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2017 Dec. vol.108

シノプシスとオートモーティブ:「Silicon to Software」でよりスマート、より安全、そしてよりセキュアな運転を実現へ

シノプシス コミュニケーションズ・ストラテジ担当ディレクター Mike Santarini

ハイブリッドから「聖杯」へ:航続距離200マイルの低価格な完全電気自動車

ADASから自動運転車への進化を急ぐと同時に、もう1つの大きな市場トレンドとして、自動車メーカーは自動車の心臓部であるモーターをガソリン内燃エンジンからクリーンな電気モーターへ移行する作業にも追われています。現在、世界中のほとんどすべての大手自動車メーカーが代替燃料車、ハイブリッド車、完全電気自動車のいずれかを販売しています。事実、国や地域によってはすべての自動車メーカーに対して電気自動車か代替燃料車のいずれかを販売することが義務化される日が目前に迫っています。

排出ガスが地球環境に与える悪影響は各国政府が認めています。また、化石燃料の埋蔵量も無限ではありません。2014年に米国環境保護庁(EPA)が発表した報告書によると、典型的な乗用車の年間CO2排出量は4.7メートルトンで、現在世界中には12億台の自動車が存在すると推定されています。このままだと、世界人口の急増(現在の73億人から2050年には97億人)に伴い、自動車が環境に与える影響はますます大きくなっていくでしょう。これまで、電気自動車の最大の弱点は充電1回あたりの航続距離とされてきました。また、1回の充電にかかる時間も問題でした。現在の電気自動車は航続距離が最長でも120マイル(約190 km)で、1回のフル充電には6~22時間かかります。しかもバッテリは経年劣化により容量が次第に減少します。

こうしたバッテリの弱点を迂回しながら売上を伸ばすため、多くの自動車メーカーが電気モーターと小型の内燃エンジンを組み合わせた、より複雑なハイブリッド車を販売しています。ハイブリッド車はガソリン・エンジンを補助的なエンジンとして使用します。メーカーによって、バッテリの充電がなくなったときに使用する方式と、バッテリの持続時間を長くするために使用する方式があります。電気自動車の世界では、25,000~35,000米ドル(約280万~390万円)の販売価格で航続距離200マイル(約320 km)を実現することが「聖杯」(理想の目標)とされています。自動車業界は2017年にもこの目標をクリアした自動車をリリースしたいと考えています。こうした電気自動車を自動車マーケットの主流として定着させていくには、バッテリ技術の進歩はもちろん、エレクトロニクスとソフトウェアの改良による電力効率の最大化、および短時間でバッテリを十分なレベルまで充電できるインフラストラクチャも必要になってきます。

この完全電気自動車への移行は、いずれ自動運転への移行と合流し、最終的にはスマート・インフラストラクチャとの路車間通信(V2I)へと移行していきます。私たちはA地点からB地点へと巨大なネットワーク上を流れるパケットとして効率よく転送されるだけでなく、今よりもはるかに静かに、そしてはるかに環境に優しい形で移動できるようになるでしょう(図2)。

よりスマートなシステムにより、2つのトレンドが1つに合流

画像(仮)

図2:ハイブリッド車から完全電気自動車へと向かうトレンド、そしてDAからADASを経て自動運転へと向かうトレンドがあり、それぞれのシステムがよりスマートになることで、これら2つのトレンドがeV2Iへと合流していきます。したがって、今後はハードウェアとソフトウェアの両方で、よりスマートなシステムの開発に関して多くの課題と市場機会が存在することになります。

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