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What's New in DesignWare IP?

2017 May Spring vol.106

USB Type-Cデジタル・ヘッドセットを実現する新しいUSBオーディオ・クラス

シノプシス テクニカル・マーケティング・マネージャー Morten Christiansen

ヘッドフォンなどで使われる6.3 mm(¼インチ)プラグは今から100年以上前、「電話」と呼ばれる発明品を使う人々を交換台で接続する目的で考案されました。現在は3.5 mmのミニプラグ・タイプのものが主流ですが、最新のスマートフォンは多機能化が進む一方で複数のコネクタを装備するスペースがなくなっており、3.5 mmプラグに代わる新しいオーディオ接続手段が求められています。

とはいえ、USBオーディオ・プロトコルは標準規格以外にも独自プロトコルがいくつもあり、どれを採用すればよいか難しい面があります。こうしたなか、プロトコルを一本化して普及に弾みをつけようとしているのが、最新のUSB Audio Device Class(ADC)3.0仕様です。ADC 3.0では、高品質なデジタル・ヘッドセットにデジタル・シグナル・プロセッサ(DSP)を内蔵することにより、適応型ノイズ・キャンセリング、ユーザー定義イコライゼーション、ホットワード検出などの高度な機能を実現できます。特に、低消費電力のモバイル機器ではADC 3.0を採用することでシステム消費電力の大幅な削減が見込めます。今後、スマートフォンではUSB Type-CTMコネクタを使用したADC 3.0ソリューションが新しい標準になるものと期待されます。本稿では、このADC 3.0の機能と利点についてご説明します。

アナログ・ヘッドセットの消費電力

3.5 mmプラグを使用した現在のアナログ・オーディオ・ソリューションの消費電力は、バースト転送時以外はそれほど大きくありません。図1に示すように、音声通話やMP3再生のオーディオ処理は通常バースト的に行われるため、バースト転送の合間に機能ブロックを低消費電力モードに移行できます。メーカーによっては、オーディオ再生の電力プロファイルをこの図よりも更に最適化していることもあります。

図1:アナログ・ヘッドセットを使用した場合のスマートフォンの電力プロファイル

図1:アナログ・ヘッドセットを使用した場合のスマートフォンの電力プロファイル

USBオーディオに見られる消費電力の問題

アナログ・ヘッドセットとは異なり、USBオーディオ・ヘッドセットはアイソクロナス転送を使用します。アイソクロナス転送は帯域幅が保証されるためオーディオ・ストリームに適していますが、消費電力は増大します。図2に、USBヘッドセットをサポートする場合の電力プロファイルを示します。このシステムにはUSBホストとUSBデバイスという2つの機能ブロックが追加されており、これらは常時ハイパワー・モードで動作します。実装によっては、スピーカーで再生するオーディオをUSBホストにバースト転送する間、およびマイクからのサンプルを処理する間、アプリケーションCPUも常時ハイパワー・モードで動作することがあります。

図2:従来のUSBオーディオ・ヘッドセットを使用したスマートフォンの電力プロファイル

図2:従来のUSBオーディオ・ヘッドセットを使用したスマートフォンの電力プロファイル

電源に接続されたデスクトップPCやバッテリー容量の大きいノートブックPCなら、従来のUSBオーディオ・ヘッドセットでも消費電力はあまり問題になりません。しかしスマートフォンなど小型のモバイル機器の場合、バッテリーの消耗を考えると3.5 mmプラグを従来のUSBオーディオで置き換えるわけにはいきません。

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