ニュースリリース - 2006年10月17日

シノプシス、45nm以降のプロセスに起因するバリエーション問題を解決する - 新しい種類のDFM製品を発表

プロセスを考慮した革新的なDFMツール・ファミリーにより、設計者は、プロセスのバラツキによる影響を削減し、
最先端の半導体製造工程を考慮した洗練されたデザインが可能に

2006年10月16日 カリフォルニア州マウンテンビュー発 - 半導体設計ツールの世界的リーダーであるシノプシス(Synopsys, Inc.、Nasdaq上場コード:SNPS)は本日、プロセスを考慮した新しいDFM(Process-Aware Design-for-Manufacturing = PA-DFM)ツールを発表した。このツールは、45nm以降のデザインで発生するプロセスのバラツキが、カスタム/アナログ・デザインに与える影響を解析する。半導体内部構造の微細化に伴い、最先端のシリコン・テクノロジによって引き起こされるバラツキが回路性能に悪影響を及ぼすようになってくる。例えばストレイン・エンジニアリング(ひずみ/応力の応用技術)などによって想定外のバラツキが発生してくるケースもある。PA-DFMファミリーのコア製品となるSeismosとParamosにより、IP、セル、メモリ、アナログ回路などのカスタム回路設計者は、製造工程で発生するバラツキの情報を設計段階にリンクさせることができるため、レイアウトの最適化とイールドの最大化が可能になる。PA-DFMファミリーは、設計工程から製造工程を通じて存在するあらゆるクリティカル・ポイントでイールド向上を可能にするというシノプシスの先駆者的取り組みのもう一つのキー・エレメントとなるものである。

PA-DFMファミリーは、トランジスタ性能のバラツキに対処するためにDFM分野で必要とされる重要な独自の機能を備えている。この製品群は、高精度なフィジカル・モデリング情報を設計工程に統合することによって、設計と製造工程で発生するパラメトリック・バリエーションに対処する。今回シノプシスのDFMソリューションに新たに追加されたこれらの製品群は、最先端のプロセス/デバイス・モデリングに関するシノプシスのTCAD専門技術をベースに開発されており、シノプシスが最近発表したイールド解析ツール・セットPrimeYield、スタティスティカル・タイミング解析ツールPrimeTime VX、スタティスティカルRC抽出ツールStar-RCXT VXを補完する。

UMC社 IP/設計サポート部門 ディレクタのKen Liou氏は次のように述べている。「最先端のテクノロジ・ノードへの移行に伴って新しいプロセス・ステップが増加していくため、プロセスのバラツキは設計者にとって更なるDFMの問題を発生させます。例えば、これまでのモデリング・ソリューションでは、どこにコンタクト(配線とトランジスタの接続部分)を置くと、移動度をあげるための応力膜に影響を及ぼしてしまうかということを把握できませんでした。今回の新しいDFMソリューションの開発は非常に喜ばしいことです。我々は、シノプシス社が45nm以降のテクノロジに向けて開発するプロセスを考慮したDFMツール群でシノプシス社と協業することができ嬉しく思っています。」

PA-DFMファミリーは、既存の設計インフラにシームレスに統合できるようにするため、お客様が現在お使いのカスタム設計フローとメソドロジに容易に追加できるように設計されている。これにより、お客様は、これまでの設計開発投資を活かしつつ、バラツキを削減し回路性能を向上させるというクリティカルなニーズを満たすことができる。PA-DFMファミリーにより、カスタムLSI設計者は、プロセス・テクノロジの進展がもたらす能力をフルに実現し、さらにイールドを最大化する余地を拡大できる。

シノプシスは、TCAD技術が実現するモデルをフィジカル設計ツール群に統合することにより、ナノメータLSI設計フローの中にある技術的な空白地帯を埋めることができるユニークなポジションにある。業界標準となっているシノプシスの回路シミュレータHSPICE、PrimeTime VX、Star-RCXT VXがそうであるように、PA-DFMファミリーは、性能向上、生産性向上、結果予見性向上のためにシノプシスがバリエーションを考慮した設計技術開発に注力していることを象徴するものである。これらのツール群は非常に補完性が高いため、設計者はセル・レイアウトからデザイン・インプリメンテーションに至るまでの工程で、バラツキの問題を解決する土台を構築できるようになる。

今回の製品群が提供する強力な機能
SeismosとParamosはともに、デザインの中の二つの重要なバラツキ要因に対処している。すなわち、応力やその他の近接効果によって引き起こされるプロキシミティ・バリエーションと、ダイやウェハーごとに異なる製造プロセス・パラメーターが引き起こすグローバル・バリエーションである。カスタム回路設計者は、製造プロセスの高精度なフィジカル・モデルを用いることにより、現在使用中のフィジカル設計フローに大きな変更を加えることなく製造バラツキに対処した設計を行えるようになる。

