Optical Solutions User Conference in Japan 2022の各講演概要をご紹介します。
一般社団法人 日本光学会 会長
コニカミノルタ株式会社
技術開発本部 技術戦略統括部
山口 進 様
1988年、東北大学応用物理学科卒業、同年コニカミノルタ(当時のコニカ)に入社。入社以来、光ディスク装置の信号検出光学系、銀塩カメラ用単焦点レンズ・ズームレンズ・ズームファインダー、携帯電話用撮影レンズの光学設計に従事。2012年から、光学技術を強みとする新規事業開発に従事し、2020年からコーポレートR&D部門に異動、現在は技術戦略立案に携わる。
日本光学会の活動としては、2001年~2010年:日本光学会光設計研究グループ運営委員、2011年~2016年:日本光学会光設計研究グループ代表、2014年~2018年:日本光学会理事、2019年より日本光学会会長を務めている。
趣味はテニス、カメラ、そして双眼鏡でのスター&バードウォッチング。
<特別講演>
1988年にコニカミノルタ(当時のコニカ)に入社して以来、光学設計(主に撮像レンズの設計)および光学技術を強みとした事業開発に30年以上携わってきた。企業の光学設計者としてアナログからデジタルへ変化していく時代の真っただ中で思ったこと、また、日本光学会会長として国内外の光学研究者・光学技術者との交流であらためて考えさせられたことを踏まえて、これからの未来を担う光学設計者にエールを送る。
11月29日(火) 13:40~14:10 予定
<シノプシス講演>
この講演では、私達シノプシスが光学市場をどのように見ているか、アプリケーション、技術のトレンドは何か、どこからインスピレーションを得て開発項目や優先順位を決めているかなどを紹介します。そして、”光学を次のレベルに導くポイント”として、ソフトウェア連携の強化が重要であることを説明します。
講演を通して、光学業界と皆様を支援するシノプシス光学製品の今後を展望をご確認ください。
11月29日(火) 14:10~14:50 予定
<シノプシス講演>
~逆設計機能を備えたメタレンズ/メタサーフェス完全自動設計ツール~
メタレンズは、その全体サイズが電磁光学ツールで扱うには非常に大きく、多くのナノ構造を含んでいるため、一般的なフォトニックシミュレーションのアルゴリズムを用いた設計やシミュレーションが困難です。また、実際のレンズとして利用するためには複数の入射角度条件や波長に対して適切に動作するよう設計する必要があり、最適化による逆設計のアプローチが必要になってきます。
この講演では、このようなアプローチを高速に実現するMetaOptic Designerの概要と、それを用いた設計事例をご紹介します。
11月29日(火) 14:55~15:25 予定
RSoft Photonic Device Tools
<シノプシス講演>
新型コロナウイルスの流行に伴い、紫外線殺菌照射装置(UVGI)の技術が注目されています。UVGIの中でも、多くの人が集まる空間を常時点灯で殺菌するタイプは漏れ光が人体に害を与えないかを確認する必要があります。
そこで、この講演ではLightToolsの最適化機能でUVGIのルーバー形状を最適化した後に、室内の壁や天井の紫外線反射率によって人体への影響度合いがどのように変化するかを評価した事例をご紹介します。
11月29日(火) 15:25~15:55 予定
LightTools
<シノプシス講演>
~波面収差とパルス面収差の同時補正~
超短パルスレーザーには多くの応用分野を持ちますが、超短パルス光のためのレンズ設計には特有の要求があります。光を出来る限り1点に集光すること(波面収差の補正)および光を出来る限り同じタイミングで到達させること(パルス面の補正)です。
この講演では、フェムト秒レーザーアプリケーションのための対物レンズの設計事例についてご紹介します。
11月30日(水) 13:35~14:15 予定
CODE V
<シノプシス講演>
~CODE VとRSoftを用いた設計フロー~
この講演では、メタレンズの設計例として広角レンズの事例を紹介します。
講演で取り扱う事例では、CODE Vで求められたメタレンズに要求される位相プロファイルと、RSoftで計算を行ったメタレンズを構成するメタアトムの特性データからメタアトムの配置パターンを求めています。
また、ここで得られた配置パターンの結果をMetaOptic Designerにて実際の集光状態を確認し、さらなる最適化の検討します。
11月30日(水) 14:15~14:50 予定
CODE V / RSoft Photonic Device Tools
<特別講演>
照明設計解析ソフトウェア LightTools と波動光学解析ツール RSoft Photonic Device Toolsを併用するとAR/VRグラスのシミュレーションや設計が行えます。
現状これら2つのソフトウェアの設計ではパラメータスキャンが主となります。
この講演ではModeFrontierを用いてAR/VRグラスの輝度分布を最適化した事例をご紹介いただきます。
なお、発表は日本シノプシス 笹川と合同で講演を行います。
11月30日(水) 14:55~15:40 予定
東京工芸大学 名誉教授
渋谷 眞人 様
1977年 東京工業大学大学院物理学専攻修士
課程修了
同年 株式会社ニコン入社
