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today&tomorrow

What's New in DesignWare IP?

2017 Dec. vol.108

USB Type-C搭載モバイルSoCの開発期間を短縮

シノプシス テクニカル・マーケティング・マネージャー Morten Christiansen

携帯機器は世代を重ねるごとに薄型化、軽量化、高性能化が進んでいます。特に最新のスマートフォン、タブレット、2-in-1は、1日1回の充電で従来のノートブックPCの置き換えとして利用したいという新しいユーザー・ニーズに応える製品が登場しています。しかしこれらの機器は内部容積のほとんどがバッテリで占められており、その他の部品にはほとんどスペースが残されていません。したがって、システム・オン・チップ(SoC)を設計する際はなるべく多くの機能を統合し、SoCのピン数を最小限に抑えてコネクタの数を減らす必要があります。USB Type-C™は1つのコネクタでデータ、オーディオ、ビデオ、電源までサポートでき、最近の高性能な薄型モバイル機器に理想的なコネクタとなっています。本稿では、こうしたSoCの開発期間を短縮する手段として、USB 3.1、DisplayPort 1.4 TX、DisplayPort AUX、HDCP 1.4コントローラ、HDCP 2.2 ESM(Embedded Security Module)、USB 2.0、USB 3.1、DisplayPort TXおよびDisplayPort AUX PHY、更には検証用IPとテスト・ケースまでを含み、構成と統合が完了した形で提供されるシノプシスのDesignWare® USB-C 3.1/DisplayPortソリューションについてご説明します。このソリューションによりIPの設定、統合、検証に必要な工数が削減され、外付け部品の数とコストを最小限に抑えたSoCの早期市場投入が可能になります。

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図1:DesignWare USB-C 3.1/DisplayPortソリューション

現在の市場と新しい利用モデル

以前の携帯電話の用途といえば主にテキスト・メッセージや通話に限られ、それ以外ではたまに簡単なゲームを楽しむ程度でした。一方、PCはウェブ・サーフィン、ゲーム、電子メール、オフィス・アプリケーション、写真の編集・保存などに使われ、かつてはDVD再生機能が人気を集めたこともあります。しかし近年、携帯電話とPCの境界はあいまいになっています。先進のスマートフォンはウェブ・サーフィン、電子メール、オフィス・アプリケーションにも利用でき、高画質の写真撮影はもちろん、HDビデオの撮影、編集、再生も可能です。4K UHDディスプレイを初めて採用したスマートフォンも先ごろ発表されました。最先端のタブレットや2-in-1は従来のノートブックPCを置き換えつつあります。プロセッサ、メモリー、ストレージを内蔵したスティック型PCも登場しており、ディスプレイとキーボードさえ用意すればどこにでも持ち運んで完全なコンピューティング環境を構築できます。デジタル・カメラの画素数は既に50Mピクセルを突破しており、今では8Kビデオを撮影できるビデオ・カメラが登場しています。
これらの製品に向けたSoCシステムのアーキテクチャ設計では、ユース・ケース・シナリオ、機能実装、システム設計・分割の検討といった困難な作業に直面します。SoC設計者は限られた開発期間の中でIPの構成、統合、検証といった複雑な作業をこなさなければなりません。また、SoCは開発コストが高いため、種類の異なる製品間での再利用が重要になってきます。たとえば最先端のスマートフォン向けチップセットは、スマートフォン以外にもポータブルAR(拡張現実)/VR(仮想現実)製品、カメラ、タブレット、更にはArm®ベースのWindows 10ノートブックPCでの利用を考慮して設計されています。エンドユーザーも、製品の種類やフォーム・ファクタにかかわらず同じ機能とユース・ケースがサポートされることを期待するようになっています。

アナログ・スイッチ/マルチプレクサなしでDisplayPortをサポート

USB Type-CでDisplayPort Alternate Modeをサポートした初期の製品は、従来のDisplayPortおよびUSBポートにマルチプレクサを外付けしてこの機能を実装していたため、PCB面積、部品コスト、消費電力の増大という問題を抱えていました。SoCのシリコン面積、ピン数、PCB面積、消費電力、製品の部品コストを削減するため、今後のSoC設計では1つのUSB/DisplayPortポートでType-Cコネクタに直接接続することが必須となります。

シノプシスのDesignWare USB-C 3.1/DisplayPortソリューションには、デジタル・マルチプレクサまたはクロスバー・スイッチを備え、USB 3.1 Gen2(10 Gbps)およびDisplayPort HBR3(HighBitRate3、8.1 Gbps)をサポートしたUSB/DisplayPortコンボPHYが含まれます。このデジタル・クロスバー・スイッチ(図2)により、高ビット・レートでのシグナル・インテグリティが最大限に維持されます。

高解像度ディスプレイとDisplay Stream Compression(DSC)

現在ではほとんどの家庭にフルHDテレビ(1920x1080)があります。また、FHDやQHD(2560×1440)モニタはオフィスと家庭の両方で広く使われています。家電量販店のテレビ売り場にはたくさんの4K UHD(3840x2160)テレビが並んでおり、価格もこなれてきています。オフィスでは4Kモニタが既に標準となりつつあります。今後のSoCデザインでは、次世代8K(7680x4320)ディスプレイのサポートも視野に入れておく必要があります。

DesignWare USB-C 3.1/DisplayPortソリューションはDisplayPort 1.4をサポートし、DisplayPort 1.3との後方互換性も維持しています。DisplayPort 1.3ではHBR3を4レーン使用して4K/RGB/60または90 Hz、および8K/YUV/30 Hzがサポートされます。これ以上のリフレッシュ・レートやRGBフォーマットの8K、あるいは4K/120Hzをサポートするには、Display Stream Compression(DSC)を使用します。DSCは視覚的に品質劣化のない圧縮技術で、DisplayPort 1.4に盛り込まれた注目の拡張機能です。図1に示すように、DesignWare USB-C 3.1/DisplayPortソリューションにはDSCが統合されています。DSCをインプリメントするには非常に多くのゲート数が必要となるため、現在のディスプレイでDSCをサポートしたものはごくわずかです。しかし高解像度/高リフレッシュ・レートのVR/AR機器では、今後DSCが必須となると予想されます。

高解像度ディスプレイをサポートする上での課題の1つに、ピクセル・レートがあります。4K/120 Hzおよび8K/30 Hzのピクセル・レートは公称1188 MHzで、8K/60 Hzでは2376 MHzに達します。DesignWare DisplayPort 1.4 TX Controllerには、DisplayPort TXビデオ・インターフェイスのピクセル・レートを594 MHzなどに低減するマルチピクセル・インターフェイスのオプションがあります。

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