Optical and Photonic Solutions Blog~日本語版~

公開日:2023年6月28日

光の強度分布を変化させることが可能な拡散板は一般照明機器やディスプレイなどの表示機器で多用されています。しかしながら、拡散板はその特性を仕様通りに製造することが難しく、サンプル固有の散乱分布を持っていることが多いです。また、ほとんどの拡散板の仕様には、シミュレーションで必要となる散乱特性(BSDF)の情報が含まれていません。このような場合、部材表面の散乱特性(BSDF)を散乱測定器で測定し、そのデータを光学シミュレーションに設定することで、実用するサンプル固有の散乱分布を再現できます。Synopsys REFLETのように高ダイナミックレンジの散乱測定器を利用すれば、測定による再現性も非常に高くなります。

ここでは、拡散板の仕様情報と実測データをLightToolsに取込み、その結果を比較します。実用するサンプルの製造誤差に起因する散乱分布を正確に再現できるので、仕様との性能の違いを明確に視覚化できます。

散乱特性(BSDF)の測定にSynopsys REFLET、シミュレーションにLightToolsを使用します。

拡散板の仕様

比較に使用した拡散板の仕様情報です。Luminit社製の一般的な透過拡散板になります。

BTDF測定

Synopsys REFLET にてLSD60のBTDF測定を行い、LightToolsへエクスポートします。

シミュレーションモデル

拡散板の特徴を表現できるシンプルなシミュレーションモデルを構築します。

光源:10mm径、平行光、 1Watt

拡散板:LSD60 Luminit社製 

追跡光線本数:1000万本

拡散板に1Wattの平行光を入射し、拡散板の仕様情報と測定したBTDFを設定してシミュレーションを実行しています。

拡散板の仕様情報と実測データの比較

入射角0度のBTDF

入射角70度のBTDF

入射角が0度の場合、拡散板を通過した光度分布はピーク強度と広がり角の差を確認できます。入射角が70度の場合、ピーク強度と広がり角の差はさらに大きくなっています。

まとめ

個々の拡散板に存在する製造誤差を、シミュレーションで表現するには散乱特性(BSDF)を測定し、そのデータを使用する必要があります。本稿では一例として、拡散板LSD60の測定データをシミュレーションに適用し、散乱分布の差を確認することができました。お手元の部材を散乱測定器により測定し、その測定データから散乱特性を設定したシミュレーションを実施することをお勧めいたします。

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