QuantumATK P-2019.03リリース

QuantumATK P-2019.03を発表します。このQuantumATK原子スケールモデリング・プラットフォームの最新バージョンは、パフォーマンスの向上だけでなく多数の新しいエキサイティングな機能を搭載しました:

  • 密度汎関数法 (DFT)に関するアップデート
  • 解析オブジェクトに関するアップデート
  • 動力学計算に関するアップデート
  •  パフォーマンスの向上
  • よりカスタマイズ可能なスクリプトジェネレータ
  • 2次元プロット・フレームワークの強化

2019年6月初旬に、Service Pack QuantumATK P-2019.03-SP1(バグ修正版)をリリースしました。 メンテナンス中のお客様は、SolvNetからQuantumATK P-2019.03-SP1およびリリースノートをダウンロードできます。

バージョンP-2019.03の新機能

密度汎関数法 (DFT)に関するアップデート

  • SCAN MetaGGAを導入しました。数値基底関数系(LCAO)および平面波基底関数系(PW)の計算で利用可能です。GGA、LDAに比べて多くの系で著しい改善があります
  • Projector-Augmented Wave (PAW)法の利用により、平面波を用いるシミュレーションを高速化できます(但し、現在はベータ版)
  • 光学スペクトル、有効バンド構造、ファットバンド構造、射影した状態密度など、平面波計算用の新しい解析オブジェクトが導入されました
  • Kerker予測子を使用すると、スラブに対する平面波を使用した計算の収束性が向上します
  • ハイブリッドHSE汎関数を使用したノンコリニア、ノンコリニアスピン軌道相互作用の計算が可能です
  • 精密さを顕著に失わない縮小交換グリッドが導入されました。また、状態密度(DOS)解析に波動関数を再利用できるようになりました。 これにより、ハイブリッドHSE汎関数の計算性能が大幅に向上します
  • ノンコリニア系のスピン軌道相互作用をサポートするGGA PseudoDojoノルム保存型擬ポテンシャルが導入されました

解析オブジェクトに関するアップデート

  • 磁気異方性エネルギーの計算が可能です。スマート再スタートと柔軟な解析フレームワークを備えた多用途のスタディオブジェクトから利用できます
  • 部分電子密度の計算、および実空間での可視化が可能です。例えば、Tersoff-Hamann近似のシミュレーションで得られた表面の切断面(STM画像に対応)を描画できます
  • 表面バンド構造(表面または輸送方向に垂直なk点経路に沿ったデバイス状態密度)が計算できます
  • 有効バンド構造の解析計算を改善しました。欠損の位置、元素、タイプなどについての制約はありません

動力学計算に関するアップデート

  • DFT、DFTBまたは力場法と組み合わせてtime-stamped force-bias Monte Carlo法を利用できます。一定温度または線形加熱/冷却における長時間スケールでの平衡化、堆積、非晶質化、拡散、希少事象のサンプリングなどに対し、分子動力学法の代わりとして利用できます
  • ハミルトニアン導関数行列および動力学行列に関し、計算が大幅に高速化し、並列スケーリングも向上しました。これは、対称性を利用した原子変位数の削減によるものです。また、k点サンプリングはスーパーセルサイズに対し自動スケールされるようになりました
  • エッチングと堆積のシミュレーションに、Brenner/REBOおよびMoliereポテンシャルが新しく追加されました
  • 部分的に構造最適化されたデバイスについて最適化計算を再開できます。これにより計算時間を節約できます
  • 結晶材料の構造最適化において、拘束条件として空間群を指定できます

パフォーマンスの向上

  • DFT LCAO分子動力学(MD)および構造最適化において、大幅なメモリおよび計算時間の削減を実現しました。数百~千個の原子について、快適に計算を実行できます
  • MGGAGGA、ハイブリッド汎関数を用いるDFT計算、および非平衡グリーン関数(NEGF)法の計算において、総合的なパフォーマンスが向上しました
  • 力場ポテンシャルを用いる計算でMPI並列化が利用できます。大規模なMDシミュレーションを高速化できます
  • グリーン関数に関する計算において、経路点ごとに複数のプロセッサを用いる並列化より、メモリ使用量を削減できます
  • 新規のParallelDevicePerformanceProfile関数が利用できます。NEGF計算において、メモリと速度に関して最適な並列化の指針が得られます
  • GUI(LabFloorロード時間、NEB生成など)のパフォーマンスが向上しました

よりカスタマイズ可能なスクリプトジェネレータ

  • スクリプトボードが再編され、より使い易くなりました
  • Calculatorウィジェットの新レイアウトは、最重要のパラメータを分かり易く表示します
  • Calculatorの設定とワークフローをテンプレートとして保存し、別の計算で再利用できます

2次元プロット・フレームワークの強化

  • プロットの高度な編集、保存、更なる解析への活用が可能です。また、新データに対しプロット設定を再利用できます
  • 様々なプロットのリンクや組み合わせ、より掘り下げた解析が行えます
  • データを線形モデルやその他のモデルにフィットし、直接グラフ上で結果を見ることができます

その他のアップデート

  • 空間群を近似的に指定してビルダーの結晶構造を対称化できます。結晶の対称性検出ツールにて、角度と位置の許容値が設定できます
  • 新しく追加されたパッケージPandasFireworks
  • 今回のバージョンよりQuantumATKPython 3を採用し、より便利になりました

QuantumATK P-2019.03の入手

メンテナンスサービスを受けているお客様は、SolvNetからQuantumATK P-2019.03にアクセスし、リリースノートとインストールノートを直接ダウンロードできます。

ライセンスに関するアップデート

QuantumATK P-2019.03の利用には以下の条件が必要です:

  1. Synopsys Common Licensing (SCL)のバージョン2018.06 以降
  2. 2018年12月10日以降に発行されたライセンスキーファイル

更新されたライセンスキーファイルとSCLの最新バージョンは、SolvNetのお客様のアカウントからダウンロードできます。

追加リソース