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What's New in DesignWare IP?

2018 Mar. vol.109

ASIL対応IPを使用してISO 26262認証を達成する方法

シノプシス オートモーティブIPセグメント・マネージャー Ron DiGiuseppe

先進運転支援システム(ADAS)は、2015~2020年の収益成長率を最大29%と予測しているアナリストもあるなど、自動車および関連産業の中で最も成長率の高いセグメントの1つとなる可能性があります (mckinsey.comより)。 これを好機ととらえ、自動車サプライ・チェーン各社は製品イノベーションを加速すべく研究開発への投資を活発化させています。ADAS向けSoCに最新の機能を組み込む作業には多くの課題とリスクがあるため、 半導体業界ではイノベーションへの取り組みが特に重視されています。自動車の技術は今も進化を続けており、SoC設計者にとっての課題はまだまだ続きます。 GM社CEOのMary Barra氏はfleetowner.comの記事の中で次のように述べています。 「自動車業界が今後5~10年の間に、過去50年よりも大きな変化を遂げることは間違いありません。各種コネクティビティの統合、自動車の電動化、高度化する顧客ニーズにより、新しいソリューションが求められています」

サラウンド・ビュー、自動駐車、衝突回避システム、自律運転、車線逸脱警告システムなど、エンベデッド・ビジョンを利用したADASアプリケーションはこれまでオプション装備品として購入する必要がありました。 しかし現在のコンシューマは、自動車の安全性向上と事故防止につながるADASが自動車に標準装備されることを望んでいます。これらのシステムを自動車の機能安全に関する厳しい規格に適合しながらスケジュールどおりに市場に投入するには、 OEMから半導体サプライヤ(EDAツールおよびインプリメンテーションIPサプライヤを含む)に至るまで、自動車サプライ・チェーン全体が協力してコンシューマの要求に応えていく必要があります。 本稿では現在の自動車のADASテクノロジのトレンドを概観した後、SoC開発とSoCレベル認証を加速する上でISO 26262認証取得済みのASIL対応IPおよびオートモーティブ・セーフティ・パッケージを使用することの重要性についてご説明します。

半導体技術のトレンドとオートモーティブSoCのアーキテクチャ

車載半導体技術の全体的な傾向として、搭載されるセンサー数の増大が挙げられます。
また、センサーで取得した大量のデータを処理するため、64ビット・プロセッサの採用も進んでいます。これ以外に、車載半導体技術のトレンドとして以下のようなテクノロジが広く利用されるようになっています。

  • Ethernet:リアルタイム・データを含む大量のデータ管理、およびポイント・ツー・ポイントの配線削減に使用します。
  • LPDDR4/4x:3200 Mb/sを超えるデータ・レートにより、車載グレードSoCのDRAMを高速化します。
  • MIPI Camera Serial InterfaceおよびMIPI Display Serial Interface規格:イメージングおよびディスプレイ・アプリケーションの高速コネクティビティに使用します。
  • PCI Express:4Gおよび将来の5G無線、外部SSDなどで高信頼性のチップ間通信に使用します。
  • 5Gおよび802.11pなどのIEEE規格:クラウドとの間での地図/画像のリアルタイム更新、車車間/路車間通信に使用します。
  • 先進のプロセス・テクノロジ:従来の90 nm、65 nm、40 nmから16 nm、14 nm、更には7 nm FinFETなど先端プロセスへの移行が進んでいます。

これらの技術を取り込んだオートモーティブSoCは、自動車内のさまざまなアプリケーションを支えています。自動車全体で広く使われているのは、組込み制御ユニットを200個以上も使用した伝統的なアーキテクチャで、これらは成熟したファウンドリ・プロセスで製造されます。 パワートレイン制御、ボディ/シャーシ制御など、この種のSoCで動作するアプリケーションは、それほど多くのコネクティビティや処理性能を必要としません。 一方、コネクテッド・カーやインフォテインメント・システム用のSoCアーキテクチャでは、高性能なコネクティビティと先進の32ビットまたは64ビット・グラフィックス・プロセッサを使用して最大12チャネルのHDビデオ処理が要求されます。 これらのSoCは先進の28 nmや16 nm、あるいは14 nm FinFETプロセスで製造されます。ハイエンドADAS向けSoCアーキテクチャは、主にISO 26262に準拠したセーフティ・クリティカルなアプリケーションで使用されます。 これらは64ビット・プロセッサにアクセラレータ(コプロセッサ)としてエンベデッド・ビジョン・プロセッサを組み合わせたヘテロジニアス・アーキテクチャを採用し、ホスト・プロセッサの処理負荷をアクセラレータで軽減しながらセンサー・データを処理する必要があります。 ハイエンドADAS向けのSoCは先進の28 nm、16 nm、14 nmで製造されることが多く、7 nm FinFETを採用したものもあります。

ハイエンドADAS向けSoCは主にセーフティ・クリティカルなアプリケーションで使用されるため、機能安全規格ISO 26262の厳格な要求事項を満たす必要があります。 これらの要求事項は、SoCに組み込まれるインプリメンテーションIPを含め、すべての半導体部品に適用されます。

機能安全規格ISO 26262に関するベスト・プラクティス

国際規格のISO 26262では、A、B、C、Dの4段階のASIL(Automotive Safety Integrity Level)が定義されています。 ASILは、ISO 26262に適合するために開発チームが実施する必要のあるプロセス、開発工程、基準を定義したものです。オートモーティブSoC開発チームの最大の目標は、ハードウェアのランダム故障による影響を最小限に抑えることにあります。 そのためには機能要件を定義し、より厳格な開発プロセスを採用し、必要な措置をデザインに取り入れてハードウェアのランダム故障による影響が安全機能によって確実に軽減されるようにする必要があります。 またシステマティック解析手法を適用して、サプライ・チェーン全体ですべてのコンポーネントまたはシステムのステータスを解析することも必要です。

ISO 26262規格とその要求事項を開発チームが完全に理解できるように研修を実施してくれる第三者認証機関もあります。これらの機関は開発プロセス、評価、認証に関するレビューと改善も支援してくれます。 ISO 26262認証プロセスはいくつもの手順で構成されますが、このプロセスは開発の最初の段階から始める必要があります。ここからは、そのいくつかについて詳しくご説明します。

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