Optical and Photonic Solutions Blog~日本語版~

公開日:2025年5月29日

LightToolsの新バージョン2025.03では、量子ドットモデリング、変調伝達関数(MTF)による高度なイメージング解析、輝度カメラ、ヘッドアップディスプレイ(HUD)アナライザユーティリティ、複屈折コーティング、サンプルモデルライブラリの拡充など、新たな機能追加と改良が行われました。これらの各機能により、複雑な光学的課題を、より容易かつ正確に解決できるツールへ進化しています。

本記事では、新機能や改良点をご紹介します。


蛍光体と量子ドットのモデリング

量子ドットは、より明るく鮮やかな色を実現することで、ディスプレイ技術分野に革命をもたらしています。新しい変換強度分布タイプと追加の無変換強度分布タイプにより、LightToolsの蛍光体と量子ドットのモデリング機能が強化され、設計におけるこれらの材料のシミュレーションと最適化が可能になりました。

量子ドットを設計に組み込むことで、ディスプレイや照明システムの色域とエネルギー効率を大幅に向上させることができます。LightToolsの新しいモデリング機能により、この先進材料の設計プロジェクトへの組み込みが容易になり、先端テクノロジーの維持が可能になります。

stay at the forefront of technology.  Quantum dot cell phone display model in LightTools

LightToolsでの量子ドット携帯電話ディスプレイモデル

変調伝達関数 (MTF) を用いた画像解析

変調伝達関数(MTF)は、画像システムの性能を評価する上で重要なツールです。LightToolsの新バージョンでは、MTFに含まれる迷光の影響を解析し、設計の空間解像度と画像品質を評価するための包括的なMTF解析機能が追加されました。LightToolsのMTF解析機能では、それぞれの空間周波数の伝達特性を解析し、光学系のコントラストと解像度を評価できます。

この新機能により、レンズやその他の光学部品のMTFをシミュレーションできるようになり、設計が最高水準の性能に達していることを保証できます。カメラ、医療用画像装置、その他の光学部品の開発において、LightToolsのMTF解析は、最適な結果を達成するために必要な情報・知見を提供します。MTFの可視化・定量化により、画像品質を低下させる収差やその他の要因を特定し、軽減することが可能です。

LightToolsにおけるMTF解析結果の例

輝度カメラ

LightToolsの輝度カメラ機能は、光学システムの輝度測定を簡素化する設定プロセスを提供します。この機能は、ディスプレイ、照明器具、その他の照明対象物の明るさと均一性を評価するために、モデルにピンホールカメラをワンクリックで追加します。これにより、設計時に意図した通りの視覚効果を実際の使用環境で実現できるようになります。

輝度カメラは簡単操作で柔軟な設定が可能なほか、LightToolsの他の機能とシームレスに連携し、輝度解析の包括的なソリューションを提供します。また、この機能は、輝度プロファイルの測定、等光度図の生成、輝度分布の解析など、多様な測定に対応しています。自動車照明、建築照明、ディスプレイ技術など、あらゆる分野の業務において、このツールは最適な結果を実現する強力な支援ツールとなります。

3D Design View XY Plane and luminance camera true color view in LightTools

LightToolsにおける3DデザインビューのXY平面表示と輝度カメラによるトゥルーカラービュー

ヘッドアップディスプレイ(HUD)アナライザーユーティリティ

ヘッドアップディスプレイ(HUD)は、自動車や航空宇宙分野においてますます重要な役割を果たすようになっています。LightToolsの新しいHUD アナライザーユーティリティは、これらのシステム設計と評価に特化したツールです。本ツールは、視野角、歪み、輝度分布など、HUDの光学性能をシミュレーションする機能を備えています。

本ツールは、HUDの設計行程をより容易にし、ユーザーに明確で正確な情報を提供することができます。虚像の位置、コンバイナーの幾何形状、環境条件を含むさまざまなHUDの構成をシミュレーションできます。このツールを活用することで、過酷な環境下でも安全性と操作性を向上させたHUDを設計できます。

LightTools ユーティリティ ライブラリで、解析>ヘッドアップ ディスプレイ (HUD) アナライザーを選択

複屈折コーティング

複屈折コーティングは、さまざまな光学システムにおいて光の偏光状態を制御するために使用されます。LightToolsは、複屈折コーティングのモデル化機能を強化し、より正確にシミュレーションできるようになりました。複屈折コーティングは、顕微鏡、通信、レーザーシステム、AR/VRなど、精密な偏光制御が不可欠なアプリケーションにおいて重要な役割を果たします。

新しい複屈折コーティングツールを使用することで、単層薄膜の複屈折材質が生じる偏光挙動をモデル化できます。この機能により、波長ごとの屈折率、厚さ、および結晶軸方向を定義することができ、これらのパラメーターが光学システムに与える影響をより正確に再現できます。なお、この機能のご利用には、高度光学特性モジュールが必要です。

Create a single-layer thin film birefringent coating in LightTools

LightToolsを使用して、単層薄膜の複屈折コーティングを作成

サンプルモデルライブラリの拡充

LightToolsの豊富な機能を効果的に活用いただくため、LightToolsはサンプルモデルライブラリを拡充しました。このライブラリには、ソフトウェアの機能を示す多様なサンプルモデルが含まれており、ご自身のプロジェクトのスタートポイントとして活用いただけます。これらのサンプルを閲覧することで、新しいツールの使い方を迅速に習得し、設計に活用することが可能です。

このライブラリは、ディスプレイ技術から照明システムまで、多様なアプリケーションをカバーし、ご自身の業務に役立つ貴重な知見とアイデアを提供します。今回のリリースでは、LightToolsのシーケンス追跡機能(NSレイとレイパスを使用)を活用した迷光の例が追加されました。また、新しい「ライフサイエンス」カテゴリには、光を用いて血流と血圧を測定する光電式容積脈波(PPG)デバイスと、UV滅菌用の自由曲面レンズの応用例が追加されています。

まとめ

今回のLightToolsの新バージョン2025.03では、光学エンジニアの設計機能、学習ツール、相互互換性を大幅に向上させる重要な機能強化が含まれています。高度な機能とユーザーフレンドリーな操作性を備えたLightToolsは、多様なアプリケーションに対応できる最先端の照明解析ソフトとして、お客様の光学設計を支援します。

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