航空宇宙向けシステムへのSaberの適用

信頼性レベルの高い航空宇宙向けシステムの性能目標を満たす開発は、設計チームにとってますます大きな課題になっています。

Saberは、「ロバスト設計(信頼性の高い高度な設計)」の実現を加速します

信頼性レベルの高い航空宇宙向けシステムの性能目標を満たす開発は、設計チームにとってますます大きな課題になっています。

システムの複雑さと厳しい規制が開発のプロセスを支配しています。システムエンジニアは性能、信頼性、コストという3つの要因を考慮して最適な設計を行う必要があります。「ロバスト設計メソドロジ(信頼性の高い高度な設計メソドロジ)」を用いることで、設計パラメータや動作条件のばらつきに左右されることなくシステムの信頼性を保証することができます。業界をリードするシノプシスのSaber設計環境は、「ロバスト設計フロー(信頼性の高い高度な設計フロー)」を構築するための完結したツール群で構成されます。高度な解析と幅広いモデル・ライブラリにより、完成度の高い航空宇宙向けシステムの設計を可能にします。Saberツールはさまざまな航空宇宙向けシステムの設計に応用されています。

電力ネットワーク(パワーネット)

電力ネットワーク: 発電、電力変換、配電
航空機や宇宙船内部の電子機器の増加につれて、電力ネットワーク上でのエネルギー需要の増加に対応することが大きな課題になっています。設計者は、万全の信頼性を備えた効率的な発電および配電システムを構築する必要があります。

設計チームは、「ロバスト設計メソドロジ」を利用して、複雑なエネルギー発電および配電問題を管理します。例えば、性能に影響を及ばすシステムと環境のばらつきを考慮し、交流発電システムを設計します。Saberの幅広いシミュレーション、モデル開発のためのリソース、解析機能を利用することで、 「ロバスト設計」手法を活用し、電力ネットワーク設計の課題に対処できます。

Saberの優位性

  • システムコンポーネントの適正化により 消費に見合ったエネルギー発電を実現
  • 早期検証で電力ネットワークの不慮の負荷上昇および配電を予見
  • ハードウェアとソフトウェア協調シミュレーションにより、システム全体を早期にテスト
  • 業界で既に実証されている電力モデル・ライブラリを利用することで時間の節約とエラーの除去を実現
  • 業界標準のVHDL-AMS言語とMAST言語により設計の再利用が可能
  • 高度な感度解析、統計解析、および故障解析による信頼性向上
  • 複数のCPU間でシミュレーションを分散処理することによる解析スループットの向上

アビオニクス・ネットワーク

航空宇宙向けアビオニクス・ネットワークは、航空管制、性能向上、安全確保、乗客の快適性確保を実現するシステム向けにCANをベースにした通信回線を提供します。ネットワークの信頼性は航空宇宙機の堅牢な操縦に不可欠であり、ネットワークの論理層と物理層の検証が必要とされます。論理層の設計と検証は設計工程の早い段階で開始できますが、物理層の検証は従来ハードウェアのプロトタイプを必要とし、多くの場合に開発サイクルの後工程まで実施されません。しかし、複雑なネットワークでは物理層の早期検証が必要です。そこで、アビオニクスを担当するエンジニアは、物理層の検証目標を達成するために、「ロバスト設計メソドロジ」とモデリングおよびシミュレーションの組み合わせに注目し始めました。

Saberの幅広いアナログおよびミックスドシグナル・シミュレーションとモデル開発機能を、明確に定義された「ロバスト設計メソドロジ」と組み合わせることで、アビオニクス・ネットワークの物理層を検証するための単独な環境が実現します。エンジニアはSaberライブラリからトランシーバのモデルとコントローラのモデルを利用してネットワークの設計を行います。Saberの幅広いタイムドメイン解析、周波数ドメイン解析、統計解析により、ハードウェアプロトタイプの完成を待たず、早期にネットワークの物理層を検証します。

