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today&tomorrow

What's New in DesignWare IP?

2017 May Spring vol.106

USB Type-Cデジタル・ヘッドセットを実現する新しいUSBオーディオ・クラス

シノプシス テクニカル・マーケティング・マネージャー Morten Christiansen

USBオーディオの消費電力削減

従来のUSBオーディオは、フルスピードUSBの場合、アイソクロナス転送が1 msごとに発生します。転送の合間ではバスはアイドルですが、L2サスペンドには移行できません。USB 2.0 Link Power Management仕様では、ハイスピードUSBの新しい電力ステートとしてLPM L1が定義されました。ハイスピードUSBのバースト転送とLPM L1サスペンドを組み合わせると、図3に示すように消費電力を大幅に削減できる可能性があります。

図3:オーディオ・バーストとLPM L1を組み合わせた場合の省電力イベントの概念図

図3:オーディオ・バーストとLPM L1を組み合わせた場合の省電力イベントの概念図

ADC 3.0の概念実証

ADC 3.0仕様はこのLPM L1サスペンドを利用して消費電力の削減を図っています。しかしLPM L1を使用またはサポートしている機器はそれほど多くないため、ADC 3.0仕様の策定を進めるにあたっては、その省電力効果に対する概念実証が必要でした。図4に示したのは、実際にシノプシスのDesignWare® USB IPを使用して行われた概念実証です。まず、「Transaction 13713」でホストがLPM要求を送信し、デバイスがACKを返しています。「Packet 81813」は、バスが3.5 msの期間LPM L1サスペンドであることを示します。「Packet 81814」は、ホストがデバイスをレジュームしていることを示します。この例ではレジューム信号の長さは86 µsです。この値は、各デバイスの復帰に必要な時間に応じて設定できます。「Packet 81815」と「Packet 81816」でタイマが2回インクリメントしています。「Transfer 6194」でホストがデバイスからのアイソクロナス・データを読み出します。「Packet 81819」と「Packet 81820」でもタイマが2回インクリメントしていますが、最後のインクリメントは不要なため、将来のインプリメンテーションでは削除できます。最後に、「Transaction 13175」でホストが再びLPM L1要求を送信し、デバイスがACKを返した後、「Packet 81824」でバスが3.5 msの期間LPM L1サスペンドとなり、以下同じ動作を繰り返します。

図4:LPM L1による消費電力削減の概念実証

図4:LPM L1による消費電力削減の概念実証

USB Audio Device Class(ADC)3.0による消費電力削減

この概念実証システムの消費電力プロファイルを図5に示します。このシステムでは、87.8%の時間(4 msのサービス・インターバルのうち3.513 ms)をLPM L1サスペンドにできます。PHYはコントローラに比べはるかに消費電力が大きいため、PHYだけでも顕著な省電力効果が見込めます。LPM L1の消費電力はアクティブ時、アイドル時ともに通常1%未満で、LPM L1を使用するとPHYの消費電力を86%削減できます。このため、USB ADC 3.0を利用したUSBヘッドセット・ソリューションは、従来のアナログ・ヘッドセット・ソリューションと比べても消費電力の面で十分な競争力があります。

図5: USB ADC 3.0ヘッドセットを使用したスマートフォンの電力プロファイル

図5: USB ADC 3.0ヘッドセットを使用したスマートフォンの電力プロファイル

USBバーストの合間にCPU/DSPシステムをディープ・スリープに移行させると、消費電力を更に削減できます。また、インプリメンテーション固有の最適化として、複数のオーディオ・バーストを事前にスケジューリングすることも可能です。こうするとオーディオのレイテンシは増大しますが、CPU/DSPサブシステムをより長時間ディープ・スリープにしておくことができます。この方法を採用するかどうかは、消費電力とレイテンシに関するアプリケーションの要件を考慮して決定します。

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