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Technology Update

2018 vol.111

新時代のチップ設計に向けたシノプシスのビジョン

次世代のシノプシスFusion Technology

こうしたニーズをふまえてシノプシスが開発したのが次世代Fusion Technology™です。これは、業界最高水準の最適化ツールと業界標準となっているサインオフ・ツールを融合することによってRTL-to-GDSII設計フローに一大変革をもたらすもので、フロー全体で最高のQoR(結果品質)と最短のTTR(結果達成までの期間)を達成しながら次世代デザインを早期市場投入できます。業界最先端のデジタル設計ツール間でエンジンを共有するとともに、論理表現と物理表現の両方にシノプシス独自の単一データ・モデルを利用するFusion Technologyにより、従来のEDAツールに存在していた合成、配置配線、サインオフの間の境界を乗り越えることが可能になります。

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図8:Fusion Technology

Fusion Technologyは、配置配線ツールIC Compiler™ II、論理合成ツールDesign Compiler® Graphical、スタティック・タイミング・サインオフ・ツールPrimeTime®、RC抽出サインオフ・ツールStarRC™、フィジカル検証サインオフ・ツールIC Validator、テスト圧縮ツールのDFTMAX™、テスト・パターン自動生成ツールTetraMAX® II、RTLテスタビリティ解析ツールSpyGlass® DFT ADV、機能等価性検証ツールFormality®などで構成されるシノプシス・デザイン・プラットフォーム全体を1つのDNAバックボーンとして支えます。Design Fusion、ECO Fusion、Signoff Fusion、Test Fusionの4つのテクノロジにより、設計のやり直しを最小限に抑えて最も結果予見性の高いRTL-to-GDSIIフローを実現し、かつてないレベルの高性能、低消費電力、小面積を達成します。Fusion Technologyでは、フロー全体を通じてルールと設計意図の解釈に一貫性があります。また、Fusion Technologyはマシン・ラーニングに対応した超並列共有インフラストラクチャをベースにしています。

画期的なFusionデータ・モデル

Fusion Technologyの中核を支えているのが、デザインの論理表現と物理表現を1つのデータ・モデルに融合したFusionデータ・モデルです。第1世代のプラットフォームと次世代Fusion Technologyの最大の違いはこのデータ・モデルにあります。

Fusionデータ・モデルはすべての設計フェーズで利用できるため、スケーラブルかつアジャイル、そしてフレキシブルな共通基盤が実現します。このデータ・モデルによりツールとデータ・モデルの相互通信が10倍に高速化し、対話形式のWhat-If解析が可能になる他、マルチコア、マルチ・コーナーなどあらゆる「マルチ」においてCPUコアの数に応じたほぼ線形なスケーラビリティがネイティブに得られます。設計フローのどの時点で停止、再開しても時間と工数のペナルティがなく、設計生産性が更に向上します。

また、Fusionデータ・モデルは透過的なマルチレベル階層もサポートし、大量の計算処理を必要とするアルゴリズムを効率的に実行できるため、より多くの最適化を実施してQoRの向上を図ることができます。ビア・ピラーなどインターコネクトの現象も合成の段階で容易にモデル化できる他、サインオフ・エンジンによる正確な遅延計算が配置配線でも利用でき、サインオフ解析を設計ループに緊密に統合することでECOの収束性が向上します。Correct-by-Constructionの配置配線が可能になることで、DRCエラーが予防されます。

このインフラストラクチャはセットアップとメタスイッチがシンプルで、GUI、コマンド、ライブラリ・ファイル、テクノロジ・ファイル、TCLスクリプト、ビジュアルなフロー管理、デザイン・トラッキングは共通のものを使用できるため、ツールの垣根を越えてただちに優れたユーザー体験が得られます。リファレンス・メソドロジとして提供される実証済みのフローを利用すればすぐに作業を開始でき、必要に応じてこのフローをカスタマイズすることも可能です。このリファレンス・メソドロジにより、高性能・低消費電力のコア上で最高のQoRを達成することができます。

Design Fusion

Design Fusionは、配置配線の要件を見越して合成を実行するとともに、配置配線の段階で業界標準となっている強力な合成エンジンを利用できるため、設計やり直しのループが削減、または完全に解消されます。

