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today&tomorrow

What's New in DesignWare IP?

2017 Jan Winter vol.105

Bluetooth Low Energy IPを
ワンチップSoCに統合することによるメリット

シノプシス IoT戦略マーケティング担当マネージャー Ron Lowman
シノプシス Bluetooth/アナログIP製品マーケティング担当マネージャー Manuel Mota

業界での具体例

フィットネス・バンドなど、無線接続にBluetooth Low Energyのみを使用している現在のウェアラブル機器は、SoCと外部Bluetooth Low Energy ICをUARTまたはI2Cバスで接続しています。同様に、VR(仮想現実)ゴーグルは標準のBluetoothワイヤレス・ネットワーク・プロセッサを使用してゲーミング・コントローラと通信します。外部Bluetooth Low Energyチップセットはドアロック、照明、屋内測位ビーコンなどのスマートホーム製品でも使用されています。これらの製品では、システム内に既に存在するSoCに無線機能を統合するとコストをさらに削減できる可能性があります。

WiFiなどより広帯域の無線テクノロジをデザインに含める場合は、複数の無線テクノロジ、プロセッサ、外部メモリーで構成されるコンボ・ワイヤレス・チップセットを使用します。たとえばAR(拡張現実)ゴーグルでは、より強力なプロセッサ性能が必要なためモバイル・プラットフォームと同様の実装手法をとります。

これまで有線で実現していた機能の多くは、無線への置き換えが進んでいます。特に、診断など狭帯域データの転送に使われていたUART、I2C、SPI、USBがBluetooth Low Energyで置き換えられるケースが増えています。

無線テクノロジをシングルチップSoCに統合するメリット

無線機能をシングルチップSoCに統合できる余地が大きいことはこれまで述べたとおりですが、次に長所と短所について見ていきます。

スタンドアロンBluetooth Low Energyソリューションのようなワイヤレス・ネットワーク・プロセッサは、モジュール認証が容易であるため、認証を必要とするシステムではこの実装手法が主に使用されます。それ以外にも、スタンドアロンBluetooth Low Energyソリューションには一般的な設計メソドロジを用いてアンテナなどと確実に接続できることが実証済みというメリットがあります。

モノリシック・ソリューションは低消費電力、低コスト、低レイテンシ、省フットプリントなどのメリットがあるため、市場では完全なモノリシック・ワイヤレスSoCの採用と設計が始まっています。AMBA® AHB®バスでデータを送信するとSPIバスに比べレイテンシが5~10サイクル減少するため、プロセッサのアイドル時間を長くでき、消費電力の削減が期待されます。事実、最近発表されたMicrosoft Wireless Power Researchの報告でも、「消費電力を大きく左右するパラメータは、アクティブ電流でもスリープ電流でもなく、スリープ・サイクル後の再接続に必要な時間およびどれだけ長くRFモジュールをスリープにできるかである」と指摘されています。

消費電力とレイテンシの改善以外にも、無線機能を統合するとチップセットが完全に不要になるためパッケージング・コストが削減され、余分なパッドや電源管理IPを減らすことができます。具体的には、パッケージング・コストが0.15ドル削減され、ワイヤレス・ネットワーク・プロセッサの接続に必要なパッドが20~30削減されます。さらに電源管理の重複が解消され、PCB面積も縮小されるため、システム全体で非常に大きなコスト削減効果が期待できます。

先ほどのTeardown.comの調査で見たように、VRゴーグルなどのシステムでは複数のワイヤレスICが使用されています。BluetoothとWiFiはこれまでワンチップに統合されるのが一般的でしたが、これらの無線テクノロジは要件が大きく異なります。WiFiは帯域幅を重視し、Bluetooth Low Energyは省電力性を重視しています。WiFiは最大300 Mbpsの速度をサポートし、受信および送信出力は40~100 µWを大きく上回り、多くのメモリーを必要とします。WiFiのスループットをサポートするには、SoCをターゲット・プロセス・テクノロジに応じて適切な電圧で動作させる必要があります。一方、Bluetooth Low EnergyはBluetooth 5で2 Mbpsをサポートし、送信および受信出力は10 µW未満で、必要なメモリーもはるかに少なく、最新の40 nmおよび55 nm超低消費電力プロセスの場合0.9 V程度の低電圧で動作します。

Bluetooth Low EnergyをSoCに統合するメリットは明らかで、近い将来、モノリシックなワイヤレスSoCが一般的な実装手法になると予想されます。特に55 nmおよび40 nmテクノロジを使用した超低消費電力が要求されるIoT向けSoCでは、その利点はより顕著です。そのようなIoT向けSoCはアクティブ電力とリーク電力をさらに削減するために各種パワー・マネージメント手法とDC-DC降圧型コンバータ、および厚い酸化膜を使用します。

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