AIベースのデバッグ自動化により、リグレッション・テストの根本原因解析にかかる時間を1/4に短縮

米国シノプシス 

Verdiデバッグ・ソリューション担当 プロダクト・マネージャー Rob van Blommestein


デザインの複雑化と開発期間の短縮はとどまるところを知らず、デバッグに要する期間は依然としてチップ検証時間全体の50%を超えています。一方、プロジェクトあたりのチップ設計・検証エンジニアの数はそれほど大きく変化していません。長年の課題である生産性の向上を果たしてエンジニアリング能力を増強し、テープアウト前になるべく多くのバグを見つけてコスト増加要因となるリスピンを避けるには、人工知能(AI)を活用してデバッグを自動化することが不可欠です。
 

RTL設計・検証ループを細かく見ていくと、RTL の確認後にリグレッション・テストが実行され、数百から数千ものエラーがリストとして返されます。その後、これらのエラーをデバッグしていきます。ここで、デバッグ環境に求められるのが予測可能性です。つまり、デバッグ環境に格納されているRTL、およびそのコードを格納したエンジニアリング・リソース(設計チームなのか検証チームなのか)をデバッグ環境に認識させる必要があります。こうすることで、エラーがどこから発生しているのかを自動的に評価することができます。しかし、ほとんどのデバッグ環境はそのようになっておらず、これらのエラーを人手でデバッグする必要があり、このことが大変な負担となっています。具体的には、報告されたエラーの種類に基づいて、エラーを人手でカテゴリ別に分類します。そして、分類後のエラーを手作業でトリアージし、問題がデザインにあるのかテストベンチにあるのかを判断します。次に、根本原因解析(RCA:route cause analysis)を実行し、テスト・エラーを引き起こした実際のバグをピンポイントで特定します。この人手によるプロセスには、反復が必要であること、プロジェクトの貴重な時間を浪費してしまうこと、貴重なリソースを束縛してしまうこと、人為ミスが発生しやすいこと、などの問題点があります。

根本原因解析にかかる時間をAIが短縮

シノプシスの自動デバッグ・システムVerdi®は、業界をリードするデバッグ・ソリューションです。もともと波形ビューワとして開発されたVerdiは、長年にわたって進化を続け、今ではクラス最高の可視化機能、ビヘイビア解析機能、自動RCA機能を備えたデバッグ・システムとして事実上の業界標準となっています。Verdiのテクノロジは、すべての検証およびRTLエントリ・ツールで利用可能なユニファイド・デバッグ・ソリューションです。VerdiのFast Signal Database(FSDB)は、EDA業界全体での検証および解析ソリューションの標準化に大いに貢献しています。
 

そして2021年には、デバッグ・プロセスのさらなる高速化を目指してVerdiシステムにAI技術が導入されました。Regression Debug Automation(RDA)と呼ばれるこの画期的なテクノロジは、予測分析機能を備えたAIベースのチップ検証技術で、DUT(Design-under-Test)とテストベンチに存在するエラーの根本原因を見つけるという、これまで人為ミスが多発していた人手によるプロセスを自動化します。半導体業界大手のMediaTek社は、シノプシスVerdiのRDAテクノロジを活用してリグレッション・テスト期間を1/4に短縮することに成功しました。この事例を発表した同社のプレゼンテーションは、シノプシス ユーザー会SNUG South Asia 2021で最優秀プレゼンテーション賞を受賞しています。

デバッグと検証の未来は自動化にあり

Verdiのテクノロジが進化を続ける中、今後は単にAIの利用が広がるだけでなく、AIが認識するデータの範囲が検証フローに含まれるすべてのデータにまで拡大していくでしょう。また、Verdiのテクノロジは検証マネージメントや継続的インテグレーション/継続的デプロイ(CI/CD)フローとの連携を深めることにより、より多くのバグ検出、プロジェクトのスケジュール遵守、シリコンの一発完動を可能にすることも目指しています。

 

AIを活用したデバッグと検証の詳細、またクラウド上でのグローバルな協業と継続的な生産性向上への道を拓くVerdiの最新テクノロジについての詳細は、弊社営業担当にお問合せください。