ニュースリリース - 2006年8月29日

シノプシスのIC Compilerが東芝のコンシューマ・ワイヤレス機器向け高性能90nmチップのテープアウトを実現

コンカレントに実行できるマルチモード最適化機能によりタイミング収束にかかる期間を短縮

2006年8月28日 カリフォルニア州マウンテンビュー発 - 半導体設計ツールの世界的リーダーであるシノプシス(Synopsys, Inc.、Nasdaq上場コード:SNPS)は本日、半導体大手の株式会社東芝(以下、東芝)が、シノプシスのフィジカル・インプリメント・ソリューション IC Compilerを用いて、同社の次世代ホーム・デジタル・ネットワークLSI “TC90515XBG” のテープアウトを実現したと発表した。TC90515XBGは、既存のチップと比較して、より高性能・多機能となっているだけでなく、ダイサイズも小さく消費電力も低い。IC Compilerを使用すれば、このチップが必要とする5つの動作モード全てにわたってデザインをコンカレントに最適化できるため、東芝にとってIC Compilerは非常に高い性能目標を達成するための重要なファクターであった。また、IC Compilerはプロトタイプ・フロアプランの段階から最終的なチップ仕上げの段階に至るまでの全ての設計段階で単一の使用環境で実行できるため、同社は開発期間を大幅に短縮できた。さらに東芝は、DFT Compiler MAXのアダプティブ・スキャン・テクノロジを使用することによりチップテストにかかる時間を短縮し、これまで以上に開発コストを削減できた。

東芝 セミコンダクター社 半導体研究開発センター センター長 古山透氏は次のように語っている。「我々は、IC Compilerによって如何に開発スピードを高めることができるかという事ことがわかり非常に驚きました。そしてTC90515XBGの完全なフィジカル・デザインを達成するためにIC Compilerを使用することに決めました。IC Compilerは、当社の期待通りの成果をもたらし、高度に差別化されたSoCの開発を納期厳守で終えることができました。」

東芝のTC90515XBGは、コンシューマー向けネットワーク機能を提供する高性能ワイヤレス・チップであり、90nmプロセスで製造される。TC90515XBGは、IEEE802.11で標準化されている全てのワイヤレスLAN方式、MPEG-2/PCI/I2C/赤外線通信の各インターフェイス規格、DTCP-IP仕様に基づくワイヤレス通信時のコンテンツ保護などに対応したデュアルMePコア・アーキテクチャを搭載している。また、200MHzと80MHzの2つの動作モードと3つのテストモードを持っているが、これら全てのモードをIC Compilerでコンカレントに最適化することにより、ホールドタイム違反の修正と過剰な設計マージンの削減の両面で目覚ましく改善できた。さらにIC Compilerは、ハイスピード・セルとローパワー・セルの最適なトレードオフを実行することにより、チップのリーク電流の削減にも貢献した。

東芝 セミコンダクター社 設計技術技師長 吉森崇氏は次のように語っている。「IC CompilerとGalaxyデザイン・プラットフォームを使用することにより、当社では開発期間を大幅に短縮することに成功しました。IC Compilerによって、当社の設計者は、各設計工程で使用するライブラリや制約条件が一種類で済み、各工程を単一の使用環境で実行でき、フィジカル・テストとパワー最適化までも実行できる包括的なフィジカル設計ソリューションを手にすることができたのです。さらに我々は、より早期に設計を収束させるためには、IC Compilerのインプリメント結果とPrimeTime SIによるサインオフ解析結果との相関性が高いことが重要な役割を果たすことも確認しました。」

東芝では、様々な解析機能と結びついたIC Compilerの新しい最適化機能は、使い易く、同社の開発期間短縮を実現するソリューションであることを実感することができた。必要とされる設計機能を網羅したIC Compilerの完全性によって、東芝は、プロタイピングの初期段階からチップ最終仕上げに至るまでの全てのフィジカル・インプリメント工程を単一ツールで実行することができ、さらに80%以上ものエリア使用率を達成し、電源ネットワークの電圧降下を25mV以下に抑え、リーク電流による電力浪費を削減するために80%以上ものロー・リークパワー・セル使用率を実現できたのである。

シノプシス インプリメンテーション・グループ ジェネラルマネージャー兼上級副社長のAntun Domicは次のように述べている。「東芝様は、当社にとって長年にわたってお付き合いいただいている重要なお客様であり、IC CompilerやDFT Compiler MAXなどはもちろんのこと、当社がご提供する最新のテクノロジを早い段階からご採用くださってきたお客様です。今回のTC90515XBGで達成できた成果は、当社と東芝様のコラボレーションの緊密さを示す何よりの証左です。我々は、当社のツール開発のために東芝様がくださるアドバイスやご要請を重視しており、今後も最先端デザインの実現に向けて東芝様と協力していけることを楽しみにしています。」

IC Compilerについて
IC Compilerは、シノプシスの次世代配置配線ソリューションである。IC Compilerは、フィジカル・シンセシスを配置配線の全工程に渡って実行可能にし、サインオフ環境下での設計収束を可能にすることにより、優れた設計品質と設計期間短縮を実現する。現在のソリューションは、配置/クロックツリー・シンセシス/配線を切り離された個別工程として実行しなければならないという限界に直面している。IC CompilerのExtended Physical Synthesis (XPS) テクノロジは、フィジカル・シンセシスを配置配線の全工程に渡って実行可能にすることにより、これらの個別工程の間に横たわる壁を取り除く。また、統合されたTclベース・アーキテクチャを持っているため、シノプシスの最高のコア・テクノロジ群との連携ならびに機能向上を実現している。IC Compilerは、次世代の設計に必要とされる全ての機能、すなわちフィジカル・シンセシス、配置、配線、タイミングやSIの最適化、消費電力削減、テスト容易化設計、歩留まり最適化を兼ね備えた完全な配置配線ソリューションである。

シノプシスについて
Synopsys, Inc. は、電子設計自動化(EDA)ソリューションの世界的リーダーであり、半導体の設計ならびに製造に用いられる各種のツール、設計資産(IP)、サービスを全世界のエレクトロニクス関連企業に提供している。システムレベルHW/SW設計検証、IP 、HWインプリメント、HW検証、HW製造、FPGA設計の各ソリューションで構成されるシノプシスの包括的な統合環境により、顧客企業が設計や製造段階で直面している重要な課題、すなわち消費電力や歩留まりの管理、システム設計段階からシリコン製造段階までを網羅する総合検証、開発期間の短縮といった課題を克服することが可能になる。各種テクノロジを駆使したこれらのソリューションを活用することにより、顧客企業は、開発コストや開発リスクを削減しつつ最高の製品を迅速に市場投入することが可能となり、競争力を高めることができる。カリフォルニア州マウンテンビューに本社を置き、事業所は北米、ヨーロッパ、日本、アジア、インドなど70ヶ所。詳細な情報は、http://www.synopsys.co.jpより入手可能。

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Synopsys、PrimeTimeは、Synopsys, Inc.の登録商標です。
Galaxyは、Synopsys, Inc.の登録商標です。
その他の商標や登録商標は、それぞれの所有者の知的財産です。

<お問い合わせ先> 

日本シノプシス合同会社 フィールド・マーケティング・グループ 藤井 浩充
TEL: 03-5746-1780   FAX: 03-5746-1781