ニュースリリース - 2008年12月9日

STARCがSTARCAD-CELにシノプシスのIC Compilerの Zrouteならびにクロックメッシュ・テクノロジを採用

高性能SoCデザインに必須となる最先端配線と低クロックスキューを実現

2008年12月8日 カリフォルニア州マウンテンビュー発 - 半導体の設計・製造ツールならびにIPの世界的リーダーであるシノプシス(Synopsys, Inc.、Nasdaq上場コード:SNPS)は本日、株式会社 半導体理工学研究センター(以下、STARC)が、シノプシスのフィジカル・インプリメンテーション・ソリューション IC Compilerの最新バージョンに搭載されている新テクノロジであるZrouteとクロックメッシュの性能評価を行い、非常によい結果が得られたことを発表した。Zrouteが持つ独自機能により、タイミング、面積、マニュファクチャビリティといったデザインの結果品質を改善しつつ、デザインの実行時間を劇的に短縮できる。クロックメッシュは、クロックスキューを厳密に制御しなくてはならない高性能デザインを実現するために開発されたテクノロジである。STARC では、Zrouteとクロックメッシュを用いて非常によい評価結果が得られたため、これら二つのテクノロジをSTARCAD-CEL v 3.0に組み込んでいく予定である。STARCAD-CEL v 3.0は2009年の第一4半期にリリースされる予定であり、これにより、最先端のプロセス・テクノロジ・ノードで複雑かつ高性能なデザインを実現しなければならない設計者は、その設計目標を達成できるようになる。

STARC 執行役員 開発第1部長 西口信行氏 は次のように語っている。「STARCでは、当社のメンバー企業各社が最先端の性能目標を達成できるようにするために、最先端のEDAテクノロジの性能評価を行い、それらを当社のリファレンス・フローに取り込んでいくことをミッションとしてます。当社では、早い段階からZrouteの評価を行ってまいりましたが、その結果、配線時の実行時間が最高で3.5倍高速化、生成されるビアの数も最高で20%も削減できるという目覚しい性能向上を確認できました。また、クロックメッシュ・テクノロジを使用する事により、45nm以降の設計で重大な課題となってくるクロックスキューの削減とバラツキ耐性の向上を確認できました。Zrouteとクロックメッシュ・テクノロジは、IC Compilerの2008.09リリースの新機能の一部として提供されるので、IC Compilerの組み込みを前提にしているSTARCAD-CEL v 3.0に採用するのも非常に容易です」

Zrouteの斬新なアーキテクチャには、最先端の配線アルゴリズムとコンカレントなDFM最適化機能が搭載されているため、タイミング/面積/パワー/シグナルインテグリティといった従来からの設計目標とマニュファクチャビリティとの両立を効率的に実現できる。さらにZrouteは、マルチ・スレッディングをネイティブ・サポートしているので、最新のマルチ・コア・コンピューティング環境を使用するメリットを最大限に享受できる。すなわち、使用するマイクロプロセッサの数を増やせば増やすほど、実行速度を直線的に向上させることができるのである。

クロックメッシュは、最先端のプロセス・ノードでのデザインを可能にするクロック配線を生成する。すなわち、斬新なメッシュ構造のアーキテクチャを用いて、クロック配線が必要な配線領域に敢えて冗長性を持たせることにより、バラツキ耐性の高いクロック配線が可能になるのである。またクロックメッシュは、クロックスキューの数を大幅に削減できるため、可能な限り最速のクロック周波数を達成できる。これは、高性能デザイン実現の鍵を握るポイントである。

Zrouteとクロックメッシュの両テクノロジは、先日リリースしたIC Compiler 2008.09で提供されている新機能である。2008.09リリースを使用することにより、配線実行時間を大幅に高速化する事ができ、全体的なTAT(Turnaround Time)を1/2から1/3に短縮できる。また2008.09リリースには、DFM/ローパワー/サインオフ品質のインクリメンタル・デザインルール・チェックなどの面で、様々な新テクノロジが盛り込まれているため、デザイン収束までにかかる期間を大幅に短縮するだけでなく、デザインの結果品質も向上する事ができる。

シノプシス 上級副社長兼インプリメンテーション・グループ ジェネラル・マネージャーのAntun Domicは次のように述べている。「IC Compiler 2008.09でご提供したスピード向上やその他の新機能は、お客様各社から非常にご好評いただいております。当社は、STARC様との長期にわたる協業を通じて、同社のデザイン・メソドロジを使用しているメンバー企業各社様に最先端の機能をご提供し続ける事ができます。当社がご提供している先進機能の一部であるZrouteとクロックメッシュが、STARCAD-CEL v 3.0に組み込まれることを大変に喜んでおります」

STARCについて
株式会社 半導体理工学研究センター(STARC)は、日本の主要半導体企業の出資によるコンソーシアムであり、最先端のSoC設計メソドロジの開発をミッションとしている。

シノプシスについて
Synopsys, Inc. は、電子設計自動化(EDA)ソリューションの世界的リーダーであり、半導体の設計ならびに製造に用いられる各種のツール、設計資産(IP)、サービスを全世界のエレクトロニクス関連企業に提供している。システムレベルHW/SW設計検証、IP 、HWインプリメント、HW検証、HW製造、FPGA設計の各ソリューションで構成されるシノプシスの包括的な統合環境により、顧客企業が設計や製造段階で直面している重要な課題、すなわち消費電力や歩留まりの管理、システム設計段階からシリコン製造段階までを網羅する総合検証、開発期間の短縮といった課題を克服することが可能になる。各種テクノロジを駆使したこれらのソリューションを活用することにより、顧客企業は、開発コストや開発リスクを削減しつつ最高の製品を迅速に市場投入することが可能となり、競争力を高めることができる。カリフォルニア州マウンテンビューに本社を置き、事業所は北米、ヨーロッパ、日本、アジア、インドなど70ヶ所。詳細な情報は、http://www.synopsys.co.jpより入手可能。

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