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today&tomorrow

What's New in DesignWare IP?

2019 vol.112

ISO 26262認証済みIPを使用した統合型ADASドメイン・コントローラSoC

自動車の先進運転支援システム(ADAS)に新しいアプリケーションが次々と追加される中、最新世代の自動車ではシステム・アーキテクチャに大きな変化が現れています。これまでのADASアプリケーションは、たとえば前方障害物回避支援システムのECUはフロントに、駐車アシストの超音波センサーとプロセッサはリアに設置するなど、各アプリケーションの電子制御装置(ECU)が車両全体に分散されていました。しかし最近では、複数のADASプリケーションをいくつかの多機能ADAS ECUに統合する傾向が見られます。カメラ、LiDAR、レーダー、超音波などの各種センサーなど、車両全体のリモート・センサーからのデータがこの新しいタイプの統合型ドメイン・コントローラECUへ転送され、高性能ADAS SoC(システム・オン・チップ)で処理されます。統合型のADASドメイン・コントローラSoCは、消費電力と面積を抑えながらこれまで以上に高い性能を達成する必要があります。
統合型ADASドメイン・コントローラはより多くの機能をサポートする必要があり、このことがECU内のADAS SoCアーキテクチャに影響を与えています。これには、設計者にとって必須条件であるSoCレベルのオートモーティブ規格認証も含まれます。しかも統合型ADASドメイン・コントローラSoCだけでなく、その中に含まれるIPについても、最高レベルのASIL(Automotive Safety Integrity Level)に適合すること、温度グレード1および2に適合できるように設計とテストを行うこと、そしてオートモーティブ特有の品質管理プロセスに完全に準拠することが求められます。これに加え、最新の統合型ADASドメイン・コントローラSoCアーキテクチャでは消費電力と性能の要求が更に厳しくなるため、FinFETなど高度なプロセス技術への移行も進んでおり、先進のファウンドリ・プロセスでオートモーティブ規格認証済みIPを使用することがより一層重要になっています。
本稿では、新しい統合型ADASドメイン・コントローラSoCアーキテクチャについてご紹介した後、オートモーティブ規格認証済みIPを使用してSoCレベルの認証から量産までの期間を短縮する方法についてご説明します。

統合型ADASドメイン・コントローラSoCアーキテクチャへのシフト

米国運輸省道路交通安全局(NHTSA)が2016年8月に発表したTraffic Safety Facts Research Noteによると、「2015年の全米における交通事故死者数は前年比7.2%増の35,092人で、これは過去50年ほどの間で最も大きな増加率」となっています。これら交通事故の約94%が人為的ミスによるもので、それ以外は環境および機械系の故障が原因であると分析されています。こうした自動車事故を減らす上で、先進運転支援システム(ADAS)の重要性がいっそう高まっています。自動車事故を防ぐドライバー・アシスト機能としては、衝突被害軽減ブレーキ(AEB)、歩行者検出、サラウンド・ビュー、駐車アシスト、居眠り・脇見運転検出など多くのアプリケーションがあります。図1に、ECUを集中化した統合型ADASドメイン・コントローラSoCを示します。この構成では、多数のセンサーからのデータが中央のECUに送信され、ADASプロセッサで処理されます。

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図1:センサーからのデータを中央ECUに送信し、ビジョン・プロセッサで処理

新しい統合型ADASドメイン・コントローラSoCアーキテクチャへの移行は、Delphi Automotive社(現Aptiv社)やAudi社など多くの企業の新製品発表からも見て取れます。WardsAutoのJames M. Amend氏は、「Delphi: Industry Must Go Digital or Die」の中で、「コネクティビティが強化され、最終的に完全な自動運転へと向かう中で、Delphi Automotive社は、伝統的な自動車のアーキテクチャでは近い将来これらのコンピューティング・ニーズに対応できなくなると見ています。 しかし同社はそれに対する解決策を持っていると自負し、このテクノロジのインテグレータとして業界をリードしたいと考えています」と述べています。更に、「これからは自動車をデジタル・プラットフォームとして見る必要があります。クルマに対する考え方はまるで違ったものになります」というDelphi AutomotiveのシニアVP兼CTO、Glen De Vos氏の発言も紹介しています。また、audi.comには「今回登場したセントラル・ドライバー・アシスタンス・コントローラ(zFAS)は、センサー・データから周囲環境の完全なイメージを永続的に構築し、幅広い運転支援機能に役立てます。これは、相補的センサー・システム、zFAS内部の冗長的データ・フュージョン、およびレーダー制御装置の組み合わせによって実現しています」という説明があります。
データ量の増大により、ADASアプリケーションでは64ビット・プロセッサの採用が進んでいます。また、分散型アーキテクチャから集中型ECUへの移行はそれ以上に広がりを見せています。しかしECUを統合することでADAS SoCは非常に複雑になっています。この結果、ADASドメイン・コントローラSoCの開発には最先端の半導体機能とプロセス技術、そして以下のようなテクノロジが求められるようになっています。

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