QuantumATK Q-2019.12リリース

QuantumATK Q-2019.12を発表します。このQuantumATK原子スケールモデリング・プラットフォームの最新バージョンは、パフォーマンスの向上だけでなく多数の新しいエキサイティングな機能を搭載しました。

QuantumATK Q-2019.12リリースの利点

高度な半導体技術の開発に関する応用:

  • k·p法を使用したHSE汎関数に基づくバンド構造の計算が20倍(短縮例: 3日→4時間)、移動度の計算は10倍(短縮例: 38時間→4時間)高速になりました。 これにより、ランダム合金を含む新しいチャネル材料におけるバンド構造とキャリア輸送のモデリング強化が可能になります。
  • 粒界の構築と構造緩和のための新しいツールが加わりました。また、金属のバルクとナノ構造の抵抗率の(数日かかる)計算を数時間で実行する2つの効率的な計算方法が実装されました。これにより、代替接続金属のより現実的、包括的かつ計算高効率なモデリングが可能になります。
  • 非平衡グリーン関数(NEGF)法における自己エネルギーの計算が改善されました。最大70%高速化し、より現実的な強誘電体スタックとゲートスタック、金属半導体コンタクト、ナノエレクトロニクスデバイスの探索と最適化が可能になります。
  • 磁性結晶材料および合金材料のスピンダイナミクスを描述する新しいギルバート減衰シミュレーションを用いれば、スピントロニクスデバイスの研究および最適化が可能になります。
  • Sentaurus Materials Workbenchによるab-initioとTCADツール間のリンク強化は、高度な半導体の技術開発における効率的なワークフローをサポートします。

 

材料開発に関する応用:

  • 2〜3倍高速な大規模分子動力学シミュレーションが可能になりました。これにより、ポリマー溶融物の構築と平衡化、熱的・機械的特性、熱輸送、およびその他の特性の計算のための高度なツールが強化されました。
  • ラマン分光、赤外分光、電気光学分析ツールなどの幅広い光学ツールが実装されました。QuantumATK統合フレームワークにて、より統合的な材料特性計算が可能になります。
  • 新規レポートジェネレーターツールを用いると、多数のシミュレーション結果からデータを簡単に抽出、分析、描画できます。QuantumATKは、平面波展開に基づく計算手法のパフォーマンス向上、および平面波-LCAO展開に基づくシミュレーション間の独自連携により、バルク、2D、およびナノ構造材料に関して、より効率的なハイスループットスクリーニングを実現します。

 

バージョンQ-2019.12の新機能

密度汎関数法 (DFT)および解析オブジェクトに関するアップデート

• ノルム保存型擬ポテンシャルとProjector Wave Augmented (PAW)法を使用したDFT平面波(PW)計算法のパフォーマンスの大幅な向上
• PW計算法に関する、デフォルト設定値の改善、およびより多くの解析オブジェクトのサポート
• PW計算の初期値にDFT-LCAO計算の結果を使用する独自の再スタートオプション: 高速なマルチモデルシミュレーションが可能に
• PAW-HSEとk·p展開法による非常に効率的なバンド計算法を実装
• 新規の光学・電気光学解析ツール: ラマンスペクトル、バンド内寄与、極性LO / TO分裂、二次感受率、赤外分光法、など、広範囲に応用可能
• 磁性体のスピン動力学を描述するギルバート減衰シミュレーション
• 移動度と電子-フォノン散乱に関する改善: ブリルアンゾーンの対称性の考慮による計算コストの大幅な削減、抵抗率計算に関する近似法を新しく2つ実装

動力学計算に関するアップデート

• MD(分子動力学)計算実行時の測定値のレコード頻度を大きく設定することが可能に。その他にも改善点あり。これらによりMDトラジェクトリのプロットが向上。
• MDトラジェクトリに対する2つの新しい解析オブジェクト、比熱容量とガラス転移温度を実装。
• 負荷がかかった系の応力応答をシミュレーションする新型MD法
• 定義済みForceField-MDとDFT-MDワークフローテンプレートにより、シミュレーションのセットアップ時間を節約。

