT 機器やその他の組込み機器に搭載するソフトウェア・コードの開発負担を軽減することができる。

シノプシス IP&プロトタイピング マーケティング担当副社長 John Koeter は次のように述べている。「クラウドに蓄積されスマート・デバイス間を飛び交うパーソナル・データは膨大な量となっており、データ破壊や悪意ある攻撃の脅威からシステムを守るためには、実効性の高いセキュリティ対策が不可欠です。今回のARC EM コア向けEnhanced Security Package で、シノプシスが提供しているセキュリティ関連ソリューションを拡充することにより、エンジニアは、開発中のアプリケーションで必要とされる性能/消費電力/面積の目標を犠牲にすることなく、必要な機能をセキュアなネット接続機器に実装できるようになります」

SecureShield テクノロジを搭載したEnhanced Security Package は、ARC EM プロセッサ向けのCryptoPack オプションやDesignWare Security IP ソリューションなどからなるシノプシスの包括的なセキュリティIP ソリューションの一部となる。シノプシスのセキュリティIP ソリューションは、暗号処理プロセッサならびにソフトウェア、プロトコル・アクセラレータ、ルート・オブ・トラスト、プラットフォーム・セキュリティ、コンテンツ・プロテクションIP といった幅広いセキュリティ機能を提供している。

提供開始時期
Enhanced Security Package オプションは、ARC EM4 ならびにARC EM5D 向けに2015年12月の一般提供開始を予定している。その他のARC EMコア向けには、2016年の提供開始を予定している。 ARC EM9D、EM11D プロセッサ、ならびに関連するMetaWare ソフトウェア開発ツールは、2016年9月に一般提供開始の予定である。


DesignWare IP について
シノプシスは、システムオンチップ向けの高品質かつシリコン実証済みIP のリーディング・プロバイダである。シノプシスの多岐にわたるDesignWare IP 群は、ロジック・ライブラリ、組込みメモリー、組込みテスト、アナログIP、有線・無線通信向けインターフェイス(業界標準プロトコル)IP、セキュリティIP、組込みプロセッサ・コアとそのサブシステムで構成されている。IP に関連するソフトウェア開発とハードウェア/ソフトウェア統合を容易にするため、シノプシスのIP Acceleratedイニシャティブは、IP プロトタイピング・キット、IP向けソフトウェアの開発キット、IP サブシステムを提供している。DesignWare IP は、信頼性の高い開発手法、品質確保のための巨額の投資の所産であるだけでなく、包括的な技術サポートとともに提供されているため、設計者は、IP のSoC への統合リスクを最小化し、最終製品の市場投入までにかかる期間を短縮することができる。詳細情報はhttp://www.synopsys.com/designware より入手可能。

シノプシスについて
Synopsys, Inc.(Nasdaq上場コード:SNPS)は、我々が日々使用しているエレクトロニクス機器やソフトウェア製品を開発する先進企業のパートナーとして、半導体設計からソフトウェア開発に至る領域(Silicon to Software)をカバーするソリューションを提供している。電子設計自動化(EDA)ソリューションならびに半導体設計資産(IP)のグローバル・リーディング・カンパニーとして長年にわたる実績を持ち、ソフトウェア品質/セキュリティ・ソリューションの分野でも業界をリードしており、世界第16 位のソフトウェア・カンパニーとなっている。シノプシスは、最先端の半導体を開発しているSoC(system-on-chip)設計者、最高レベルの品質とセキュリティが要求されるアプリケーション・ソフトウェアの開発者に、高品質で信頼性の高い革新的製品の開発に欠かせないソリューションを提供している。詳細な情報は、http://www.synopsys.com/japan より入手可能。

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Synopsysは、Synopsys, Inc.の登録商標です。 
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<お問い合わせ先>

日本シノプシス合同会社 フィールド・マーケティング・グループ 藤井 浩充 
TEL: 03-6746-3940  FAX: 03-6746-3941