ニュースリリース - 2017年6月27日

シノプシス、機械学習アプリケーションのニューラル・ネットワークのパフォーマンスを4倍に高めるエンベデッド・ビジョン・プロセッサを提供

DesignWare EV6xプロセッサ・ファミリーのエンハンスメントによりリアルタイム・ビジョン・プロセッシングを4.5 TeraMACs/秒で実行

 

概要

  • 最大4つの512ビット・ベクターDSPと、畳み込みニューラル・ネットワーク(CNN)エンジンを搭載したDesignWare EV6xプロセッサ・ファミリーが、現在だけでなく将来のさまざまなエンベデッド・ビジョン・アプリケーションにも対応できるパフォーマンス・スケーラビリティを提供。
  • 専用のプログラマブルCNNエンジンにより、あらゆるCNNグラフをサポート。
  • OpenCL C 、OpenVXTM、OpenCVをサポートする開発ツール群で構成するMetaWare EV Development Toolkitにより、アプリケーション・ソフトウェア開発が効率化。
  • MetaWare EV Development Toolkitの新しいCNNマッピング・ツールが、ハードウェア・リソースへの処理タスク割り当てを自動化し、実行スピードを高速化。

 

2017年6月26日 カリフォルニア州マウンテンビュー発 - シノプシス(Synopsys, Inc.、Nasdaq上場コード:SNPS)は本日、DesignWare® EV6x Vision Processorsに搭載されている畳み込みニューラル・ネットワーク(CNN)エンジンのエンハンスメントを発表した。高性能エンベデッド・ビジョン・アプリケーションで必要とされる、より高い動画解像度とフレームレートの処理に対応する。新しいCNNエンジンは、16nm FinFETプロセスでの試作実装で最大4.5 TeraMACs/秒の処理性能を達成、前バージョン比で4倍の性能向上となる。また係数と特徴マップ(feature map)の圧縮/復元のサポートにより、データ処理の情報量を削減し、消費電力を抑制できる。最大4つまでのベクターDSPでコンフィギュレーション可能なビジョン・プロセッサは、CNNエンジンと並列動作し、先進運転支援システム(ADAS)、ビデオ監視、拡張/仮想現実(AR/VR)、自己位置と地図の同時推定(SLAM:simultaneous localization and mapping)といった幅広い高性能エンベデッド・ビジョン・アプリケーションの処理性能を最大限に高めることができる。

 

Morpho US, Inc. 副社長 鳥原英俊氏は次のように語っている。「ニューラル・ネットワークを活用したエンベデッド・ビジョン・アプリケーションの重要な技術課題として、低消費電力かつ小面積で高い精度と処理性能を両立させたソリューションが求められています。ベクターDSPとプログラマブルなCNNエンジンを組み合わせたDesignWare EV6xプロセッサ独自のアーキテクチャにより、開発者は、CPUあるいはGPUベースのソリューションと比べて遥かに高い処理性能を持つ組込みデバイス上にビジョン機能を実装することが可能になります」

 

EV6xプロセッサ・ファミリーは、高精度かつ高速なビジョン・プロセシングを実現するため、スカラー/ベクターDSPとCNNプロセッシング・ユニットを搭載している。AlexNet、VGG16、GoogLeNet、Yolo、Faster R-CNN、SqueezeNet、ResNetをはじめとするあらゆる畳み込みニューラル・ネットワークをサポートしている。設計者はもともと32ビット浮動小数点ハードウェア向けにトレーニングされたCNNグラフをEV6xの12ビットCNNエンジンで実行することで、同レベルの物体検出精度を維持しながらデザインの消費電力とシリコン面積を大幅に削減できる。16nm FinFETプロセスで実装した場合、2,000 GMACs/sec/Wという電力効率を達成できる。EV6xのCNNエンジンは、8ビット精度にトレーニングされたニューラル・ネットワークもサポートしているため、8ビット精度のCNNグラフによる低消費電力化とメモリー容量削減のメリットを享受することができる。

 

