ニュースリリース - 2008年11月21日

シノプシス、45nm以降のプロセス・テクノロジで激増するライブラリ・データ・サイズの -- 問題を解決する画期的なモデリング・テクノロジを発表

Composite Current Source (CCS) モデリング・テクノロジの改善により
ライブラリのデータサイズを1/4に削減、EDAツールの実行時間を60%向上

2008年11月19日 カリフォルニア州マウンテンビュー発 - 半導体設計・製造ツールならびにIPの世界的リーダーであるシノプシス(Synopsys,Inc.、Nasdaq上場コード:SNPS)は、本日、ライブラリ技術のブレイクスルーとなるComposite Current Source (CCS)ベースカーブ・モデリング・テクノロジを発表した。このテクノロジにより、デジタル・セル・ライブラリのファイルサイズを最高で1/4に削減でき、またそれによりツールの実行時間とメモリ使用量を大幅に改善できる。

65nmプロセス世代に入って以来、プロセスのばらつきが増加し、マルチ・ボルテージ・デザインなどのローパワー設計手法の採用が進んだため、より完全かつ高精度なパワーモデリング手法が求められるようになってきただけでなく、ライブラリのコーナー数も増加するようになってきた。これは45nm世代ではより顕著に現れてくる。そのため、ライブラリのファイルサイズは、65nm以前のプロセス・ノードに比べて10倍にも増加している。ファイルサイズが増大すれば、大容量ディスクを搭載したワークステーションが必要になり、(FTPでの)ライブラリ配布にも大きな負荷がかかり、EDAツールの実行効率にも悪影響を及ぼすことになる。これは、半導体業界全体の問題である。

富士通マイクロエレクトロニクス株式会社 共通技術本部 共通テクノロジ開発統括部 統括部長 横田昇氏は、次のように語っている。「カレント・ソース・モデリング手法は、65nmプロセス以降のライブラリ技術にとって必須のテクノロジです。しかし、ライブラリ・コーナー数の増加と、それがもたらすライブラリ・ファイルサイズの増大は、ライブラリ開発とEDAツール使用効率の両面で大きなボトルネックとなります。ベースカーブ・モデリング・テクノロジによって強化されたCCSテクノロジは、最先端のプロセス・ノードで必要となる高いライブラリ精度を維持しつつ、最小のファイルサイズで最も効率のよいライブラリを作成可能にするものです」

ベースカーブ・モデリング・テクノロジは、ライブラリ中の様々なセルとグリッド情報を網羅しつつ、タイミングと電流波形の類似性を利用してファイルサイズ増大の問題に対処する画期的で全く新しいテクノロジである。このテクノロジによって、精度を犠牲にすることなくデータサイズを最小化したライブラリを実現できるようになる。また、ライブラリ・ファイルサイズを1/4に削減するだけでなく、EDAツールのメモリ使用量も削減し、PrimeTimeのようなサインオフ・ツールの実行速度を60%も向上する。ベースカーブ・シンタックスを用いた新しいCCSライブラリ・フォーマットは、IEEE Industry Standard and Technology Organization(IEEE-ISTO)のプログラムであるLiberty Technical Advisory Board(TAB)によって承認されたフォーマットであり、http://www.OpenSourceLiberty.orgよりダウンロード可能となっている。

IEEE-ISTOのCEOを勤めるPeter Lefkin氏は、次のように述べている。
「Liberty TABのメンバー企業が、45nmのプロセス・テクノロジで半導体業界が直面する世界規模の現実問題に対処するため協力しているという事実は非常に喜ばしいことです。この協力を通じてLibertyライブラリ・モデリング標準の技術革新が速いペースで進むことによって、ツールのインターオペラビリティと設計フローの効率を向上するために単一の標準技術のもとに業界全体が融合することが可能になり、それによってEDAツール・ユーザーは莫大な恩恵を受ける事になるからです」

OpenSourceLiberty.orgについて
Open Source Libertyとは、Libertyライブラリ・モデリング標準を開発するためのネット上の包括的な組織体である。このサイトでは、ネットを介して最新のLibertyフォーマット仕様や関連ツールを提供するだけでなく、Liberty Discussion Forumも開催されている。

Liberty Discussion Forumでは、半導体業界の関連企業各社が意見交換を行い、LibertyやComposite Current Source (CCS) モデリング・テクノロジに関する議論が展開されている。

シノプシスについて
Synopsys, Inc. は、電子設計自動化(EDA)ソリューションの世界的リーダーであり、半導体の設計ならびに製造に用いられる各種のツール、設計資産(IP)、サービスを全世界のエレクトロニクス関連企業に提供している。システムレベルHW/SW設計検証、IP 、HWインプリメント、HW検証、HW製造、FPGA設計の各ソリューションで構成されるシノプシスの包括的な統合環境により、顧客企業が設計や製造段階で直面している重要な課題、すなわち消費電力や歩留まりの管理、システム設計段階からシリコン製造段階までを網羅する総合検証、開発期間の短縮といった課題を克服することが可能になる。各種テクノロジを駆使したこれらのソリューションを活用することにより、顧客企業は、開発コストや開発リスクを削減しつつ最高の製品を迅速に市場投入することが可能となり、競争力を高めることができる。カリフォルニア州マウンテンビューに本社を置き、事業所は北米、ヨーロッパ、日本、アジア、インドなど70ヶ所。詳細な情報は、http://www.synopsys.co.jpより入手可能。

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Synopsys、LibertyおよびPrimeTimeは、Synopsys, Inc.の商標もしくは登録商標です。
その他の商標や登録商標は、それぞれの所有者の知的財産です。

<お問い合わせ先> 

日本シノプシス合同会社 フィールド・マーケティング・グループ 藤井 浩充
TEL: 03-5746-1780   FAX: 03-5746-1781