Design Fusionは、消費電力を最優先しながらフロントエンド設計と配置配線の間で一元的な物理合成を行うことでQoRの向上を図ります。これにより、配置配線環境で合成テクノロジのQoRを達成し、合成環境で配置配線のQoRを達成することができます。タイマ、抽出、電力解析を共通化し、グローバル配線、配置、最適化も共通化することにより、完全な相関が得られます。また、Design Fusionは業界標準となっているシノプシス独自のRTLフロントエンド、反復回数を削減する共有エンジン、単一データ・モデルによりTTRの最短化も実現します。

Design Fusionでは、統合配線合成および先進のコンカレント・クロック・データ(CCD)最適化が可能です。再合成最適化機能は、配置配線時に合成ベースのロジック再構成を実行することによりエリアとリーク電力をリカバリします。この再合成は非常に高速で、クリティカルな領域に適用するとQoRと収束性が大幅に向上します。

アーキテクチャを考慮したワードビュー最適化機能では、マルチビット・パッキングと最適化により、構造化したデータパス・マッピングと配置が可能です。この機能では、バスはマルチビット要素に直接マッピングされ、マルチビット・レジスタには適切なクロック・ゲーティングが適用されるため、パッキング比が大幅に向上し、ダイナミック・パワーが削減されます。また、この機能を使用するとデザイン・フローを通じてビット・スライスを維持することもでき、通常なら配線が混雑したデータパス・デザインも面積を大幅に縮小でき、QoRが飛躍的に改善します。

ECO Fusion

ECO Fusionは、業界標準となっているサインオフ解析バックボーンを利用してECOを削減し、サインオフ・クロージャの早期達成を促します。インプリメンテーションの意思決定時および最終バリデーションの実行時に解析の基盤となるのが、PrimeTimeとStarRCです。これにより完璧な相関性が得られるため、ECOの反復が不要になり、TTRとフローの設計結果予見性が飛躍的に向上します。

ECO Fusionでは、配置配線時に正確なパス・ベース解析(PBA)ドリブンの最適化が可能で、最高のQoRクロージャが可能です。高速かつ効率的なPBAにより不要なマージンと数千件にも及ぶ違反パスの誤判定をなくすことができます。クリティカルパスのタイミングがより現実的となり、本当の違反パスの数は激減します。配置配線の変更はサインオフ要件に違反している部分だけを対象にピンポイントで実行されるため、変更が不要な回路には影響しません。タイミング修正のためのパスが減少することで、より多くのパスをパワー/エリア・リカバリに使用できるため、バッファーと低VTセルの数が減少し、消費電力が削減されます。

また、メタル層を自動で変更する経路最適化とレイヤ・プロモーションの機能により、ホールド要件を満たしていないパスは低速化、セットアップ要件を満たしていないパスは高速化が実行されるため、タイミング・クロージャも迅速化されます。更に、リーク・パワーとダイナミック・パワーを含む全体的な消費電力が最大限に削減され、パワー・クロージャも容易に達成できます。クロック・スキュー調整も実行され、フリップフロップの同時スイッチングが削減されます。高トグル・レートのセルは動的に最適化して、消費電力への影響を抑えることができます。

また、ECO FusionではIC ValidatorがインクリメンタルDRCとフィル・バリデーションをネイティブに実行するため、フィジカル検証も短時間で収束します。DRCエラーの自動修正とメタル・フィルの機能は、タイミングと密度の要件をバランスよく満たします。また、パターン・マッチング機能は製造時のホットスポットを超高速に検出して防止します。

Signoff Fusion

Signoff Fusionは、最適化とサインオフの両方でPrimeTimeとStarRCをベースにした業界標準サインオフ・バックボーンとゼロ・マージン設計フローを使用することにより、デザインの過大マージンと過剰設計をなくします。ゼロ・マージン設計フローにより悲観性が減少し、QoRが向上します。ここでは、主に次の3つの柱により過剰設計を解消します。

  • 完全な相関性:タイミング、電力、IR、熱解析などに関する各設計フェーズの解析結果は、標準偏差がなるべく小さくサインオフとの完全な相関を達成している必要があります。
  • 悲観性をゼロに抑えるアルゴリズム:解析アルゴリズムはPBAの長所である精度とグラフ・ベース解析(GBA)の長所であるスピードを組み合わせることによって悲観性を抑えると同時に、高精度な解析を早期段階で高速に実行できるようにする必要があります。
  • トータルなばらつきソリューション:先端ノードでは、インターコネクトの先進ばらつきモデルに加え、VTや近接などに関係する新しいセルばらつきの影響を含めたトータルなばらつきソリューションが必要です。

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