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2017 Aug Summer vol.107

車載ソフトウェアの品質とセキュリティ向上を目指したシノプシスの取り組み

シノプシス CISSP/セキュリティ・ストラテジスト Robert Vamosi

今から数年後のこと。夜遅くに、あなたは最近購入したコネクテッド・カーを運転して帰路についています。自宅まであと1.5 kmほどのところであなたは食料品店に立ち寄ります。車の接近を感知してスマート街路灯が動作します。路上ではどの車も一様の車間距離を保って走行しており、運転はとてもスムーズです。もうすぐ帰宅することをコネクテッド・カーが自宅(スマートホーム)に自動的に通知します。すると自宅のセントラル・ヒーターが運転を開始し、照明が点灯し、コーヒーメーカーが動き出します。車が自宅に近付くとガレージとの間で認証が行われ、扉が開きます。車を駐めるとガレージの扉が閉まり、あなたの接近を感知して玄関ドアが解錠されます。スマートホームでのこれら一連の動作は、コネクテッド・カーと周囲環境がネットワークを介して自動的に通信したことによって起動されたものです。

これはまだ近未来の話ですが、現在の自動車にも多くのソフトウェアが搭載されています。コード行数でいえば、ハッブル宇宙望遠鏡、ボーイング787ドリームライナー、更にはソーシャル・メディア・アプリのFacebookで使われているソフトウェアのコード数を合計してもまだ自動車の方が多いほどです。現在の代表的な自動車に搭載されているソフトウェアのコード行数は約1億行にも達します。もちろん、この数字はこれからも増え続けます。

画像(仮)

図1:ソフトウェアのコード行数(単位:百万)

そう遠くない将来、自動車は、802.11p(路車間/車車間通信に向けたIEEE 802.11規格)など高度道路交通システム(ITS)アプリケーション向けの新しい各種プロトコルをサポートした「動くデータセンター」になっていくでしょう。移動中のコネクテッド・カーでは瞬時の反応が要求されます。このため、WAVE(Wireless Access in Vehicular Environments)とも呼ばれる802.11pは高いデータ転送レートをサポートしており、ナノ秒単位での意思決定を可能にしています。802.11pは、ドライバーレス・カー(自動運転車)を実現する上で欠かせない要素です。

問題は、これまで一般的な車載ソフトウェアのほとんどがエアバッグ制御、タイヤ空気圧の監視、あるいは衛星ラジオ、インターネット、セルラー・サービスなど、特定のニーズを満たすことだけを考えて無計画に機能が追加されてきたことにあります。つまり、現在の車載ソフトウェアは大きなグランド・ビジョンのもとに開発されたものではなく、コンシューマ・ニーズに応える形で自動車メーカーが前年モデルとの差別化を図った新車を毎年発表し続けてきた産物であるといえます。

こうした「無計画さ」が、ソフトウェア脆弱性を生み出す大きな要因となっています。

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