主に人工衛星搭載光学系、半導体露光装置光学系の設計・開発に従事
位相シフトマスクの発明、球面収差のある場合の正弦条件の吟味、MTF計算法の綿密化、レンズ自動修正プログラムの開発、フィゾー型干渉計における高NA補正などの研究開発を行う。
1996年 博士(東京大学黒田和男教授)
2001年 東京工芸大学工学部教授
2018年 東京工芸大学退職・東京工芸大学
工学部名誉教授
1996年 科学技術庁長官賞 受賞
2010年 応用物理学会宅間賞 受賞
2012年 応用物理学会 フェロー
2015年 SPIE Fellow
2020年 応用物理学会高野賞 受賞
2022年 SPIE Rudolf and Hilda Kingslake
Award in Optical Design 受賞
趣味は水泳です。コロナと近所のスポーツクラブ閉館の影響もあってこのところ泳ぐ回数が減ってしまった。もっと泳いでいこうと思います。
<特別講演>
「Rudolf and Hilda Kingslake Award in Optical Design」受賞に関しての講演を機に、自分の仕事を改めて振り返ると、私の光学結像理論研究は位相シフトマスクの発明から始まっている。その中で平面波展開による結像理論を構築し、瞳座標としての方向余弦の重要性を再認識した。正弦条件の吟味、MTF計算法の吟味などもその直接の成果である。その後も多様な光学系の設計や理論的検討を行い、大学に移ってからスカラー理論の基礎をさらに突き詰めてきた。相反定理、対応原理、パーセバルの定理が成立するための観点から、入射出のインクリネーションファクターの妥当性を導いた。これらについて概要を少し述べたい。
また、今も光学企業のサポートをしているが、その中で、斜め物体面への照明や、デフォーカスによる位相欠陥像の白黒反転などの現象についての議論がある。これらは結像理論の基礎に絡んでおり、斜め像面における点像分布と対応原理、グイ位相シフトによる位相欠陥の白黒反転、の二点に関する理論的な考察をお伝えし、CODEVによるシミュレーション結果との対比に関する事も合わせてお伝えしたい。
11月30日(水) 15:40~16:10 予定
米国 Rochester大学
Julie Bentley 様
SPIEフェローであるBentley教授は、14年以上にわたって積極的にSPIEに携わってきました。SPIE理事会メンバー、SPIE Community Champion、SPIE Awards、AR/VR/MRおよびSPIE Optical Engineering + Applicationsのプログラム企画委員会などさまざまな委員会のメンバー、レンズ設計および光学画像システム設計に関するSPIEコースの講師、SPIEカンファレンスでの研究発表、SPIEジャーナルや書籍での出版など、SPIEへの貢献は多数にのぼります。
直近では、本年8月にカリフォルニアで開催された SPIE Optics+Photonicsにても講演を行っています。
<特別講演>
本講演は、米国Rochester大学で教鞭をとるJulie Bentley教授とライブで皆様をお繋ぎし、GRINレンズに関連するご講演を賜ります。
講演は、英語での発表となります。
講演内容は下記を予定しています。
12月1日(木) 13:35~14:05 予定
<シノプシス講演>
~CODE VとLightToolsの設計/迷光解析ツールとテクニック~
迷光(ゴーストやフレア)の低減は撮像光学系の設計に必要不可欠です。
CODE VとLightToolsの最新バージョン2022.03では、両ツールの連携機能が強化されました。これにより、迷光対策を効率的かつ迅速に実施できるようになり、製品開発にかかる時間を大幅に短縮します。
この講演では、スマートフォン用のカメラレンズを対象にCODE VとLightToolsの連携による迷光解析と迷光低減設計の事例をご紹介します。
12月1日(木) 14:05~14:35 予定
CODE V / LightTools
<シノプシス講演>
シミュレーションで実測結果と同等の結果を得るために、部材表面や内部で発生している散乱現象を再現することは非常に重要です。
しかしながら、実測データとして利用されるBSDFはデータサイズが大きいことや、シミュレーション速度が低下することなど様々な課題を抱えていました。
新しく開発されたMicrofacet Utilityは、これら抱える課題を解決し、従来よりも高精度な散乱分布の再現を実現します。この講演では、Microfacet Utilityを利用した透過散乱分布の再現性と、更なる精度向上のための提案についてご紹介いたします。
12月1日(木) 14:40~15:10 予定
LucidShape / LightTools
<シノプシス講演>
妥当性のある製品設計を行うには、実測とシミュレーション結果の性能を比較を行われることはよくあることかと思います。
この際、シミュレーションでモデルに入力されたデータの精度が良ければ、その結果をより現実に近づけることができます。
特に材質と光学特性を適切に再現することは、生産開始前の設計のクオリティを高める最良の方法といえます。
この講演では、このような材質や光学特性の再現に有効な材質測定器、測定サービス、 SmartStartライブラリについてご紹介します。
12月1日(木) 15:10~15:35 予定
光学散乱測定器