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today&tomorrow

What's New in DesignWare IP?

2018 vol.111

HDMI 2.1:没入感あふれるビジュアル体験へ

eARC(Enhanced Audio Return Channel)

薄型狭額デザインを採用した最近のデジタル・テレビではスピーカーのための物理的スペースがほとんどなく、外付けのスピーカー・システムを購入するコンシューマも少なくありません。従来は、これらのスピーカーを1対のアナログ信号(赤/白のバナナプラグ付きケーブル)または光ファイバー・ケーブル(TOSLINK)で接続していました。しかしこれらの方法は帯域幅が不足しており、音質に改善の余地がありました。この問題を解決するためにHDMIに導入されたのがARC(Audio Return Channel)で、これによりHDMIインターフェイスの2つの信号を使用して最高品質のオーディオ・フォーマットを伝送できるようになっています。

HDMI 2.1仕様はこのARCを上回るサンプル・レートおよびサラウンド・サウンド・チャネル数を利用できるようにしたeARCを定義しており、より高品質なデジタル・オーディオ・フォーマットの伝送が可能です。eARCは最大32チャネルのオーディオをサポートしており、HDMIディスプレイ機器とスピーカー・システムのインターオペラビリティも改善しています。

ERR(Enhanced Refresh Rate)

伝統的なデジタル家電では、ビデオ・コンテンツとゲーム・コンテンツで生成および表示の方法が異なっています。ゲーム・コンテンツには、物体の動きが少なく主に静止イメージで構成されるシンプルなフレームと、物体の動きが多い複雑なフレームがあり、後者の方がGPUによる生成および処理に時間がかかります。よりスムーズなゲーム体験を提供するため、HDMI 2.1はVRR(Variable Refresh Rate)およびQFT(Quick Frame Transport)機能をサポートしています。これにより、同じ帯域幅の中でシンプルなフレームは生成してすぐに送信し、複雑なフレームにより多くの時間を割り当てることが可能になります。
また、映画のような視聴体験なら24 fpsで十分ですが、ゲーム・コンテンツでは50~60 fpsのより滑らかな表現が必要です。たとえばセットトップ・ボックスで映画を見た後、ゲーム機でのゲーム・プレイに切り替える場合など、タイプの異なるコンテンツをテレビなどのディスプレイ機器側で切り替えるのは容易ではありません。HDMI 2.1のERR機能には、よりスムーズな切り替えを可能にするALLM(Auto-Low-Latency Mode)とQMS(Quick Media Switching)も用意されています。

まとめ

リッチなビデオおよびグラフィック・コンテンツの到来により、機器メーカーは4K、8K、更には10Kという超高解像度のディスプレイ開発という課題に直面しています。必要なピクセル数と伝送帯域幅の増大に伴い、テレビ、スマートフォン、ゲーム用ディスプレイにはそれぞれ異なる機能が必要とされています。しかしコンシューマが最も重視するのは精度、色深度、色域、輝度であり、ディスプレイ・サイズやビデオ解像度に関係なくコンテンツを滑らかに表示する必要があります。最新のHDMI 2.1仕様は、設計を大幅に見直すことにより帯域幅の拡大、ダイナミックHDR、eARC、ERRなどの重要な改良を実現しています。この結果、システム・オン・チップ(SoC)設計者はより没入感の高い視聴体験が可能なマルチメディア・システムを構築して消費者ニーズを満たすことができます。

シノプシスはHDMI 2.1仕様の策定に積極的に参加しており、コントローラ、PHY、検証用IPを含む完全なHDMI 2.1 IPソリューションが設計者から強く求められていることを認識しています。HDMI Licensing Administrator社 社長 Rob Tobias氏は次のように述べています。「HDMI 2.1仕様には、8K60やダイナミックHDRにより高速リフレッシュ・レート/高解像度を実現する先進の映像機能や、最先端のオーディオ・フォーマットに対応するためのeARC機能などが採用されており、性能面でも機能面でも非常に大きな進化となります。シノプシス社は、これらの機能を搭載した製品をいち早く市場に送り出すのに貢献してくれる重要なパートナーであり、同社の完全なDesignWare® HDMI 2.1 IPソリューションは、HDMI 2.1エコシステムの確立とサポートに重要な役割を果たしてくれます」

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