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Technology Update

2017 Aug Summer vol.107

成熟したノードでの先進デザイン、車載ICでさらなる拡大へ

シノプシス デザイン・グループ シニア・スタッフ・プロダクト・マーケティング・マネージャー Marco Casale-Rossi

では、最先端のツールを使用すると車載IC設計がどのように容易になり、結果品質がどのように改善するでしょうか。

製造に使用するテクノロジ・ノードが登場した当時の「最先端」ツールを使っていたのでは実現不可能、または非常に困難だったようなデザインが、現在最先端のツールを使うことで可能になることがあります。

たとえば最近発表された電源コントローラICに、180 nmプロセスで12個の電圧アイランドを実現したものがあります。このような不可能が可能になったのは、65/45 nm世代のモバイルICの消費電力削減を目的に開発されたツールと手法を採用したことに理由があります。

最先端のテクノロジ・ノードに向けて開発された最先端のEDAツールが成熟したテクノロジ・ノードで活用されている例をもう1つ挙げてみます。20 nmノードへの移行を機に、特に重要な層については複数の低密度なマスクに分割して露光を行うダブルパターニング・リソグラフィ技術が使われるようになりました。ここで必要とされたのが配線ツールの技術革新です。そして今、20 nm世代で開発された配線ツールが車載半導体のインプリメンテーションに採用され、配線使用率の向上、配線層の削減、ダブル・ビアの積極利用といった形で配線密度と信頼性の向上、およびコストの削減に寄与しています。

ツールの統合が進んだことで、複雑な車載ICの開発も容易になっています。たとえば車載ICはフロアプランが複雑なため、信頼性の高い電源/グランド・ネットワークを開発するのは困難です。しかし最近のツールではメインの設計フローからそのまま電源/グランド・ネットワークを解析できるため、早期段階で潜在的な不具合を見つけることができます。

最先端のEDAツールとメソドロジを使用すると、複雑なアナログ、デジタル、ミックスドシグナル、そして場合によってはエレメカの動作を単体テストと結合テストによって検証し、それぞれの機能および安全/信頼性要件への影響を確認することが可能になります。

また、デザインのコンセプト作成から詳細な回路シミュレーションおよびサインオフまでに対応した高機能/高性能なポイント・ツールを取り揃え、総合的な検証ビジョンをサポートした最先端の検証ツールも車載ICの設計に利点をもたらします。このようにSPICEシミュレータ、フォーマル・チェック、FPGAプロトタイピングなど多岐にわたるツールを必要に応じて1つの一貫性ある検証環境にまとめたものをVerification Continuumと呼びます。

これまで、最先端のテクノロジ・ノードでは常に最先端のツールが必要とされていました。しかし先端デジタルCMOSプロセスはここ数世代で特性が収束しつつあり、今後は次第にデザインそのものが製品の最大の差別化要因となっていくことが確実視されています。成熟したテクノロジ・ノードでICを製造している市場では以前からこのことが知られており、デザインによる差別化が図られてきました。しかし現在では、これらの市場の設計者も最先端のツールと手法を導入することでよりよいデザインを実現できるようになっています。

著者

Marco Casale-Rossi:シノプシス、デザイン・グループのシニア・スタッフ・プロダクト・マーケティング・マネージャー。半導体の技術革新がEDAツール、メソドロジ、フローに与える影響の調査、および最先端ICデザイン・インプリメンテーションに関するプレゼンテーションの技術基盤およびコンテンツ制作を担当。ナノメータ・デザインおよびテクノロジ・ロードマップに関するシノプシスのビジョン開発にも貢献。

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