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today&tomorrow

What's New in DesignWare IP?

2017 Jan Winter vol.105

Bluetooth Low Energy IPをワンチップSoCに統合することによるメリット

シノプシス IoT戦略マーケティング担当マネージャー Ron Lowman
シノプシス Bluetooth/アナログIP製品マーケティング担当マネージャー Manuel Mota

Bluetooth®、WiFi、LTE、5Gなど、無線接続に利用するテクノロジはアプリケーションによってさまざまです。どのテクノロジにもそれぞれ特長と長所がありますが、設計者はこれらをワンチップに統合するのか外付けソリューションを利用するのかを決定する必要があります。IoT(Internet of Things)アプリケーションの場合はワンチップに統合するメリットの方が大きく、特に先端プロセス・ノードを使用するデザインの場合にはSoCへの統合を検討する必要があります。現在、ウェアラブルや「ニアラブル」と呼ばれる追跡型のIoTアプリケーションでは、Bluetooth Low Energyが一般的な選択肢として広がりつつあります。Bluetooth Low EnergyはBluetooth 5で通信距離と通信速度がさらに改善され、ピアツーピア(P2P)以外の通信管理機能にも対応するなど、今後はスマートホーム・アプリケーションへの採用が拡大することが予想されます。

シノプシスが最近実施したユーザー調査によると、IoT向けシステム・オン・チップ(SoC)デザインは、新しいウェアラブルIC市場の台頭により2013年から2015年にかけて大きく成長しています。また、Teardown.comで2012年から2015年にかけて800以上のモバイルおよびウェアラブル製品を分解した結果、無線チップの数が実際の製品数を上回っていました。これは、複数の無線ICを搭載したデザインが存在することを意味しています。またこの調査から、ウェアラブルおよびニアラブル・アプリケーションは現在大きな成長を遂げており、多くのデザインが外付けのワイヤレス・ソリューションを使用しているという事実が見えてきます。このため、IoT向けSoCに無線機能を統合すればコストと消費電力の削減が期待できます。本稿では、完全なBluetooth Low Energy PHYおよびリンク層IPソリューションを用いてBluetooth Low EnergyをシングルチップSoCに統合するメリットについてご説明します。

無線アーキテクチャ

ここ数年、無線テクノロジの実装手法は、いくつかの方式に分かれてきました(図1)。

  • スタンドアロンRFトランシーバ:コントローラとPHY(Bluetoothの場合はリンク層とPHY)を集積したトランシーバ・チップと、ソフトウェア・スタックおよびアプリケーション・コードを格納したメインSoCを接続する従来の実装手法。
  • ワイヤレス・ネットワーク・プロセッサ:無線プロトコル・スタック専用のプロセッサを統合したワイヤレス・チップセットとしての実装で、メインSoCのすべてのリソースをアプリケーションに割り当てることができるメリットがあるため多くのデザインで採用されています。
  • 完全統合型のワイヤレスSoC:無線機能を1個のモノリシック・ダイに統合する方式で、特にIoTアプリケーションのBluetooth Low Energyに最適な実装手法です。リンク層とPHYをSoCに統合し、すべてのソフトウェア・スタックとアプリケーション・コードをSoCで実行します。
  • コンボ・ワイヤレス・チップセット・ソリューション:WiFiやBluetoothなど複数の無線テクノロジを1つのトランシーバに統合し、これをデジタル・モデム内蔵のSoCに接続する方式で、モバイル・アプリケーションでは伝統的なアーキテクチャです。ソフトウェア、無線スタック、アプリケーション・コードはすべて外部不揮発性メモリーに格納します。

Bluetoothチップのインプリメンテーション方法

図1:Bluetoothチップのインプリメンテーション方法(画像提供:ti.com)

個々のアプリケーションにどの実装手法が最適かは、主にプロセス・テクノロジを考慮して決定します。スタンドアロンRFトランシーバは180 nmなどのレガシー・ノードを使用します。無線プロトコル・スタックをRFトランシーバに統合したワイヤレス・ネットワーク・プロセッサは、成熟した90 nmノードを使用します。モノリシック・ワイヤレス・ソリューションは、組込みフラッシュおよび無線IPを含むミックスドシグナルIPの組み合わせを利用できる40 nmおよび55 nmテクノロジ・ノードで一般的になりつつあります。28 nmノードではプロトコル・スタック、RFトランシーバ、アプリケーション・コードをワンチップに統合した同様のモノリシック・ワイヤレスSoCソリューションが可能と考えられます。

ダイ・サイズとコストを最適化するために最先端のプロセス・ノードを使用したモバイル・アプリケーション・プロセッサでも、コンボ・ワイヤレスICチップセット・ソリューションが依然として主流のアーキテクチャです。これらのシステムは外部メモリーを無制限に利用できるため、プログラマはより多くのリソースを利用できます。ただしシステムは3つのチップで構成され、他の実装手法の1~2個に比べると多くなります。このように、プロセス・ノードと利用可能なIPの条件が揃っていれば無線機能をSoCに統合した方が明らかに有利で、今後は無線機能を完全に統合したSoCアーキテクチャが広がっていくものと考えられます。

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