Seismosは、ナノメータのひずみシリコン・テクノロジにおける応力や、その他の近接効果の解析に用いられるトランジスタレベルのツールである。65nmテクノロジ・ノードが量産段階に移行し、45nmテクノロジ・ノードが試作段階へ突入していくと、レイアウトがトランジスタの応力状況にもたらす影響などの近接効果に起因するパラメトリック・バリエーションを解析する機能が設計者には必要である。Seismosは、このクリティカルなニーズに対応した初のEDAツールである。Seismosが使用するモデルは、シリコンデータで実証された厳格なTCADシミュレーションに基づいて構築されている。また、数百万トランジスタ・デザインを容易に扱える。

Paramosは、キャリブレートされたTCADシミュレーションをグローバルSPICEエクストラクションと組み合わせて、プロセス考慮のコンパクトSPICEモデルを抽出することにより、SPICEモデルを製造時のコンディションにダイレクトにリンクさせる。これにより設計者は、スタティスティカルあるいはシステマティックなプロセス・バラツキが回路性能に及ぼす影響をシミュレートできるようになる。このメソドロジにより、回路性能のスタティスティカル・タイミング・シミュレーションに物理現象に基づいたバリエーション・モデルを使用できるようになり、実際のフィジカル・プロセス・パラメータのレベルにまでデザインの感度を上げることができる。

シノプシス TCAD事業部のジェネラル・マネージャー Wolfgang Fichtnerは次のように述べている。「45nm以降の開発では、設計者の皆様はバリエーションがもたらす影響とバリエーションの要因の両方を理解していなければならなくなります。プロセスを考慮した当社の新しいDFMツール・ファミリーにより、設計者は、プロセス・バリエーションが原因でデザインに内在する様々な物理現象をより把握し易くなります。さらに、設計者は、当社のTCAD技術、DFM技術、バリエーションを考慮したスタティスティカル解析技術をフル活用して、プロセスとデザイン・メソドロジを探求・最適化し、実シリコン実現に至るまでの迷路を脱することができるようになります。これによって、膨大な開発期間と開発コストを削減できるだけでなく、最終的には半導体メーカーはより高いイールドを確保できるようになるのです。」

PA-DFM製品ファミリーは既に提供を開始している。

シノプシスのTCADソリューションについて
TCAD(Technology CAD)とは、コンピュータ・シミュレーションにより半導体プロセスやデバイス作用をモデル化する技術のことである。TCADにより、最終的な回路性能やイールドに影響する基本的な物理現象の数々を把握できるようになる。PA-DFMソリューションは、シノプシスのTCADモデリング、最先端のプロセス/デバイス・エンジニアリング、設計そしてEDAに関する専門知識を活用して、高精度な物理モデルにより、製造バラツキの情報を設計フェーズにリンクさせる。

シノプシスのDFMソリューションについて
シノプシスは、DFMツール群の提供を通じ、RTL設計からシリコン製造までサポートできる業界で最も包括的なDFMソリューションを拡張し続けている。シノプシスのDFMツール・ファミリーは、マニュファクチャビリティ確保、イールド向上といった重要な課題を解決するツールおよび技術である。シノプシスのDFM製品は、フィジカル・インプリメンテーション・ソリューションIC Compiler

PrimeYield LCC/PrimeYield CMP/PrimeYield CAA、フィジカル検証ツールHercules、OPCツールProteus、マスクデータ・プレパレーションに用いるCATS、リソグラフィー検証ツールSiVL、特許技術のPSM(Phase Shift Mask)テクノロジ、およびプロセス・デバイス・シミュレーションのためのTCADツール群から構成される。シノプシスのマニュファクチャリング・イールド・マネージメント(MYM)ソリューションはファブに直結したソリューションであるため、お客様はランダム欠陥/システマティック欠陥/パラメトリック欠陥の削減に必要となるイールド・データならびに解析機能をリアルタイムで活用できる。

シノプシスについて
Synopsys, Inc. は、電子設計自動化(EDA)ソリューションの世界的リーダーであり、半導体の設計ならびに製造に用いられる各種のツール、設計資産(IP)、サービスを全世界のエレクトロニクス関連企業に提供している。システムレベルHW/SW設計検証、IP 、HWインプリメント、HW検証、HW製造、FPGA設計の各ソリューションで構成されるシノプシスの包括的な統合環境により、顧客企業が設計や製造段階で直面している重要な課題、すなわち消費電力や歩留まりの管理、システム設計段階からシリコン製造段階までを網羅する総合検証、開発期間の短縮といった課題を克服することが可能になる。各種テクノロジを駆使したこれらのソリューションを活用することにより、顧客企業は、開発コストや開発リスクを削減しつつ最高の製品を迅速に市場投入することが可能となり、競争力を高めることができる。カリフォルニア州マウンテンビューに本社を置き、事業所は北米、ヨーロッパ、日本、アジア、インドなど70ヶ所。詳細な情報は、http://www.synopsys.co.jpより入手可能。

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Synopsys、CATS、PrimeTime、HSPICEおよびSiVLは、Synopsys, Inc.の登録商標です。
Hercules、Star-RCXTは、Synopsys, Inc.の商標です。
その他の商標や登録商標は、それぞれの所有者の知的財産です。

<お問い合わせ先> 

日本シノプシス合同会社 フィールド・マーケティング・グループ 藤井 浩充
TEL: 03-5746-1780   FAX: 03-5746-1781