Saberの優位性

  • ネットワークの概念とトポロジを開発サイクルの早い段階で検証
  • ECUの最小数と最大数などのネットワークのバリアントを分析します。
  • トポロジの種類およびEMC保護がシグナルインテグリティに与える影響を分析します。
  • システムのシミュレーションにワイヤ特性を含めて、トポロジの拡張の可能性を分析します。
  • 業界標準のVHDL-AMSおよびMASTモデリング言語による航空宇宙向け通信ネットワークのモデル作成と特性化
  • 標準的な解析により公称ネットワーク性能を検証し、先進的な感度解析、統計解析、WCA、故障シミュレーションにより信頼性を確保
  • 複数のCPU間でシミュレーションを分散処理することによる解析スループットの向上

飛行制御

現代の航空機や宇宙船の航空管制はフライ・バイ・ワイヤ・テクノロジに依存しています。フライ・バイ・ワイヤ・テクノロジでは、飛行制御用コンピュータと制御センサーおよびアクチュエータを複雑なメカトロニクス・システムとして統合しています。制御機器間の相互作用を検証したり、設計および環境パラメータのバリエーションが性能と信頼性に及ぼす影響を把握するには、飛行制御システムを全体として分析する必要があります。複雑なシステムで正しく信頼性の高い動作を検証するには、「ロバスト設計メソドロジ」とシステムシミュレーションを組み合わせる必要があります。

シノプシスのSaber設計環境は、先進的で広範囲の解析と業界をリードするモデル・ライブラリの組み合わせにより、航空宇宙向けシステムの飛行制御設計の課題に対処します。実デバイスのアーキテクチャレベルのモデリングから物理ベースのモデリングまで、また、単純な動作点の解析から複雑な統計解析まで、多様な方法で飛行制御システムを分析して標準機能を保障するとともに、さまざまな動作条件下での堅牢な動作の確認を実現します。

Saberの優位性

  • 業界最大規模のメカトロニクス・モデル・ライブラリからのモデルを利用して飛行制御システムを設計
  • システムをコンポーネントレベル、サブシステムレベル、またはシステムレベルで分析
  • 高度なストレス解析、感度解析、統計解析によりコスト、性能、および信頼性を最適化
  • システムのシミュレーションにワイヤ特性を含めて、トポロジの拡張の可能性を分析します。
  • 業界標準のVHDL-AMSおよびMASTモデリング言語による複雑な飛行制御機能のモデリング
  • ハードウェアまたはソフトウェアの相互作用をコ・シミュレーションにより検証
  • 複数のCPU間でシミュレーションを分散処理することによる解析スループットの向上

ワイヤ・ハーネス

ワイヤ・ハーネスの設計とシミュレーション
ワイヤ・ハーネスは自動車および航空宇宙機の電気システム全体を支えるバックボーンです。ワイヤ・ハーネスの間違いのない、信頼性の高い実装は、自動車システム設計において最も高コストで技術的に難しいものの一つです。SaberES Designerでは、実証済みの設計および検証機能を提供すると共にSaber Simulatorを利用して、コレクト・バイ・デザインのワイヤ・ハーネスを設計します。設計者は、回路図や接続図の作成、コンポーネントやワイヤ・データのエクスポート、MCADツールからのジオメトリ情報のインポート、電気機能のシミュレーション、コネクタ位置を示したバンドルの作成、そして最後に製造用データの生成−、と、ここまでのすべてを一つの使いやすい設計ツールで行うことができます。

SaberES Designerに関するデータシート

Saberの優位性

  • レイアウトおよび製造の前に電気システムの解析を実行することにより、製造時のシステム故障を回避
  • 電気システムの設計に必要なデータフローを、概念段階から製造段階まですべて統合
  • データ入力や手作業のチェック作業を軽減し、データ処理の手順を自動化することで、データの整合性を維持
  • 使われることの多い、3D CADツール(Catia V5、UGS、Pro/E)との統合
  • チームによる設計の作業スタイルやコンカレント設計の作業スタイルをサポートすることにより、貴重な設計時間を短縮し、データの整合性を維持
  • ハードウェアまたはソフトウェアの相互作用をコ・シミュレーションにより検証
  • 使いやすい設計エディタの環境を提供