ポリマーに関するシミュレーション

• ポリマー構築のための使いやすいツール: 熱可塑性プラスチック、線形ホモポリマー、共重合ポリマー、融解ポリマー、分子やナノ粒子が埋め込まれたポリマー、表面のポリマー、などの作成が可能
• 多様なポリマー平衡化法の新規実装: 強制キャップ平衡化法(初期平衡化に使用)、単鎖平均場(SCMF)法、21段階ポリマー平衡化スタディオブジェクト、など
• Dreiding力場関数およびOPLS-AA力場関数のサポート
• 高分子工学のための、熱的・機械的、その他の特性を計算する多様な高分子シミュレーションツール:  NVE、NVT、NPTアンサンブルに対するMD計算、time-stamped force-biasモンテカルロ法(長時間スケール計算用)、非平衡運動量交換法(ポリマーの熱伝導のモデリングに利用)、など

パフォーマンスの向上

• DFTおよび半経験的NEGF計算のパフォーマンスの向上: 左右の電極に対する並列計算、横方向の電極の繰り返しの導入など。より大きなデバイスの電子輸送特性のシミュレーションが可能に。
• 構造最適化とMDシミュレーションのための、最適化されたDFT-LCAO応力計算
• MPI並列処理によるDOSおよびPLDOS計算の高速化
• 力場ポテンシャルの並列スケーリングの大幅な向上による、大規模なMDシミュレーションの高速化

NanoLab GUIに関するアップデート

• Builderの移動ツールのアップグレード: 構造物の平行移動、回転、アライメントを容易に実行。また、面の切り出しと界面作成に対する新しいスクリプティング・ビルダー機能の実装。
• 粒界ビルダー、ホイスラー合金ビルダー、アモルファス構造構築のためのPackmolビルダープラグインのアップグレード、など
• Job Managerのレイアウトを刷新。また、特定のジョブ設定を用いて、複数のジョブの投入が使用可能に。
• 新規レポートジェネレーターツール: 多数のシミュレーション結果からデータを簡単に抽出、分析、描画
• 強化された2Dプロットフレームワーク: プロットのカスタマイズ、アニメーションを伴うプロット、滑らかなローリング平均によるデータ傾向の明示、プロットデータのテキストへのエクスポート

Sentaurus Materials Workbenchに関するアップデート

•  Sentaurus Materials Workbenchによる、QuantumATK第一原理計算とTCADワークフロー間のリンク強化。 Pythonスクリプティング(CUI)とNanoLab (GUI)の両面にてサポート。
•  結晶やアモルファス中における点欠陥や複雑な欠陥クラスターの拡散過程に関して: 向上と新機能の実装。 抽出された拡散係数は、TCADツールで使用可能。
• 粒界(GB)の構築と最適化を可能にし、金属のGBにおける抵抗、抵抗率、反射係数の計算を可能にする新しいツール群。Raphaelを用いた金属の伝導率の更なるモデリングに使用可能。
• 結晶/アモルファス多層構造物の構築に関して: ユーザー制御性の向上により、歪みの小さい構造最適化が可能に
• 第一原理計算からSentaurusツール(sband)への完全なワークフロー:  ワイヤーとスラブのDFTバンド図の、k·pおよび有効質量モデルへのフィッティングの実装

QuantumATK Q-2019.12の入手

メンテナンスサービスを受けているお客様は、SolvNetからQuantumATK Q-2019.12にアクセスし、リリースノートとインストールノートを直接ダウンロードできます。

ライセンスに関するアップデート

QuantumATK Q-2019.12の利用には、Synopsys Common Licensing (SCL)のバージョン2018.06-SP1 以降が必要です。

ライセンスキーファイルとSCLの最新バージョンは、SolvNetのお客様のアカウントからダウンロードできます。

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