EV6xプロセッサをサポートする多岐にわたる開発ツールやソフトウェアも用意されているため、アプリケーション・ソフトウェア開発も効率的に行うことができる。DesignWare ARC® MetaWare EV Development Toolkitは、CaffeやTensorFlowなどの一般に普及しているフレームワークを用いてトレーニングされたニューラル・ネットワークを解析できるCNNマッピング・ツールも提供しており、プログラマブルCNNエンジン向けの実行ファイルを自動生成することができる。CNNマッピング・ツールは、新しいニューラル・ネットワーク・アルゴリズムやユーザー独自のCNNレイヤに対応するためビジョン・プロセッサとCNNリソース間で計算処理を分散する機能も提供しており、柔軟性と将来への保証も担保されている。さらに、エンベデッド・ビジョン標準のOpenCL C 、OpenVX、OpenCVベースのソフトウェア開発ツールも含め、組込みソフトウェア開発の効率化に必要なツールが幅広く提供されている。

 

シノプシス IPマーケティング担当副社長 John Koeterは次のように述べている。「人工知能アプリケーションでは高性能なニューラル・ネットワークの活用が進んでおり、目標期間内でビジョンSoCを開発するためには、ハードウェア・テクノロジとソフトウェア開発ツールの両方が不可欠となります。シリコン実証済みのビジョン・プロセッサ EV6xの性能/機能強化により、設計者の皆様は、製品差別化に必要な高いパフォーマンスと消費電力効率を備えた、機械学習アプリケーションの開発効率を向上させることができます」

 

提供可能時期ならびに関連情報

新しいCNNエンジンをオプション装備できるDesignWare EV61、62ならびに64プロセッサは、2017年8月の提供開始を予定している。MetaWare EV Development Toolkitは、既に提供を開始している。Toolkit のCNNマッピング・ツールのTensorFlowサポートは、2017年10月を予定している。シノプシスのエンベデッド・ビジョン・プロセッサの詳細はhttps://www.synopsys.com/dw/ipdir.php?ds=ev6x-vision-processorsより入手可能。

 

DesignWare IPについて

シノプシスは、システムオンチップ向けの高品質かつシリコン実証済みIPのリーディング・プロバイダである。シノプシスの多岐にわたるDesignWare IP群は、ロジック・ライブラリ、組込みメモリー、組込みテスト、アナログIP、有線・無線通信向けインターフェイス(業界標準プロトコル)IP、セキュリティIP、組込みプロセッサ・コアとそのサブシステムで構成されている。IPに関連するソフトウェア開発とハードウェア/ソフトウェア統合を容易にするため、シノプシスのIP Acceleratedイニシャティブは、IPプロトタイピング・キット、IP向けソフトウェアの開発キット、IPサブシステムを提供している。DesignWare IPは、信頼性の高い開発手法、品質確保のための巨額の投資の所産であるだけでなく、包括的な技術サポートとともに提供されているため、設計者は、IPのSoCへの統合リスクを最小化し、最終製品の市場投入までにかかる期間を短縮することができる。

詳細情報はhttps://www.synopsys.com/designwareより入手可能。

 

シノプシスについて

Synopsys, Inc.(Nasdaq上場コード:SNPS)は、我々が日々使用しているエレクトロニクス機器やソフトウェア製品を開発する先進企業のパートナーとして、半導体設計からソフトウェア開発に至る領域(Silicon to Software)をカバーするソリューションを提供している。電子設計自動化(EDA)ソリューションならびに半導体設計資産(IP)のグローバル・リーディング・カンパニーとして長年にわたる実績を持ち、ソフトウェア品質/セキュリティ・ソリューションの分野でも業界をリードしており、世界第15位のソフトウェア・カンパニーとなっている。シノプシスは、最先端の半導体を開発しているSoC(system-on-chip)設計者、最高レベルの品質とセキュリティが要求されるアプリケーション・ソフトウェアの開発者に、高品質で信頼性の高い革新的製品の開発に欠かせないソリューションを提供している。

詳細情報は、https://www.synopsys.com/ja-jpより入手可能。

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Synopsysは、Synopsys, Inc.の登録商標または商標です。

その他の商標や登録商標は、それぞれの所有者の知的財産です。

 

<お問い合わせ先>

 

日本シノプシス合同会社 フィールド・マーケティング・グループ 藤井 浩充

TEL: 03-6746-3940                  FAX: 03-6746-3941