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2017 Dec. vol.108

シノプシスとオートモーティブ:「Silicon to Software」でよりスマート、より安全、そしてよりセキュアな運転を実現へ

シノプシス コミュニケーションズ・ストラテジ担当ディレクター Mike Santarini

現在、「よりスマート」なテクノロジはあらゆる場所に存在し、急速に進歩を遂げ、あらゆるモノに接続されるようになっています。こうした傾向が最も顕著なのが、最新世代の自動車です。よりスマートになったコネクテッド・カーの技術革新を見ると、自動車メーカー(OEM)とそのサプライヤがこれほどまでに短期間で洗練の度を高めていったことに驚きを禁じえません。ほんの20年ほど前まで、自動車業界は主に機械工学と材料科学を専門とした板金加工業界でした。それが今ではエレクトロニクス・システムのパイオニアへと転身を遂げ、数百個のICと1億行を超えるソフトウェア・コードを組み込んで、非常に精巧なデジタル技術に基づくインテリジェントな半自動運転車を販売するようになっています。シノプシスは、当社のお客様がこれらの驚くほどスマートになったコネクテッド・カーを市場の先駆者として投入されていることを誇らしく思うとともに、次なるイノベーションを注視しています。
よりスマートになったコネクテッド・カーでは、ハードウェアの技術革新と少なくとも同じくらいソフトウェアの安全とセキュリティにも意識を向ける必要があります。こうした点をふまえ、シノプシスは「シリコンからソフトウェアまで(Silicon to Software)」を網羅したソリューション・ポートフォリオを通じ、お客様に明らかな優位性をご提供しています。これまで30年間、現在私たちが使用しているほとんどすべての製品に組み込まれている革新的なICはシノプシスのツールを使って設計/開発されてきました。こうした長年の実績に加え、シノプシスは今から2年前にCoverity社を買収し、ソフトウェアのセーフティ/セキュリティ市場に参入しました。その後も更なる買収と開発を続け、シノプシスは今やソフトウェア・インテグリティ・ツールのトップ・ベンダへと成長しています。シリコンからソフトウェアまでを網羅したポートフォリオにより、自動車メーカー(OEM)とTier-1/Tier-2サプライヤは複雑なハードウェア/ソフトウェア開発への対処が容易になり、品質規格のAEC-Q100、および機能安全規格のISO 26262、SAE J3061、MISRA C/C++に準拠した車載システムを短期間で構築できるようになっています。現在、自動車メーカー上位15社のうち11社までがシノプシスのソフトウェア・インテグリティ・ソリューションを採用しており、シノプシスのEDAおよびIPを使用している企業の数はそれをゆうに上回ります。シノプシスの包括的なEDAツールとソフトウェア・サインオフ・ソリューションを車載システムのシリコンからソフトウェアまでエコシステム全体でご利用いただくことで、自動車業界のお客様はよりスマートで安全、そしてよりセキュアで環境に優しい電気自動車/自動運転車をより短期間で市場に投入することに成功しています。

シノプシス独自の「Silicon to Software」ソリューションにより、自動車業界でISO 26262などの複雑な最新規格にどのように対処できるのかを詳しく見ていく前に、まず自動車業界におけるエレクトロニクスの進化の歴史と、過去10年間で自動車メーカーが伝統的な「板金加工業界」からより複雑でよりスマートなエレクトロニクス・システムのイノベーターへの転換を果たしていった経緯について見ていきます。

エンジン始動に苦労した時代から自動運転の時代へ

必要は発明の母といいます。自動車が最初に登場した頃は、運転手が同乗者や近くにいる人に手伝ってもらってクランクを手動で回し、発明されたばかりの内燃エンジンに点火してモーターを始動するという作業が必要でした(図1)。これは大変な力仕事であっただけでなく、エンジンが始動してクランクが急に戻ったときにけがをしたり、時には死者も出るという危険なものでした。この問題を解決するために自動車メーカーは1912年頃に初の電子点火装置を開発しました。それから90年ほどの間、自動車は主に車室内外の照明、電動ワイパー、パワー・ウィンドウ、冷暖房システム、ラジオ/8トラック/カセット/CD/DVDプレーヤーといった形で電子部品の搭載を続けてきました。何十年もの間、自動車業界は車両の物理的な材料/機構を改良することに主眼を置いた「板金加工業界」として、何世代にもわたって時代のアイコンとなるデザイン性の高いマシンを作り出し、以前はより大型で強力なエンジン、そして近年はより小型で燃費のよいエンジンを開発していました。

画像(仮)

図1:SoCベースのデザインと先進のソフトウェア開発により、自動車業界はより安全でよりスマートなコネクテッド・カーの開発を進め、スマート・インフラストラクチャによって誘導される完全な電気自動運転車へと急速に向かう「ルネッサンス期」を迎えています。

1965年にRalph Nader著『Unsafe at Any Speed』(『どんなスピードでも自動車は危険だ』)が出版されたのをきっかけに、自動車メーカーは品質と安全機能を重視するようになりました。これは顧客の生命を救うと同時に、法的責任を問われることによる収益の悪化とブランドの信用失墜を防ぐ意味もありました。これ以降、自動車は何世代もかけてエアバッグ、アンチロック・ブレーキなどのエレクトロニクス・装置を次々と搭載するようになります。そして今から10年ほど前、GM社の幹部が自動車の「エレクトロニクス化」と呼んだ動きが急速に拡大し始めました。これは、従来の機械式システム/アクチュエータを信頼性のはるかに高い電気システム/アクチュエータで置き換えようというものです。この動きはすぐに業界全体でインフォテインメント・システムの開発競争へと発展し、更には運転支援(DA)システムと呼ばれるまったく新しいタイプのエレクトロニクス・制御ユニットの開発へと拡大していきました。最初に実用化されたのは、主に車体後部に電磁センサーまたは超音波センサーを設置して物体を検知し、後退時に衝突の危険がある場合は音でドライバーに知らせるという原始的な後退支援システムでした。この技術革新は比較的単純なものではありましたが、それでも多くの人命が救われました。

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